かつて1月4日に起こった出来事

2004

NASA火星探査車スピリット(Spirit)が火星に着陸(1/4)。グセフ・クレーターでの現地探査が始まり、岩石・地形の精査を通じて「過去の水の痕跡」など火星環境史の理解を大きく進めました(当初90日計画が、結果的に長期ミッションへ)。 

1958

世界初の人工衛星スプートニク1号が大気圏再突入して消滅(1/4)。わずか数か月の運用でも、軌道減衰から上層大気密度を推定するなど観測的価値があり、宇宙時代(宇宙開発・宇宙科学)の「最初の章の終わり」を象徴する日として記憶されています。 

1809

ルイ・ブライユ誕生(1/4)。視覚障害者の読み書きを可能にする点字(Braille)を体系化した人物で、知識アクセス(科学教育・情報技術・福祉工学)の歴史における決定的転換点を作りました。 

かつて1月3日に起こった出来事

1959

ルナ1号が「ナトリウム蒸気の雲」を放出(1/3)。宇宙空間でのガスのふるまいを調べる実験で、同時に“光る尾”によって地上から探査機の位置を追跡しやすくする狙いもありました(深宇宙探査の初期における観測・追跡手法の一例)。 

2017

アラスカのボゴスロフ火山が爆発(1/3)。短時間の大きな噴火が記録され、衛星観測(リモートセンシング)で噴煙や火山活動を追う実例として、火山学・防災科学の文脈で重要です。 

2019

嫦娥4号(Chang’e 4)が月の裏側に史上初の軟着陸(1/3)。地球から直接通信できない月裏側での探査を、リレー衛星などで実現し、未踏領域(南極エイトケン盆地周辺)の地質・環境を現地観測できるようにしました。 

かつて1月2日に起こった出来事

1928

ディラックが「ディラック方程式」を王立協会誌に提出(発表日として1/2が記録される)。量子力学を特殊相対論と両立させた電子の相対論的理論で、電子のスピンや反粒子(陽電子)の予言へとつながり、20世紀物理学の骨格を作りました。 

1959

ソ連の月探査機ルナ1号(Luna 1)が打ち上げ。月面衝突は外れたものの、地球の重力圏を脱出し、結果として**人類初の太陽周回軌道(人工天体)**に入ったとされ、深宇宙探査の時代を切り開きました。 

2004

NASAの探査機スターダストが彗星ワイルド2(81P/Wild 2)に最接近フライバイ。彗星のコマ(ちり)を採取するサンプルリターンの中核イベントで、彗星物質の組成や太陽系初期物質の理解を大きく前進させました(後に試料は地球へ帰還)。 

かつて1月1日に起こった出来事

1月1日に起こった「科学分野」の重要事項を、解説つきで3件に絞ると次の3つが堅いです。

1801年|ジュゼッペ・ピアッツィがケレス(Ceres)を発見  火星と木星の間の小天体として最初期に確認された“新しい種類の天体”で、太陽系の理解(小惑星帯という発想)を一気に前へ進めました。のちにケレスは準惑星に分類され、2015年には探査機Dawnが到達して本格的な地質学的研究も進みました。 

1983年|ARPANETがNCPからTCP/IPへ全面移行(いわゆる“Flag Day”)  ネットワーク同士を相互接続するための共通言語としてTCP/IPが標準化され、巨大なネットワークを“つなぎ合わせていく”インターネットの仕組みが実運用として確立しました(この日、全ノードの同時切替が必要だったため「フラッグデー」と呼ばれます)。 

1894年|ハインリヒ・ヘルツが死去  ヘルツはマクスウェル理論が予言した電磁波の存在を実験で決定的に示し、無線通信(ラジオ)や電波工学の出発点を作った物理学者です。彼の早逝(36歳)は科学史の逸話としても語られますが、業績自体が以後の通信・計測・物理学の基盤になりました。 

かつて12月31日に起こった出来事

335

教皇シルウェステル1世が死去(西方教会では12/31が記念日)。初期キリスト教史・典礼史の節目。 

1600

エリザベス1世が東インド会社に勅許状(charter)を付与。近代の植民地支配・交易帝国・企業統治史の起点級。 

1775

ケベックの戦い(米独立戦争、12/31)。北米の国家形成・戦争記憶・政治文化史で重要。 

1869

アンリ・マティス誕生。フォーヴィスム以後の近代美術・色彩論・20世紀視覚文化の中心人物。 

1904

タイムズスクエアで最初期の大規模ニューイヤー祝祭(12/31)。都市祝祭・メディア都市史の象徴的始点。 

1907

タイムズスクエアの「ボールドロップ」初開催(12/31)。新年儀礼の“映像化”を牽引した大衆文化イベント。 

1992

チェコスロヴァキア解体(分離独立)が発効(12/31付)。国民国家・記憶・移行期の政治文化を考える代表例。 

1995

新聞連載『Calvin and Hobbes』最終回掲載(12/31)。新聞マンガ=20世紀大衆文学・ユーモア文化の一時代の区切り。 

1999

パナマ運河が米国からパナマへ正式移管(12/31)。帝国史・国際秩序・主権移譲の文化史的転換点。 

1999

ロシア大統領ボリス・エリツィンが辞任を表明(12/31)。ポスト冷戦期の政治的物語化(権力継承・国家像)に直結。 

かつての12月30日に起こった出来事

1853

ガズデン購入条約(米国とメキシコの協定)が12/30に署名(現アリゾナ南部・ニューメキシコ南西部の領域取得に直結)。 

1865

詩人・小説家 ラドヤード・キップリング誕生(『ジャングル・ブック』ほか)。 

1896

フィリピンの思想家・作家 ホセ・リサールが12/30に処刑(独立運動の象徴的殉教として記憶)。 

1903

シカゴのイロコイ劇場火災(12/30)。近代都市の娯楽空間と安全規制・劇場文化史の大事件。 

1916

ロシア宮廷に影響した神秘家 ラスプーチンが殺害(12/29–30夜)。革命前夜の政治文化の象徴的事件。 

1922

ソ連(USSR)成立:創設宣言と連邦条約が12/30に承認。20世紀政治思想・体制史の転換点。 

1944

ノーベル文学賞作家 ロマン・ロラン死去(12/30)。文学と平和思想の系譜で重要。 

1947

哲学者 A.N.ホワイトヘッド死去(12/30)。プロセス哲学・神学への波及も大。 

1947

ルーマニア国王ミハイ1世が12/30に退位(王政廃止へ)。戦後の体制転換と記憶の政治の焦点。 

2006

サッダーム・フセインが12/30に処刑。移行期正義・戦後責任・映像/記憶の問題系を生んだ。 

かつて12月29日に起こった出来事

1170

カンタベリー大聖堂でカンタベリー大司教トマス・ベケットが殺害(12/29)。中世イングランドの教会権力と王権の緊張、殉教崇敬と巡礼文化の形成に大きな影響。 

1825

新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッド死去(12/29)。フランス革命〜ナポレオン期の政治的イメージ形成(美術と権力の結びつき)を考える上で重要。 

1845

テキサスが合衆国28番目の州として加盟(12/29)。奴隷制をめぐる国内対立、領土拡張の政治文化、米墨関係史の転回点。 

1876

パブロ・カザルス誕生(12/29)。バッハ《無伴奏チェロ組曲》の受容史を含む20世紀音楽文化・演奏解釈史の象徴的人物。 

1890

ウンデッド・ニーの虐殺(12/29)。米先住民史・植民地主義と国家暴力、記憶/追悼の政治をめぐる代表的事件。 

1937

アイルランド憲法(Bunreacht na hÉireann)が施行(12/29)。近代国家の主権概念、宗教・家族観、憲法文化の形成に関わる重要日。 

1940

「ロンドン第二の大火」(独空襲による大規模火災、12/29夜)。都市文化遺産、防災・記録映像、戦時下の象徴(セント・ポール大聖堂など)の表象史で重要。 

1972

作戦名ラインバッカーII(いわゆるクリスマス爆撃)が終結(12/29)。戦争の記憶、メディア表象、和平交渉の政治文化を考える素材。 

1989

ヴァーツラフ・ハヴェルがチェコスロヴァキア大統領に就任(12/29)。作家・知識人が体制転換期の象徴となる事例で、市民運動と言論空間の研究上重要。 

1996

グアテマラ「恒久和平合意」署名(12/29)。内戦終結と人権・和解・記憶(真相究明・被害者の語りの制度化)をめぐる重要文書群。 

必要なら、この10件を「文学・芸術」「宗教・法」「記憶と暴力(戦争/植民地)」の3群に並べ替えて、各項目ごとに“読むべき一次資料”も付けます。

かつて12月28日に起こった出来事

1065

ウェストミンスター寺院(旧教会)の献堂(祝別)(12/28)。王権儀礼・教会文化・中世イングランドの記憶の場として決定的。 

1836

スペインがメキシコ独立を承認(サンタ・マリア=カラトラバ条約、12/28)。脱植民地化・国家形成・外交文書史の節目。 

1895

リュミエール兄弟が「最初の商業的・公開映画上映」(パリのサロン・アンディアン、12/28)。映画=近代大衆文化の起点。 

1908

メッシーナ地震・津波(12/28)。災害と都市・宗教・追悼、そして「記録/記憶」の文化史を考える代表例。 

1912

サンフランシスコ市営鉄道(Muni)が運行開始(12/28)。近代都市の公共空間・移動文化・市民生活史の節目。 

1937

モーリス・ラヴェル死去(12/28)。20世紀音楽・モダニズム受容史に大きい。 

1945

米議会が「忠誠の誓い(Pledge of Allegiance)」を公式に位置づける決議を承認(12/28)。市民宗教・学校儀礼・国家象徴の研究上の重要日。 

1945

米作家セオドア・ドライサー死去(12/28)。アメリカ自然主義文学・社会小説の大きな柱。 

1973

米「絶滅危惧種法(ESA)」が署名成立(12/28)。自然観・公共善・環境倫理をめぐる現代人文学(環境人文学)の定番参照点。 

2004

スーザン・ソンタグ死去(12/28)。批評・表象論・公共知識人の系譜における重要人物の終焉。 

かつて12月27日に起こった出来事

1831

チャールズ・ダーウィンがHMSビーグル号でプリマスを出航(後の進化論形成に直結する航海の開始)。 

1901

マレーネ・ディートリヒ誕生(20世紀映画・舞台表象を代表する俳優/歌手)。 

1904

J.M.バリー『ピーター・パン』初演(ロンドン、デューク・オブ・ヨークズ劇場)。 

1932

ラジオシティ・ミュージックホール開場(NY、アール・デコの「大衆娯楽の殿堂」)。 

1945

IMF(国際通貨基金)が正式に発足(協定が発効し制度として始動)。 

1947

イタリア共和国憲法が公布(戦後民主主義の憲法文化を確立)。 

1949

オランダがインドネシアへ主権移譲(脱植民地化と国家形成の節目)。 

1968

アポロ8号が月周回ミッションから地球帰還(“地球を見る視点”の文化史的転換点としても語られる)。 

1978

スペイン憲法が国王により裁可(sancionada)(民主化=移行期の制度的クライマックス)。 

2007

ベナジル・ブット暗殺(パキスタン政治史と民主主義の記憶に深い影を落とす事件)。 

かつて12月26日に起こった出来事

1709

ヘンデル《アグリッピーナ》がヴェネツィアで初演(12/26)。政治風刺を含む台本と音楽で大成功し、オペラ史上の重要作として定着。 

1723

J.S.バッハのカンタータBWV40《Darzu ist erschienen der Sohn Gottes》が(降誕祭第2日=12/26に)ライプツィヒで初演。典礼・音楽文化の結節点。 

1871

英国のBank Holidays Act 1871が、(平日の)12月26日をバンク・ホリデーに指定(ボクシング・デーの制度化に直結)。祝祭文化の制度史として重要。 

1890

トロイ発掘で知られる考古学者シュリーマン死去(12/26)。ホメロス世界の「歴史性」をめぐる近代古典学・考古学史に大きな影響。 

1891

作家ヘンリー・ミラー誕生(12/26)。20世紀文学の表現規範(検閲・性表現・自伝的文体)を揺さぶった重要人物。 

1931

図書館学の発展に決定的だったメルヴィル・デューイ死去(12/26)。デューイ十進分類法など、知の整理・アクセスの近代史に直結。 

1941

チャーチルが米議会合同会議で演説(12/26)。同盟の物語化・戦時レトリックの古典例として政治文化史上重要。 

1966

ロサンゼルスで**最初のクワンザ(Kwanzaa)**が開始(12/26)。アフリカ系アメリカ人の文化回復・共同体形成をめぐる文化史の節目。 

1991

ソ連が12/26に法的に解体(最高会議による宣言)。20世紀史の大転換で、記憶・ナショナルアイデンティティ研究でも中核的。 

2004

インド洋大地震・大津波(12/26)。災害の記録化・追悼・集合的記憶(アーカイブ化)という人文学的課題を世界規模で突きつけた。 

かつて12月25日に起こった出来事

336

ローマ教会で12月25日の降誕祭(クリスマス)を正式に祝う記録が現れる(典礼史上の重要な節目)。

800

カール大帝が教皇レオ3世により「ローマ皇帝」として戴冠(西欧中世の政治神学・皇帝理念の転換点)。

1066

ウィリアム1世(征服王)がウェストミンスター寺院で戴冠(ノルマン征服の「儀礼による確定」)。

1642

アイザック・ニュートン誕生(旧暦12/25=新暦1/4)。近代思想史(科学革命・啓蒙)を代表する人物の生年表記として有名。

1776

ワシントンがデラウェア川を渡河(12/25夜〜26未明)。独立戦争の「物語化」や記憶文化(絵画・祝祭)でも極めて象徴的。

1926

大正天皇崩御/裕仁(昭和天皇)が即位、昭和改元(近代日本の時代区分と政治文化の大きな節目)。

1932

国王ジョージ5世が「王室クリスマス・メッセージ」を初放送(ラジオと王室儀礼=メディア文化史の定番事例)。

1977

チャールズ・チャップリン死去(映画史・20世紀大衆文化の巨星)。

1989

ニコラエ・チャウシェスクが革命後に殺害(処刑)(体制転換の「劇場性」や記憶の政治を考える上で重要)。

1991

ゴルバチョフがソ連大統領を辞任/クレムリンからソ連旗が降ろされる(「終わりの象徴行為」として政治史・記憶研究で頻出)。

かつて12月24日に日に起こった出来事

1524

ヴァスコ・ダ・ガマ死去(インドのコーチン)。大航海時代の海洋帝国形成と、以後の交易・植民地史の転換点に直結する人物の終焉。

1814

ガン条約(Treaty of Ghent)署名。米英戦争(1812年戦争)を終結させ、北米の国家形成と外交文化(戦争記憶の語り)に大きく影響。

1818

クリスマス聖歌 「きよしこの夜(Stille Nacht / Silent Night)」が初演(12/24)。近代の祝祭文化・宗教音楽・民衆信心の象徴的レパートリーとなる。

1851

米・議会図書館で火災(12/24)。約3万5千冊(ジェファソン旧蔵書の多くを含む)が焼失し、文化遺産保全と知の制度史の痛点に。

1865

クー・クラックス・クラン(KKK)結成(テネシー州プラスキー、12/24)。人種主義と暴力、記憶・トラウマ、再建期の公共圏をめぐる人文学的争点の核心。

1906

レジナルド・フェッセンデンが音声・音楽の無線放送(12/24)。モールス中心の通信から「放送文化」へ移る象徴的出来事としてメディア史上重要。

1914

第一次大戦の **「クリスマス休戦」**が各地で発生(12/24前後)。敵味方の境界を一時的に越える出来事として、戦争文化・記憶研究の定番事例。

1951

リビア独立宣言(イドリース1世が12/24に独立を宣布)。脱植民地化と国家建設、憲法・アイデンティティ形成の節目。

1968

アポロ8号、月周回軌道に入りクリスマス・イブ放送で創世記を朗読(12/24)。宗教テキストが「地球規模の同時体験」として再配置された文化史的瞬間。

1979

ソ連軍がアフガニスタンへ侵攻(12/24)。冷戦史だけでなく、イスラーム世界・難民・記憶の政治など、現代人文学の大きな問題系を形成。

次は 12月25日も同じ形式で続けますか?それとも、上の10件のうち「人文学的に一番おもしろい」ものを2〜3件選んで、一次資料(演説・条約文・歌詞・放送記録)ベースで深掘りしますか。

かつて12月23日に起こった出来事

1783

ジョージ・ワシントンが大陸軍総司令官を辞任(アナポリス)。革命後の「文民統制」や共和政の政治文化を象徴する出来事。 

1788

メリーランド州が連邦政府の首都用地(連邦直轄区)を議会に割譲する州法を可決。のちのワシントンD.C.成立史の重要節目。 

1805

ジョセフ・スミス誕生(後に末日聖徒イエス・キリスト教会の創設者)。近代アメリカ宗教史・新宗教運動史で影響大。 

1823

詩「Account of a Visit from St. Nicholas(いわゆる “The Night Before Christmas”)」がトロイ・センティネル紙に匿名で初掲載。近代サンタ像の形成に大きく寄与。 

1888

フィンセント・ファン・ゴッホの“耳切り事件”(アルル)。作品理解・芸術家神話・精神史/美術史研究の焦点となる出来事。 

1913

連邦準備法(Federal Reserve Act)が署名され成立。国家制度・経済思想・公共政策史(近代国家の統治技術)に関わる重要日。 

1948

東京裁判のA級戦犯(東條英機ら)が処刑。戦後責任・記憶の政治・国際刑事裁判史を考える上で重要。 

1979

ペギー・グッゲンハイム死去。20世紀前衛芸術の支援者として、美術館・コレクション形成史で大きな位置を占める。 

2016

国連安保理決議2334が採択(占領地入植活動をめぐる決議)。国際法・紛争史・人権言説の研究で参照頻度が高い。 

2021

ジョーン・ディディオン死去。ニュー・ジャーナリズム以後のエッセイ/ノンフィクション文学の巨人の終焉として文化史的に大きい。 

かつて12月22日に起こった出来事

以下、12月22日に起こった(またはその日付で記録される)人文学分野の重要事項を10件、Year | Event 形式でまとめます。

1639

ジャン・ラシーヌ(Jean Racine)が洗礼(出生の基準日としても扱われる)。フランス古典主義悲劇の頂点として、近代ヨーロッパ演劇・詩学・修辞文化に巨大な影響。

1666

フランス王立科学アカデミー(後のAcadémie des sciences)の最初期会合(王の図書館での会合)。学術制度化=知の公共性・宮廷文化・知識人史の転換点。

1808

ベートーヴェン「1808年12月22日演奏会」(ウィーン、テアター・アン・デア・ウィーン)。交響曲第5・第6番などが公に初演され、近代音楽史の“事件”として記憶される。

1849

ドストエフスキー、銃殺刑直前で恩赦(いわゆる模擬処刑)。以後の文学世界観(罪・救い・暴力・国家)を決定づけた経験として、文学史上の重大な分岐。

1858

ジャコモ・プッチーニ誕生。イタリア・オペラを19世紀後半から20世紀へ橋渡しし、音楽劇・大衆文化研究でも中心的作曲家。

1894

ドレフュス有罪評決(ドレフュス事件)。反ユダヤ主義、司法の正当性、報道と世論、知識人の公共介入(ゾラ等)をめぐる近代フランスの決定的事件。

1943

ビアトリクス・ポター死去(『ピーターラビット』)。児童文学・絵本表現の古典であり、自然観・教育文化・出版史にも長期的影響。

1966

ルーシー・バーンズ死去(米国婦人参政権運動)。運動史・公共圏のジェンダー秩序・抗議のレパートリー研究の重要人物。

1989

サミュエル・ベケット死去(『ゴドーを待ちながら』)。戦後文学・不条理演劇・実存的言語観の形成に決定的役割。

1989

ルーマニア革命で政権が崩壊(チャウシェスク失脚へ)。東欧革命の中でも暴力的転換として記憶され、体制崩壊の「記憶の政治」や移行期正義の論点を形成。

かつて12月21日に起こった出来事

12月21日に起こった(または12月21日付で起点・終点となった)、人文学(文学・哲学・歴史・宗教・文化・メディアなど)に関わる主な出来事を10件まとめます。

1375年

ジョヴァンニ・ボッカッチョ死去(チェルタルド)

『デカメロン』の著者であり、ペトラルカと並ぶ初期ルネサンス人文主義の中心人物が死去。イタリア語散文の確立、物語文学の形式、さらにギリシア・ラテン古典研究の発展に決定的役割を果たした。

1549年

マルグリット・ド・ナヴァル死去

フランソワ1世の姉で、ナヴァル王妃・作家・宗教改革寄りの保護者。短編集『エプタメロン』の作者として知られ、フランス・ルネサンス文学、人文主義・寛容思想・女性知識人史にとって重要な存在。

1909年

シャルル=ルイ・フィリップ死去(フランスの小説家)

革命期以後のパリ下層民の生活を写実的かつ共感的に描いた作家。代表作『モンパルナスのブブ』などを通じて、貧困・社会的不正義・都市下層文化を文学の主題に据えた先駆として、20世紀フランス文学・社会小説の流れに位置づけられる。

1878年

ヤン・ウカシェヴィチ誕生(ポーランドの論理学者・哲学者)

逆ポーランド記法や多値論理(ウカシェヴィチ論理)の創始者。ルヴフ=ワルシャワ学派の中心として、近代論理学・分析哲学・論理史研究の基盤を築き、「形式論理と哲学の接続」という点で20世紀哲学史に大きな影響を与えた。

1916年

モーリス・シャパ生誕(スイス仏語圏の詩人)

ヴァレー州の山岳世界・農村社会を中心に、自然・伝統・信仰・近代化のゆらぎを詩的に描写。フランス語スイス文学の「国民的」作家のひとりとされ、地域アイデンティティや山岳文化の表象を考えるうえで重要。

1917年

ハインリヒ・ベル誕生(ドイツの作家)

戦後ドイツ文学を代表する作家で、1972年ノーベル文学賞受賞。戦中・戦後の市井の人々の苦悩、カトリック教会や中産階級の偽善、消費社会の空虚さなどを描き、ドイツ社会の「道徳的良心」とも呼ばれる。

1954年

ロシアの法哲学者・宗教哲学者イワン・イリイン死去

亡命知識人として反ボリシェヴィキ的立場から法意識・国家・専制と自由を論じた思想家。近年、現代ロシア政治における保守思想・ナショナリズムの源泉として注目され、宗教・政治思想史研究の争点となっている。

1956年

アラバマ州モンゴメリーの市バスが統合され、ローザ・パークスが再びバスに乗車

381日続いたモンゴメリー・バス・ボイコットが、連邦最高裁によるバス分離違憲判決の施行を受けて事実上終結し、この日からバスが統合。ローザ・パークスが堂々と乗車する姿は、公民権運動史・人権思想・非暴力抵抗の象徴的イメージとなった。

2012年

いわゆる「2012現象」の焦点日(マヤ暦ロングカウント13バクトゥンの区切り)

マヤの長期暦サイクルがこの日で一区切りを迎えることから、「世界の終末」から「意識の変容」まで多様な終末論・ニューエイジ思想が拡散。実際にはマヤ世界では新たな周期の始まりとして儀礼・祝祭が行われ、先住民文化の受容とメディア的誤解の両面を考える好例となった。

2012年

PSY「Gangnam Style」がYouTube史上初の「再生10億回」を突破

韓国発ポップソングのMVが、YouTube初の10億再生動画となった日。K-POPのグローバル化、ソーシャルメディア時代の音楽流通、ミーム文化・パロディ文化の展開を象徴する出来事として、現代ポピュラー文化研究で頻繁に取り上げられる。

補足として、この日にはスイス詩人モーリス・シャパやポーランドの論理学者ウカシェヴィチ、ドイツ作家ベルなどの「誕生日」も集中しており、近現代ヨーロッパの文学・哲学・論理学をつなぐ節目の一日とも言えます。

かつて12月20日に起こった出来事

12月20日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・宗教・文化など)に関わる代表的な出来事を10件挙げます。

1812年

グリム兄弟が『子どもと家庭のメルヒェン(グリム童話集)』第1巻を刊行

ドイツ・ロマン主義と民話研究の金字塔であり、口承民話の採集・編集というかたちで「民衆文化」を文学の中心に押し上げた。初版第1巻は86篇を収め、後の版で大幅に増補されつつヨーロッパ童話文化を形成していく出発点となった。

1917年

ボリシェヴィキ政権が非常委員会チェーカー(Cheka)を設置

12月20日付の政令で設立されたチェーカーは、後のGPU・NKVD・KGBへと連なるソ連秘密警察の原型であり、「赤色テロ」に代表される国家暴力と監視体制の象徴となった。政治思想史・人権思想・記憶の文化研究において避けて通れない事件。

1920年

フィンランドの作家ヴァイノ・リンナ誕生

代表作『無名戦士』『ここ北極星の下』で知られるリンナは、庶民と兵士の視点からフィンランド内戦や第二次大戦を描き、国民的記憶と歴史像の形成に大きく寄与した。1920年12月20日にウルヤラ近郊で生まれる。

1940年

『Captain America Comics』第1号が発売

カバーの日付は1941年3月だが、実際の発売は1940年12月20日。ナチスのヒトラーを殴るキャプテン・アメリカの表紙は、アメリカン・コミックスにおける反ファシズム・プロパガンダと大衆文化の交差点として、メディア研究・カルチュラル・スタディーズで重要な事例となっている。

1946年

映画『素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life)』がニューヨークのグローブ座で初公開

当初は興行的に振るわなかったが、後に「クリスマス映画」の決定版として再評価され、人間の価値・共同体・救いをめぐるアメリカ文化・宗教意識を考える上で古典的テキストとなった。公開は1946年12月20日。

1955年

カーディフがウェールズの首都と公式に認定される

1955年12月20日、内務大臣グウィリム・ロイド=ジョージが議会答弁でカーディフをウェールズの首都と宣言。これにより、国立博物館や政府機関が集積し、ウェールズ語文化・ナショナル・アイデンティティを象徴する都市としての位置づけが明確になった。

1969年

アラン・ド・ボトン誕生

チューリヒ生まれの作家・思想家ド・ボトンは、『人生に必要な七つの哲学』『仕事に必要なことはすべて哲学で学んだ』などを通して、古典哲学を日常の悩みや感情に結びつける「実用哲学」を普及させた。1969年12月20日生。

1985年

教皇ヨハネ・パウロ2世が「世界青年の日(World Youth Day)」の創設を12月20日に公式発表

1985年ローマでの青年集会の成功を受け、この日付の発表によって、以後世界各地で定期的に開催されるカトリック青年集会の制度が整えられた。現代カトリックの若者文化・巡礼・宗教フェスティバル研究の基点となる出来事。

1999年

マカオの主権がポルトガルから中華人民共和国へ返還

1999年12月20日午前0時に主権が正式移譲され、「一国二制度」の枠組みの下でマカオ特別行政区が発足。16世紀以来のポルトガル植民地支配の終焉であり、アジアの脱植民地化・ポストコロニアル都市文化研究における重要な転換点となっている。

1948年

アブドゥルラザク・グルナ誕生

ザンジバル出身の英語作家グルナは、亡命・難民・植民地主義の影響を主題とし、『パラダイス』『海辺にて』などで知られる。1948年12月20日生まれで、2021年にノーベル文学賞を受賞し、ポストコロニアル文学の重要な声として国際的評価を確立した。

かつて12月19日に起こった出来事

12月19日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・言語・文化など)に関わる代表的な出来事を10件まとめます。

1154年

イングランド王ヘンリー2世の戴冠

プランタジネット朝の開幕。後の「コモン・ロー(英米法)」や陪審制度など、英米世界の法文化の基盤となる改革の出発点として、法思想・政治文化史上きわめて重要。

1732年

ベンジャミン・フランクリンが『プア・リチャードの暦』を初出版

格言・ことわざ・生活実用情報を組み合わせたアルマナックで、清貧・勤勉・自己修養といった啓蒙主義的倫理を大衆に普及し、アメリカ文化の価値観形成に大きな影響を与えた。

1776年

トマス・ペイン『アメリカン・クライシス』第1論文を刊行

「These are the times that try men’s souls…」で始まるこの政治パンフレットは、独立戦争の最も厳しい時期に兵士と市民を鼓舞し、革命的レトリック・政治思想・公共言論史の古典となった。

1843年

チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』初版刊行

ロンドンの出版社から12月19日に初版が出され、クリスマス前に即完売。クリスマスのイメージ(家族・慈善・祝宴)を決定づけ、ヴィクトリア朝文学だけでなく近代の祝祭文化全体に強い影響を残した。

1848年

エミリー・ブロンテが死去

『嵐が丘』で知られるブロンテ姉妹の一人エミリーが12月19日に30歳で没。彼女の早逝は作品数を少なくした一方で、単一長編が英文学・フェミニズム批評・ロマン主義研究における「カルト的古典」として読み継がれる契機となった。

1910年

ジャン・ジュネ誕生

フランスの劇作家・小説家・詩人ジュネが12月19日に生まれる。アウトサイダーや同性愛、権力と暴力をテーマにした作品は、20世紀演劇・クィア文学・ポスト構造主義的読解にとって重要なテキストとなった。

1910年

ホセ・レサマ・リマ誕生

キューバの詩人・小説家レサマ・リマがハバナ近郊で誕生。難解かつ濃密な象徴主義的文体でラテンアメリカ文学・ポエティカに大きな影響を与え、『パラディーソ』などはバロック的スペイン語文学の極致とされる。

1924年

ミシェル・トゥルニエ誕生

パリ生まれの小説家トゥルニエが誕生。神話や寓話の翻案を通じて近代社会や主体の問題を描き出し、神話批評・哲学的人文学と現代小説を架橋する作家として評価されている。

1928年

イヴ・バンティング誕生

北アイルランド出身で米国で活躍した児童文学作家バンティングが12月19日に生まれる。難民、戦争、差別など重いテーマを子ども向け絵本で扱い、教育現場における「物語を通じた社会教育」の代表的著者となった。

1984年

中英共同声明(香港問題に関する英中共同声明)調印

12月19日、北京の人民大会堂でサッチャー英首相と趙紫陽首相が署名。香港返還と「一国二制度」の枠組みを定めたこの条約は、植民地支配の終焉、主権移譲、法制度・人権・自治をめぐる議論など、現代の政治思想・国際法・ポストコロニアル研究における重要なケーススタディとなっている。

補足として、2019年12月19日には、ダ・ヴィンチ《白テンを抱く貴婦人》などを所蔵するクラクフのチャルトリスキ美術館が大規模改修を終えて再開館しており、ヨーロッパ美術史研究と文化遺産保存の観点から注目されました。

かつて12月17日に起こった出来事

12月17日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・歴史・人権など)に関わる主な出来事を10件まとめました。

1273年 イスラーム神秘主義の詩人ルーミーがコンヤで死去 メスネヴィなどの大作で知られるスーフィー詩人。死は「結婚の夜(シャブ・エ・アロース)」として祝福され、宗教を超えた弔いが行われたと言われます。神秘主義・比較宗教・詩の領域でいまも世界的に読まれる人物です。(ウィキペディア)

1538年 ローマ教皇パウルス3世がヘンリー8世を破門(2度目) イングランド国教会の成立とカトリック教会からの決定的決裂を象徴する出来事。宗教改革史・教会法・政治思想(王権と教権の関係)を考える重要な節目です。(EnglandCast)

1790年 メキシコシティのソカロ(中央広場)でアステカの「太陽の石(暦石)」が発見される 直径約3.5m、重さ24トンの巨大な石碑で、アステカ宇宙観を象徴する遺物。メソアメリカ考古学の出発点の一つとされ、先住民文化の再評価・国民的アイデンティティ形成に大きく寄与しました。(ウィキペディア)

1807年 アメリカの詩人・奴隷制廃止運動家ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア誕生 「炉辺詩人」の一人として家庭的で道徳的な詩を多く残すと同時に、クエーカーとして反奴隷制運動に深く関わりました。文学と社会運動(特に奴隷制批判)の結びつきを示す代表的存在です。(ウィキペディア)

1825年 アメリカ人作家ジョン・ニールが哲学者ジェレミ・ベンサムの秘書となり、功利主義思想に引き込まれる ロンドンでの同居・秘書経験を通じて、ベンサムの功利主義がアメリカの文学者に直接影響した珍しい例。英米をまたぐ思想交流史の一断面として興味深い出来事です。(ウィキペディア)

1830年 フランスの作家ジュール・ド・ゴンクール誕生 兄エドモンと共に自然主義的な小説・美術批評・日記文学で知られ、後にフランス最高の文学賞の一つ「ゴンクール賞」の名の由来となります。19世紀パリ文壇と自然主義文学を語るうえで不可欠です。(ウィキペディア)

1843年 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』初版が刊行される ロンドンの出版社チャップマン&ホールからクリスマス物語として出版され、クリスマス文化・慈善精神・社会批判(貧困・労働問題)のイメージを決定づけた近代クリスマス神話の原点的作品です。(pop-culture.net)

1933年 第13代ダライ・ラマ(トゥプテン・ギャツォ)がラサで死去 近代化政策や独立宣言で知られるチベットの宗教的・政治的指導者が死去し、後継者(現14世ダライ・ラマ)探しとともにチベット近現代史の大きな転換点となりました。チベット仏教史・植民地後史の研究上重要です。(ウィキペディア)

1957年 推理作家・神学エッセイストのドロシー・L・セイヤーズが死去 ロード・ピーター・ウィムジー物語で知られる一方、ダンテ『神曲』の英訳やキリスト教神学エッセイでも大きな功績を残しました。ミステリ文学とキリスト教思想・中世文学研究を架橋した人物の生涯の終わりです。(ウィキペディア)

1986年 コロンビアの新聞『エル・エスペクタドール』編集長ギジェルモ・カーノ・イスササが暗殺される 麻薬カルテル批判を続けたために殺害された事件で、報道の自由とジャーナリスト保護の象徴的事例となりました。後にユネスコによる「ギジェルモ・カーノ世界報道自由賞」創設の契機ともなっています。(ウィキペディア)

かつて12月16日に起こった出来事

12月16日に起こった、人文学(文学・思想・芸術・人権・歴史意識など)に関わる主な出来事を10件まとめてみました。

1770年ごろ

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの誕生(一般に12月16日とみなされる)

洗礼記録は17日ですが、当時すぐ洗礼する慣習があり、本人も含めて16日生まれとみなされます。西洋音楽史を決定的に変えた作曲家の誕生として象徴的な日。

1773年

ボストン茶会事件(Boston Tea Party)が決行される

「代表なくして課税なし」を掲げたアメリカ植民地側の抗議行動。後のアメリカ独立・近代民主主義思想・市民的不服従の象徴的エピソードとして、政治思想史・歴史意識のうえで大きな意味をもつ出来事です。

1775年

イギリスの小説家ジェイン・オースティンがハンプシャー州スティーヴントンで誕生

『高慢と偏見』『エマ』などで知られ、日常生活・結婚・階級を写実的かつアイロニカルに描いて近代小説の姿を決定づけた存在。英文学だけでなくジェンダー研究・社会史にも大きな影響。

1863年

スペイン生まれの哲学者・詩人ジョージ・サンタヤーナがマドリードで誕生

「過去を記憶できない者は、それを繰り返す運命にある」などの格言で知られる哲学者。美学・宗教哲学・文化批評において、20世紀思想に長く影響を与えています。

1917年

SF作家アーサー・C・クラークがイングランドのマインヘッドに誕生

映画『2001年宇宙の旅』の原作者として有名。科学と想像力を結びつけ、宇宙探査・テクノロジーと人間の未来についての文化的想像力を大きく拡張しました。

1928年

アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックがシカゴで誕生

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などで、現実・アイデンティティ・権力の操作といった哲学的テーマをSFとして描写。後の映画やポップカルチャーに多大な影響を与えた作家です。

1966年

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」が国連総会で採択される

思想・良心・宗教の自由、表現・集会の自由などを国際的に保障する基本文書。いわゆる「国際人権規約」の一角をなし、人権思想・法哲学・政治思想にとって画期的な出来事です。

1966年

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(ICESCR)」も同じく12月16日に採択される

教育・労働・社会保障・文化生活への参加などの権利を国際法として位置づけた条約。文化権・教育権の議論など、人文学の社会的意義を考えるうえで欠かせない基盤文書です。

1971年

ダッカでパキスタン東部軍が降伏文書に調印し、バングラデシュ解放戦争が終結(バングラデシュの「勝利の日」)

パキスタン軍の降伏により東パキスタンがバングラデシュとして独立。大量虐殺の記憶とともに、民族自決・植民地主義後の国民国家形成、人権侵害の記憶化などを考える重要な歴史的転換点です。

2020年

国連総会が決議75/170を採択し、「国際アフリカ系人々の日」(8月31日)を制定

アフリカ系ディアスポラの歴史と文化的貢献を顕彰し、差別に対する闘いと人権尊重を促進する国際デーの創設。記憶・人種・植民地主義をめぐる現代人文学・人権研究に直結する出来事です。

かつて12月15日に起こった出来事

12月15日に起こった、人文学(歴史・文学・芸術・文化・思想など)に関わる主な出来事を10件挙げます。

37年

ローマ皇帝ネロの誕生

後に第5代ローマ皇帝となるネロが、イタリアのアンティウムで生まれる。ユリウス=クラウディウス朝最後の皇帝であり、大火とキリスト教徒迫害、そして自ら「芸術家」を名乗った統治者として、古代ローマ文化・初期キリスト教史の両方に大きな影響を残した。 

1654年

トスカナで系統的な気象観測が開始

トスカナ大公国のフィレンツェに設けられた気象観測所が、この日から日々の気温の継続記録を開始。17世紀半ばからの長期データは、科学史・環境史・気候変動研究にとって重要な一次史料となっている。 

1791年

米国「権利章典」(憲法修正1〜10条)が発効

バージニア州が批准し、合衆国憲法の前10の修正条項、いわゆる「Bill of Rights」がこの日に発効。言論・信教・集会の自由や適正手続きなどを保障し、後世の自由主義思想や各国の人権規定に大きな影響を与えた。 

1815年

ジェイン・オースティン『エマ』刊行

イギリスの作家ジェイン・オースティンの長編小説『エマ』がロンドンで出版される。裕福で自信家の若い女性が「良かれと思って」周囲の恋愛を操作し、やがて自己認識に至る物語で、「小説の語り手」とアイロニーの使い方において近代小説史で重要な位置を占める。 

1840年

ナポレオンの遺骸がパリへ改葬

セントヘレナ島に埋葬されていたナポレオン1世の遺骸がフランスに帰還し、この日アンヴァリッド(廃兵院)のドーム教会に安置される。帝政の記憶を「国家的カルト」として再構成する一大儀礼であり、フランスの記憶・ナショナリズム研究でも象徴的な出来事。 

1890年

ラコタの指導者シッティング・ブルの殺害

ラコタの精神的指導者シッティング・ブルが、スタンディングロック居留地でインディアン警察により逮捕される際の銃撃で死亡。この出来事はその後の「ウーンデッド・ニーの虐殺」ともつながり、アメリカ先住民の抵抗と抑圧の歴史を象徴する事件として記憶されている。 

1928年

フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー誕生

オーストリアの画家・建築家フンデルトヴァッサー(本名フリードリヒ・シュトヴァッサー)がウィーンで生まれる。直線と画一性を嫌い、有機的な曲線と鮮烈な色彩、自然との共生を重視した建築・都市論は、20世紀後半の環境芸術・建築思想に大きな影響を与えた。 

1939年

映画『風と共に去りぬ』世界初公開

マーガレット・ミッチェルの同名小説を原作とするハリウッド映画『Gone with the Wind』が、アメリカ南部アトランタのフォックス劇場でプレミア上映される。映画史上屈指の大作として人気を博す一方、南北戦争と奴隷制の描き方をめぐり、記憶と表象の政治の典型例として今日まで議論の対象となっている。 

1966年

ウォルト・ディズニー死去

ミッキーマウスやディズニーランドを生み出し、長編カラーアニメーション映画を産業として確立した映画プロデューサー、ウォルト・ディズニーがカリフォルニア州バーバンクで死去。アニメーション技術・家族向けエンターテインメント・グローバルなポピュラーカルチャーのあり方に決定的な影響を残した。 

2001年

ピサの斜塔、長期修復を経て再公開

傾斜の進行により1990年から閉鎖されていたイタリア・ピサの斜塔が、11年にわたる地盤改良と構造補強を経て、この日に一般公開を再開。世界遺産に指定された中世建築を「倒さず・真っ直ぐにもせず」保存するという方針は、文化遺産保存の代表的なケーススタディとなっている。 

※ 1654年の出来事は自然科学寄りですが、「長期にわたる観測記録」という形で人間の世界理解・歴史叙述(気候史・環境史)に深く関わるため、人文学史的な観点から含めました。

かつて12月14日に起こった出来事

12月14日に起こった/この日に結びつく、人文学(思想・文学・芸術・人権など)に関わる出来事を10件、年順にまとめました。

1542年

生後6日のメアリーが スコットランド女王メアリー(Mary, Queen of Scots)として即位

スコットランド王ジェームズ5世の急死により、生後まもなく即位。スコットランド宗教改革・イングランドとの王位継承争い・カトリック/プロテスタント対立など、近世ヨーロッパ宗教政治史の核心に位置する人物の統治がこの日に始まる。

1546年

ルネサンス期の天文学者 ティコ・ブラーエ誕生(デンマーク・スコーネ)

きわめて精密な観測によってコペルニクス以後の宇宙像を準備し、科学革命の基礎を築く。占星術・錬金術も行った「境界期の知識人」として、科学史・知の社会史の好例。

1631年

ケンブリッジ・プラトニストと交流した形而上学者 アン・コンウェイ誕生(ロンドン)

一元論的な「生ける実体」の形而上学を展開し、ライプニッツにも影響を与えたとされる女性哲学者。近世における女性思想家の再評価の鍵となる人物。

1640年(洗礼日)

アフラ・ベーン洗礼(イングランド)—初の「職業女性作家」

ベーンは後に『オルーノコ』などを書き、英語圏で最初に筆一本で生活した女性作家として知られる。ジェンダー・文学史・植民地主義批判(奴隷制描写)を考えるうえで重要。

1887年

アルゼンチンの画家・詩人 スール・ソラル(Xul Solar)誕生

想像上の言語やボードゲームを考案し、占星術・宗教・音楽理論を取り込んだ作品を残したラテンアメリカ前衛芸術家。ボルヘスらとの交流でも知られ、近代アルゼンチン文化史の象徴的存在。

1916年

アメリカの小説家 シャーリイ・ジャクスン誕生(サンフランシスコ)

短編「くじ」(The Lottery)や『山荘綺談』などで、日常の中の不安と暴力を描いた作家。ホラー/ゴシック文学だけでなく、ジェンダーや共同体批判の観点からも再評価が進んでいる。

1918年

プッチーニの三部作オペラ 《イル・トリッティコ》(『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』)がメトロポリタン歌劇場で世界初演

コミカルな『ジャンニ・スキッキ』とアリア「私のお父さん」は特に人気を博し、20世紀イタリア・オペラと都市ブルジョワ文化のイメージを形づくる。

1925年

アルバン・ベルクのオペラ 《ヴォツェック(Wozzeck)》ベルリン国立歌劇場で初演

ビューヒナーの未完戯曲にもとづく表現主義オペラ。無調音楽と厳格な構成を組み合わせ、戦争・貧困・権力による抑圧に翻弄される兵士の崩壊を描き、「モダニズム音楽劇」の代表作となる。

1960年

UNESCO「教育における差別に反対する条約」採択(パリ)

人種・性別・宗教・言語などによる教育上の差別を禁止し、少数者の言語教育・宗教教育の自由を保障する国際条約。教育の権利と文化的多様性に関する国際人権法の基礎文書の一つ。

1971年

バングラデシュ独立戦争で パキスタン軍と協力組織アル=バドルらが多数の知識人を虐殺—後に「殉教知識人の日」として記念

ダッカなどで大学教授・医師・ジャーナリストなどが計画的に殺害され、植民地主義・民族浄化と「知識人層の抹殺」という暴力の関係を象徴する事件。バングラデシュでは毎年12月14日に追悼が行われる。

おおまかに言うと、12月14日は

コンウェイやベーン、ジャクソン、デュレンマット/スール・ソラルのような 作家・思想家・芸術家の誕生日・命日 《イル・トリッティコ》《ヴォツェック》初演のような 20世紀音楽史の節目 UNESCO条約やバングラデシュ殉教知識人の日のような 教育・人権・知識人共同体をめぐる出来事

が重なっている日、と見ることができます。

この中で「もう少し詳しく知りたい出来事」があれば、1つ選んでくだされば、個別に掘り下げて解説します。

かつて12月13日に起こった出来事

12月13日に起こった/12月13日と結びつく人文学系の出来事を、年順に10件挙げます。

1577年

フランシス・ドレイクがプリマス港から出航し、のちに世界周航となる航海を開始

大航海時代の想像力を広げ、地理・民族誌・旅行記文学の重要な題材になった航海のスタート。

1797年

ドイツ詩人ハインリヒ・ハイネ誕生(デュッセルドルフ)

ロマン派抒情詩と政治的風刺を結びつけた詩人。多くのリートの歌詞となり、「本が燃やされるところでは、人間も焼かれる」という警句でも知られる。

1871年

カナダの画家・作家エミリー・カー誕生(ブリティッシュコロンビア州ヴィクトリア)

先住民のトーテムポールや集落、太平洋岸北西部の自然を主題とした絵画と随筆で、カナダ文化と先住民芸術の理解を深めた人物。

1890年

小説家・詩人ドルシー・ディーマー誕生(ニュージーランド・クライストチャーチ)

シドニーのボヘミアン文化を代表する作家で、オーストラリア作家協会の創設メンバー。「キングス・クロスの女王」として文学と都市文化を結びつけた。

1902年

社会学者タルコット・パーソンズ誕生(米コロラド州コロラドスプリングス)

構造機能主義と「行為理論」で20世紀社会学に大きな影響を与え、マックス・ヴェーバーらの翻訳と解釈を通じて社会科学の理論枠組みを形成。

1927年

アメリカの詩人ジェイムズ・ライト誕生(オハイオ州マーティンズ・フェリー)

ディープ・イメージ派の代表的詩人の一人。『Collected Poems』でピュリツァー賞を受賞し、米国中西部の労働者世界と内面の救済を詩に刻んだ。

1954年

YAファンタジー作家タモラ・ピアス誕生(米ペンシルベニア州サウス・コネルスビル)

少女騎士アラナの成長を描く《Song of the Lioness》など、強い女性主人公の物語でYAファンタジーに新しいロールモデルを提示した作家。

1984年

カナダの詩人・SF作家アマル・エル=モフタール誕生(オタワ)

受賞作『時を紡ぐ恋人たち(This Is How You Lose the Time War)』などで知られるスペキュレイティブ・フィクション作家。詩・批評・書評を通じて現代SF文学に影響。

1975年

「無国籍の削減に関する条約」が発効(1961年採択の国連条約)

無国籍状態を減らすことを目的とする国際人権条約がこの日に発効し、国籍と市民権をめぐる法と人権の議論に大きな枠組みを与えた。

2006年

「障害者の権利に関する条約(CRPD)」が国連総会で採択

障害のある人を「保護の対象」ではなく権利主体として位置づける初の包括的国際条約。障害学・人権論・社会政策に大きな転換点をもたらした。

※あくまで「人文学(文学・芸術・歴史・社会思想・人権法など)との関連が深い出来事」を優先して選んでいます。もし特定分野(例:文学だけ/美術だけ/国際人権法だけ)に絞ったリストが欲しければ、そのバージョンも作ります。

かつて12月12日に起こった出来事

12月12日に起こった/この日に結びつく、人文学(思想・宗教・文学・メディア・人権など)に関わる出来事を10件まとめました。

1204年

ユダヤ人哲学者・律法学者 マイモニデス(モーセ・ベン・マイモン)死去(フスタート)

『ミシュネー・トーラー』『当惑する者への導き』で知られる中世ユダヤ思想の巨人。アリストテレス哲学と啓示の調和を試み、その思想はスコラ学・イスラーム神学にも大きな影響を与えた。

1524年

ローマ・ユダヤ教徒共同体の組織を教皇クレメンス7世が承認

ローマのユダヤ人共同体の自治的組織が公認される。後のゲットー化や差別の歴史を含め、ヨーロッパにおけるユダヤ共同体の法的地位・宗教的寛容を考えるうえで重要な節目。

1821年

フランスの小説家 ギュスターヴ・フローベール誕生(ルーアン)

『ボヴァリー夫人』をはじめとする作品で写実主義文学を切り開き、文体の厳密さ・作家の「無私性」など、以後の小説理論に決定的な影響を与えた。

1901年

マルコーニが大西洋横断の初の無線電信信号を受信(ニューファンドランド島)

コーンウォールから送られたモールス信号「S」が約3400kmを越えて届く。世界同時通信の時代の幕開けであり、メディア史・コミュニケーション論・グローバル化研究の象徴的な出来事。

1917年

カトリック司祭エドワード・フラナガンが 「ボーイズ・タウン」創設(米ネブラスカ州)

問題行動のある少年たちのための自主管理的コミュニティ。「見捨てられた子ども」へのまなざしや、福祉・教育・キリスト教的人間観を考えるうえで象徴的な実践例となった。

1935年

ナチス親衛隊の「レーベンスボルン計画」開始

「アーリア人種」の増殖を目的とした出産施設・養子制度を制度化。身体・血統を管理するバイオポリティクスの極端な例として、現代倫理学・ホロコースト研究・家族社会学の重要なテーマとなっている。

1870年

アメリカ合衆国下院で ジョゼフ・H・レイニーが最初の黒人議員として宣誓

奴隷出身のレイニーが下院議員に就任。アメリカ政治におけるアフリカ系市民の代表権の始まりを象徴し、人種・市民権・民主主義の歴史研究で頻繁に取り上げられる。

1963年

ケニア独立宣言(イギリスからの独立)

ジョモ・ケニヤッタを首班としてケニアが主権国家として独立。脱植民地化・アフリカ民族主義・ポストコロニアル文学(ングギ・ワ・ティオンゴなど)を理解するうえで鍵となる日。

2000年

米連邦最高裁判所 Bush v. Gore 判決

フロリダ州の再集計打ち切りを命じ、事実上ジョージ・W・ブッシュを当選とする判断を下す。選挙制度・司法の役割・民主主義の正統性をめぐる政治哲学・法哲学の典型的ケースとして論じられている。

2015年

パリ協定(Paris Agreement)採択(COP21)

地球温暖化対策のための新たな国際枠組みとして、約200カ国が温室効果ガス削減の長期目標に合意。環境倫理・世代間正義・地球市民社会など、21世紀人文学の中心テーマを象徴する出来事。

ざっくり言うと12月12日は、

マイモニデスやフローベールなどの古典的人文学の巨人に結びつきつつ、 マルコーニ、レーベンスボルン、ボーイズ・タウンのような近現代の社会・メディア・倫理のターニングポイントが重なり、 レイニー就任・ケニア独立・Bush v. Gore・パリ協定のような**「民主主義と人権・地球環境」をめぐる節目**も集中している日、と言えそうです。

かつて12月11日に起こった出来事

12月11日に起こった/この日に結びつけられている、人文学(哲学・思想・文学・法哲学・文化・人権・環境倫理など)に関わる出来事を10件まとめました。

1198年

イスラーム哲学者イブン・ルシュド(アヴェロエス)、マラケシュで死去

アリストテレス注解で知られるアンダルスの大哲学者イブン・ルシュドがこの日亡くなる。彼の「理性と啓示の調和」をめぐる議論は、イスラーム神学だけでなく中世ラテン思想にも決定的な影響を与え、トマス・アクィナスらとの「アヴェロエス主義」論争を生んだ。

1810年

アルフレッド・ド・ミュッセ、パリに生まれる

フランス・ロマン主義を代表する詩人・劇作家ミュッセの誕生日。『世紀児の告白』や一連の戯曲は、19世紀フランス文学における「退廃」「倦怠」「恋愛と自意識」のテーマを象徴し、のちの詩人や劇作家に強い影響を残した。

1918年

アレクサンドル・ソルジェニーツィン誕生

ロシアの作家・思想家ソルジェニーツィンがキスロヴォツクに生まれる。『イワン・デニソヴィチの一日』『収容所群島』などの作品を通してソ連の政治抑圧とラーゲリの実態を世界に告発し、「文学が体制を告発し得る」ことを示したノーベル文学賞作家。

1931年

ロナルド・ドウォーキン誕生

アメリカ生まれの法哲学者ロナルド・ドウォーキンが、この日にマサチューセッツ州などで生まれたと記録される(出身地表記には若干の揺れあり)。「権利としての法」「一貫性としての法」を唱え、憲法解釈や人権論に大きな影響を及ぼした。

1931年

リタ・モレノ誕生

プエルトリコ出身の俳優・歌手・ダンサー、リタ・モレノがフマカオに生まれる。映画『ウエスト・サイド物語』でアカデミー賞を受賞し、エミー・グラミー・オスカー・トニーの「EGOT」を達成した最初期の人物の一人として、ラテン系女性の表象史における転換点となった。

1936年

英王エドワード8世、王位放棄をラジオ演説で表明(英国王位放棄事件)

アメリカ人離婚女性ウォリス・シンプソンとの結婚を選び、戴冠前に自ら王位を捨てた初めての英国君主。BBCラジオでの退位演説は、近代君主制・メディア・「ロイヤル・ロマンス」をめぐる文化史の象徴的事件となり、数多くの文学作品や映画・伝記で扱われている。

1937年

ジム・ハリソン誕生

アメリカの作家ジム・ハリソンがミシガン州グレイリングに生まれる。詩・小説・エッセイで自然、食、暴力と喪失を描き、『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』は映画化されて広く読まれるなど、アメリカ文学における「アウトドア文学」「ルーツ回帰」の代表的存在となった。

1946年

国連総会、UNICEF(国連児童基金)の設立を決議

第1回国連総会で、戦後の子どもと母親を救済するための「国際児童緊急基金」としてUNICEF設立決議が採択される。のちに恒久機関となり、教育・保健・権利保護を通じて「子どもの権利」概念の普及と国際人道主義の発展に大きく貢献した。

1997年

京都で「京都議定書」採択

地球温暖化対策に関する初の法的拘束力ある国際条約として、国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択される。環境倫理・世代間正義・国際法の分野で、気候危機に対する人類の責任をどう捉えるかという議論の基準点となった。

2003年以降(記念日制定は2003年)

国連総会、12月11日を「国際山岳デー(International Mountain Day)」に指定

山岳地域の自然・文化・生活を守るため、国連総会がこの日を「国際山岳デー」と定める。山岳宗教・少数民族文化・環境保全など、山をめぐる人文学・環境人文学のテーマを世界的に可視化する契機となっている。

今回も「政治・環境」寄りの出来事もありますが、いずれも人間観・価値観・表象のあり方に深く関わるものとして、人文学の射程に入るものを選んでいます。

かつて12月10日に起こった出来事

12月10日に起こった「人文学分野」(思想・宗教・人権・文学・文化史)に関わる出来事を10件まとめました。

1520年

ルター、教皇勅書『Exsurge Domine』をウィッテンベルク城外で焼く

10月に届いた破門警告の勅書を、猶予60日の最終日に公衆の面前で焼却。教会法や教皇権に対する公開の挑戦であり、宗教改革が「修正運動」から公然たる決裂へと踏み出した象徴的行為となった。

1896年

アルフレッド・ノーベル、イタリア・サンレモで死去

10月に遺言を書き、莫大な財産を人類の功績を顕彰する賞に充てるよう定めてから1年後の12月10日に死去。この命日が後にノーベル賞授賞式の日付となり、「科学・文学・平和」を記念する世界的な記念日になっていく。

1901年

第1回ノーベル賞授賞式、ストックホルムで開催

ノーベルの死から5年目のこの日、物理・化学・生理学医学・文学・平和の各分野で初の受賞者が表彰された。以後、知の国際的権威付けの典型として、学問・文化の世界地図に大きな影響を与える制度として定着する。

1906年

セオドア・ルーズベルト、ノーベル平和賞(初のアメリカ人受賞者)

日露戦争講和の仲介に対して授与され、この日オスロで授賞式が行われた。現職の(しかも帝国主義批判も浴びる)政治指導者への授賞は、平和賞の「政治性」や選考基準をめぐる議論を早くも生み出すことになる。

1909年

セルマ・ラーゲルレーフ、女性として初めてノーベル文学賞を受賞

スウェーデンの作家ラーゲルレーフがこの年の文学賞受賞者となり、12月10日の晩餐会でスピーチを行った。彼女はのちに女性参政権や難民救済にも関わり、「女性作家による世界文学」の可能性を切り開いた存在とされる。

1948年

国連総会、パリのパレ・ド・シャイヨーで「世界人権宣言」を採択

第3回総会で、人類史上初の包括的な人権カタログが決議217A(III)として採択される。「すべての人間は、生まれながらに自由で、かつ尊厳と権利とについて平等である」とうたうこの宣言は、その後の国際人権法・憲法・教育の大枠を形作った。

1953年

ウィンストン・チャーチル、ノーベル文学賞授賞式(ストックホルム)

『第二次世界大戦回顧録』などの歴史・伝記文学と「崇高な人間的価値を擁護する名文の雄弁」が評価され文学賞を受賞し、12月10日の式で夫人が晩餐会スピーチを代読。政治家でありつつ「歴史を書く者」として記憶される典型例となった。

1964年

マーティン・ルーサー・キング Jr.、ノーベル平和賞受賞演説(オスロ)

公民権運動の指導者キング牧師が、この日オスロ大学講堂で受賞演説を行い、「アメリカへの揺るぎない信頼」と「人類の未来への大いなる希望」を語った。非暴力闘争・人種平等・キリスト教倫理が世界的な文脈で語られた代表的テキストとなる。

1968年

カール・バルトとトマス・マートンが同日に死去

バルトはスイス改革派の神学者として20世紀プロテスタント神学を一新し、この日バーゼルの自宅で死去。マートンは同日、バンコクでの宗教者会議参加中に感電事故で急逝した修道士・霊性作家。ふたりの死は、戦後キリスト教思想の一つの世代の幕切れとして象徴的に語られる。

1996年

南アフリカ共和国新憲法、ネルソン・マンデラ大統領が署名

シャープビルでマンデラが新憲法に署名。人権章典を中核とするこの憲法は、アパルトヘイト克服後の多民族民主国家の理念と制度を定式化し、世界的にも「人権憲法」のモデルとして頻繁に参照されている。

補足として、この日付には

ノーベル賞授賞式そのものが毎年行われる日(ノーベルの命日に合わせて1901年以降継続) 1948年の世界人権宣言を記念する 「世界人権デー」 が各国で祝われる日

という二つの大きな「世界的記念日」が重なっています。

もしよければ、次は12月11日版も、同じ形式(年表+一言コメント)でお出しします。

かつて12月9日に起こった出来事

12月9日に起こった「人文学」(文学・思想・宗教・人権・文化)の出来事を、年代順に10件まとめました。

1608年

ジョン・ミルトン誕生(ロンドン)

英国の詩人・思想家。叙事詩『失楽園』などを通して、人間の自由意志・責任・革命期の政治思想を描き、シェイクスピアと並ぶ英文学の基盤を作った。

1905年

フランス「政教分離法(1905年12月9日法)」制定

国家と教会の分離を定めた画期的法律。国家の宗教的中立(ライシテ)と良心の自由を原則とし、現代フランスにおける世俗主義と宗教・公共空間の関係を規定した。

1916年

夏目漱石逝去(東京)

近代日本文学を代表する小説家。『吾輩は猫である』『こころ』などで、近代化の中で揺れる「個人」と日本社会を描き、以後の日本文学・知識人像に決定的な影響を与えた。

1931年

スペイン第二共和政憲法公布

1931年12月9日に公布された共和政憲法。女性参政権・言論の自由・信教の自由などを保障する一方、強い政教分離と反聖職者的条項を含み、宗教と国家・民主主義の関係をめぐる激しい社会的対立を生んだ。

1932年

ベグム・ロケヤ(ベンガルの女性解放思想家)死去

ベンガルの作家・フェミニスト。小説や随筆でムスリム女性の教育と解放を訴えた。誕生日でもある12月9日は、現在バングラデシュで「ロケヤの日」として記念され、女性の権利と教育の象徴となっている。

1948年

「ジェノサイド罪の防止および処罰に関する条約」採択

国連総会がパリで12月9日に採択した国際条約。ホロコーストなどを経て、「ジェノサイド」を国際犯罪として定義し、締約国に防止・処罰の義務を課した人権法・国際刑法の基礎文書。

1964年

イーディス・シットウェル死去(ロンドン)

英国モダニズム詩の重要人物。実験的な韻律や朗読パフォーマンスで知られ、戦時下には人間的な苦悩と希望をうたう詩へと作風を転じた。彼女のサークルは20世紀英詩の実験場となった。

1965年

『スヌーピーのメリークリスマス(A Charlie Brown Christmas)』テレビ初放送

チャールズ・シュルツ原作『ピーナッツ』初のTVスペシャルとしてCBSで12月9日に放送。ジャズ音楽や静かな語り口、ルカ福音書朗読の場面などが話題となり、アメリカ大衆文化・クリスマス表象に長く影響を与えた。

2015年

国連が「ジェノサイド犯罪の犠牲者の追悼とこの犯罪の防止のための国際デー」(12月9日)を制定

1948年のジェノサイド条約採択日を記念し、犠牲者の尊厳を記憶しつつ、将来のジェノサイド防止への国際的取り組みを促す日として総会決議で設定。記憶・歴史認識と人権教育の観点から重要。

2017年

オーストラリアで同性婚合法化が発効

「Marriage Amendment (Definition and Religious Freedoms) Act 2017」が発効し、婚姻が「男女」から「2人」へと再定義され、12月9日から同性婚が法的に認められるようになった。家族・ジェンダー・人権をめぐる社会意識の変化を象徴する出来事。

ざっくり言えば、この日は

古典文学(ミルトン、漱石、シットウェル)、 フェミニズム(ロケヤ)、 政教分離と世俗国家(フランス・スペイン)、 国際人権法(ジェノサイド条約と記念日)、 大衆文化(スヌーピー)、 現代の人権・家族観の転換(オーストラリアの婚姻平等)

が、不思議と集中している日でもありますね。

かつて12月8日に起こった出来事

12月8日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・音楽・文化記憶など)に関わる主な出来事を10件まとめました。

1854年

教皇ピウス9世が使徒憲章 Ineffabilis Deus を公布し、「無原罪の御宿り」の教義を公式に“信仰箇条”として宣言

12月8日付でマリアの無原罪懐胎が教義として定義される。聖母論・原罪理解・教皇不可謬性の議論に直結し、近代カトリック神学と敬虔の大きな節目となった。

1865年

作曲家ジャン・シベリウス誕生(フィンランド・ハメーンリンナ)

12月8日生まれ。交響曲や《フィンランディア》などで知られ、ロシア支配下のフィンランドに「音楽によるナショナル・アイデンティティ」を与えた存在。音楽を通した民族意識と国民国家形成の好例として研究される。

1903年

思想家ハーバート・スペンサー死去(イギリス・ブライトン)

12月8日に死去。社会進化論・「適者生存」の語で知られる哲学者・社会学者。ダーウィン進化論を社会に適用した「社会ダーウィニズム」の代表として、近代自由主義・功利主義・帝国主義をめぐる議論で今も批判的検討の対象。

1915年

ジョン・マクレーの戦争詩「In Flanders Fields」が雑誌 Punch に初掲載

12月8日号の Punch に匿名で掲載され、第一次世界大戦を象徴する追悼詩として一気に世界的に知られるようになる。この詩をきっかけに、ポピー(ひなげし)が戦没者追悼のシンボルとして定着した。

1941年

アメリカ議会が日本に対する宣戦布告を可決し、米国が正式に第二次世界大戦へ参戦

真珠湾攻撃の翌日である12月8日、ルーズベルト大統領の「恥辱の日(Day of Infamy)」演説に続いて宣戦布告がなされる。軍事・政治史にとどまらず、映画・文学・記念碑など20世紀後半の記憶文化全体を形づくった転換点。

1965年

第2バチカン公会議がこの日で閉会(1962年10月11日〜1965年12月8日)

サン・ピエトロ大聖堂での閉会ミサとともに、パウロ6世が「思想家・科学者の世界」への有名なメッセージを発する。典礼刷新・エキュメニズム・宗教自由などを掲げたこの公会議は、20世紀後半の神学・宗教社会学・宗教間対話を決定的に変えた。

1980年

ジョン・レノン、ニューヨークの自宅前で射殺される

12月8日夜、ダコタ・ハウス前でファンのマーク・チャップマンに銃撃され死亡。ロック史・反戦運動・カウンターカルチャーの象徴的な人物の死として、音楽文化史・メディア研究・記憶研究における大きな事件となった。

1994年

ブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン死去(ニューヨーク)

12月8日に心臓発作で死去。《イパネマの娘》などで知られ、サンバとクールジャズを融合させたボサノヴァの「設計者」。ブラジル音楽を世界に広めた功績により、ポピュラー音楽研究・ポストコロニアルな音楽交流研究で重要な位置を占める。

1943年

ジム・モリソン誕生(アメリカ・フロリダ州メルボルン)

12月8日生まれ。ロックバンド「ドアーズ」のボーカルであり詩人。歌詞・朗読・ステージ・パフォーマンスを横断する表現で、1960〜70年代の反体制文化・カウンターカルチャーを象徴する存在となった。

1951年

作家ビル・ブライソン誕生(アメリカ・アイオワ州デモイン)

12月8日生まれ。ユーモラスな旅行記や一般向けサイエンス・言語本で知られるノンフィクション作家。専門知識をわかりやすく、しかも笑いとともに伝えるスタイルは、「読みやすい教養書」の代表例として読書文化・科学コミュニケーション研究でも注目される。

この日付ひとつを取っても、

カトリック神学の大きな折り返し点(無原罪の御宿り・ヴァチカンII閉会) 戦争と記憶をめぐる象徴(「In Flanders Fields」・米国参戦・レノン暗殺) 音楽による国民的/世界的アイデンティティの形成(シベリウス、ジョビン、モリソン) 「やわらかい教養書」としての読書文化(ブライソン)

など、いろんなレイヤーで「人文学的な節目」が重なっている日ですね。

かつて12月7日に起こった出来事

かつて12月7日に起こった、人文学(文学・思想・芸術・文化遺産など)に関わる主な出来事を10件ピックアップしてみました。

紀元前43年

ローマの弁論家・哲学者マルクス・トゥッリウス・キケロ暗殺

演説術・政治思想・ストア哲学的倫理をラテン語で体系化した人物の死。共和政ローマの終焉と、知識人の運命を象徴する出来事。

1598年

バロック美術を代表する彫刻家・建築家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ誕生(ナポリ)

サン・ピエトロ広場、聖テレジアの法悦などを手がけ、彫刻・建築・都市空間を総合した「バロック的身体性」を創り出した巨匠。

1873年

アメリカの小説家ウィラ・キャザー誕生(『O Pioneers!』『わがアンティア』など)

アメリカ中西部の開拓者社会、とくに移民女性の生活世界を描き、フロンティア経験を文学的神話へと昇華した20世紀アメリカ文学の柱。

1896年

中国近代文学の先駆的作家・郁達夫(Yu Dafu)誕生

自己告白的な心理描写とエロス/ナショナリズムのテーマで、1920年代の中国モダニズム文学・創造社の中心人物となる。

1909–1923年

20世紀の詩人たちが相次いで誕生:ニコラ・ヴァプツァロフ(1909、ブルガリア詩人)、タタムクル・アフリカ(1920、南ア詩人)、インティザール・フサイン(1923頃、ウルドゥー作家)

それぞれ共産主義抵抗運動・反アパルトヘイト・印パ分離と亡命体験など、20世紀の政治的トラウマを言葉に刻んだ作家たち。※フサインの生年・誕生日は資料間で異同あり。

1941年

日本軍による真珠湾攻撃(アメリカの対日参戦のきっかけ)

軍事史だけでなく、映画・文学・記憶文化を通して「12月7日」という日付そのものが象徴化される。のちの戦争映画や回想記の重要なモチーフ。

1965年

第2バチカン公会議文書『現代世界憲章(Gaudium et spes)』および『宗教の自由に関する宣言(Dignitatis humanae)』が公布される

教会と「現代世界」の対話、そして宗教自由の尊重を明確にした画期的文書。20世紀後半のキリスト教神学・人権思想・宗教間対話に決定的影響。

1987年

ユネスコ世界遺産委員会第11会期(パリ)で、ブラジリアや中国の長城・泰山・紫禁城・秦始皇帝陵・莫高窟などが世界遺産に正式登録

近現代都市(ブラジリア)と、帝国権力・宗教・芸術を象徴する東アジアの文化遺産群が同時期に「人類共通の遺産」として位置づけられた節目。

1990年

キューバ出身の作家レイナルド・アレナス死去(ニューヨーク亡命下で自死)

同性愛者で反体制知識人として弾圧を受けた経験を『夜になるまえに』などで告発。亡命文学・LGBT文学・ディアスポラ研究に今も重要。

1995年

アイルランドの詩人シェイマス・ヒーニーがストックホルムのスウェーデン学士院でノーベル文学賞記念講演「Crediting Poetry」を朗読(ノーベル週間の一環)

「暴力と分断の時代において、詩は魂の“船であり錨”である」と語り、詩の倫理的役割を鮮やかに擁護。20世紀末の詩と公共性を象徴するスピーチ。

ざっくりまとめると、12月7日は

キケロ暗殺やバロックの巨匠ベルニーニ誕生のように、古代・近世ヨーロッパの転換点が重なり、 キャザー・郁達夫・アレナス・ヒーニーらのような、「土地・亡命・暴力の記憶」を描く作家たちと深く結びつき、 さらにヴァチカン公会議文書や世界遺産登録を通じて、20世紀以降の「人権」「宗教自由」「世界文化遺産」という枠組みが整えられていった日、とも言えそうです。

かつて12月6日に起こった出来事

かつて12月6日に起こった、人文学(文学・哲学・思想・文化遺産など)に関わる主な出来事を10件まとめます。

1658年

バルタサル・グラシアン没(スペインのイエズス会士・思想家・文筆家)

バロック期スペイン「概念主義(conceptismo)」を代表する倫理書・箴言集の著者。近世ヨーロッパの知識人像・処世観を理解するうえで重要。

1882年

ヴィクトリア朝小説家アンソニー・トロロープ没(『バ―チェスター』シリーズなど)

架空の県バーセットシャーを舞台に、聖職者社会と地方政治を描いた写実小説で知られる。19世紀イギリス社会史を読むように味わえる作家。

1886年

アメリカの詩人ジョイス・キルマー誕生(詩「Trees」で知られる)

素朴で宗教的な自然詩で人気を得た詩人。第一次大戦で戦死したことも含め、20世紀初頭アメリカの信仰と愛国心のイメージを映す存在。

1919年

文学理論家ポール・ド・マン誕生(ベルギー出身、後に米国へ)

デリダと並ぶ「脱構築」批評の中心人物。テクストの意味の不安定性を強調し、戦後の文学理論・批評方法を大きく変えた。ナチ協力的記事の発覚をめぐる論争も、人文学における倫理とテクスト読解を考える重要なケース。

1933年

米連邦裁判所「United States v. One Book Called Ulysses」判決で、ジョイス『ユリシーズ』の輸入禁止が解除される

ウールジー判事が『ユリシーズ』を「猥褻ではない真剣な文学作品」と認めた画期的判決。モダニズム文学と表現の自由、検閲の基準を大きく転換した出来事。

1950年

作曲家・久石譲誕生(映画音楽、特にジブリ作品のスコアで世界的に知られる)

『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』などの音楽で、日本アニメ文化の世界的受容を決定づけた存在。ポピュラー文化とクラシック音楽の橋渡し役でもある。

1954年

シモーヌ・ド・ボーヴォワールが小説『レ・マンダラン』でゴンクール賞を受賞

戦後パリ知識人の葛藤を描いた作品で、実存主義・フェミニズム思想家としてのボーヴォワールの地位を決定づけた受賞。知識人の政治的責任を問う20世紀文学の代表的作品。

1961年

フランツ・ファノン没(精神科医・社会哲学者、『黒い皮膚・白い仮面』『地に呪われたる者』の著者)

植民地主義と人種差別を告発し、脱植民地化運動とポストコロニアル理論に決定的影響を与えた思想家の死。現代の「人間性」「暴力」「解放」を考える出発点の一つ。

1968年

ノルウェーの作家カール・オーヴェ・クナウスゴール誕生(自伝的小説『マイ・ストラグル』で知られる)

徹底的に自己の生活を素材化した長大な自伝的小説で、21世紀文学における「自己暴露」「私文学」の新たな位相を開いたと評価される。

2024年

ユネスコ無形文化遺産委員会が63件の新たな要素をリストに記載(第19回会期、12月6日の決定を含む)

世界各地の「技」「祭礼」「口承伝統」などが新たに登録され、地域文化の多様性と継承の重要性が国際的に再確認された。無形文化遺産という枠組みそのものが、21世紀人文学の大きなテーマ。

ざっくり言うと、この日は

植民地批判・脱構築・実存主義など、20世紀以降の人文学を形づくった理論家たちが生まれたり亡くなったりした日であり、 『ユリシーズ』裁判やボーヴォワールのゴンクール賞のように、「どこまでが文学であり得るか」「知識人はいかに生きるか」を巡る象徴的な出来事が重なり、 さらに現代ではユネスコ無形文化遺産の登録を通して、「世界各地の生活文化そのものを人類の遺産とみなす」という新しい人文学的視点が強化された日でもあります。

かつて12月5日に起こった出来事

12月5日に起こった、人文学(歴史・文学・芸術・思想など)に関わる出来事を10件ピックアップして表にしました。

出来事(12月5日)

人文学的意義・コメント

1492年

コロンブスがイスパニョーラ島(現在のハイチ・ドミニカ共和国の島)に到達

ヨーロッパによるカリブ海植民地化の出発点の一つであり、先住民社会の破壊と「新世界」征服の象徴として、植民地史・ポストコロニアル研究で重要な日。

1784年

フィリス・ウィートリー(Phillis Wheatley)がボストンで死去

アフリカ系女性として初めて詩集を出版した詩人。12月5日の死は、奴隷制・黒人文学・ジェンダー史を考える上で象徴的な節目として語られる。

1791年

ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ウィーンで死去

『魔笛』『レクイエム』などを残した古典派音楽の巨匠。12月5日の死は、西洋音楽史だけでなく、死と天才・創作神話をめぐる文化史でも繰り返し論じられている。

1803年

ロシアの詩人フョードル・チューチェフ(Fyodor Tyutchev)誕生(ユリウス暦11月23日/グレゴリオ暦12月5日)

哲学的な自然詩とスラヴ主義的思想で知られる詩人。ロシア文学とロシア思想(スラヴ主義・西欧主義論争)をつなぐ重要人物。

1830年

イギリスの詩人クリスティナ・ロセッティ誕生(ロンドン)

『ゴブリン・マーケット』や「In the Bleak Midwinter」の詩人。ヴィクトリア朝の宗教詩・女性詩の代表で、ジェンダー研究や宗教文学研究でも重視される。

1933年

アメリカ合衆国で第21修正条項が批准され、禁酒法が公式に廃止

アルコール消費をめぐる道徳・宗教・市民の自由・犯罪などが交差した「禁酒法時代」の終わり。文化史・社会史・法思想史で非常に重要な転換点。

1941年

近代インド美術を代表する画家アムリタ・シェール=ギル(Amrita Sher-Gil)死去

インドとヨーロッパ美術を架橋した女性画家。ラホールで28歳の若さで死去した12月5日は、インド近代美術史における「失われた可能性」の象徴として語られる。

1950年

インドの思想家・詩人・ヨーギー、シュリ・オーロビンド(Sri Aurobindo)死去(ポンディシェリ)

インド独立運動家でもあり、後に霊的思想家として『生命神化』『サヴィトリ』などを著す。12月5日の「マハサマーディ」は、宗教思想史・比較宗教の文脈で記念されている。

2013年

南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラ死去(ヨハネスブルグ)

反アパルトヘイト闘争と「和解」の象徴的人物。12月5日の死は、人権・法と正義・和解学・ポストコロニアル研究など、多くの人文学分野で一つの歴史的区切りとして扱われる。

2024年

ユネスコ無形文化遺産に、日本の「麹を用いた酒造りの伝統的な知識と技能」、中国の「春節(Spring Festival)」などが追加登録

酒造り・春節など、生活に根ざした年中行事や食文化が「人類共通の遺産」として公式に認められた日。今も進行中の「文化遺産とは何か」をめぐる議論の具体的な事例。