12月20日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・宗教・文化など)に関わる代表的な出来事を10件挙げます。
1812年
グリム兄弟が『子どもと家庭のメルヒェン(グリム童話集)』第1巻を刊行
ドイツ・ロマン主義と民話研究の金字塔であり、口承民話の採集・編集というかたちで「民衆文化」を文学の中心に押し上げた。初版第1巻は86篇を収め、後の版で大幅に増補されつつヨーロッパ童話文化を形成していく出発点となった。
1917年
ボリシェヴィキ政権が非常委員会チェーカー(Cheka)を設置
12月20日付の政令で設立されたチェーカーは、後のGPU・NKVD・KGBへと連なるソ連秘密警察の原型であり、「赤色テロ」に代表される国家暴力と監視体制の象徴となった。政治思想史・人権思想・記憶の文化研究において避けて通れない事件。
1920年
フィンランドの作家ヴァイノ・リンナ誕生
代表作『無名戦士』『ここ北極星の下』で知られるリンナは、庶民と兵士の視点からフィンランド内戦や第二次大戦を描き、国民的記憶と歴史像の形成に大きく寄与した。1920年12月20日にウルヤラ近郊で生まれる。

1940年
『Captain America Comics』第1号が発売
カバーの日付は1941年3月だが、実際の発売は1940年12月20日。ナチスのヒトラーを殴るキャプテン・アメリカの表紙は、アメリカン・コミックスにおける反ファシズム・プロパガンダと大衆文化の交差点として、メディア研究・カルチュラル・スタディーズで重要な事例となっている。
1946年
映画『素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life)』がニューヨークのグローブ座で初公開
当初は興行的に振るわなかったが、後に「クリスマス映画」の決定版として再評価され、人間の価値・共同体・救いをめぐるアメリカ文化・宗教意識を考える上で古典的テキストとなった。公開は1946年12月20日。
1955年
カーディフがウェールズの首都と公式に認定される
1955年12月20日、内務大臣グウィリム・ロイド=ジョージが議会答弁でカーディフをウェールズの首都と宣言。これにより、国立博物館や政府機関が集積し、ウェールズ語文化・ナショナル・アイデンティティを象徴する都市としての位置づけが明確になった。
1969年
アラン・ド・ボトン誕生
チューリヒ生まれの作家・思想家ド・ボトンは、『人生に必要な七つの哲学』『仕事に必要なことはすべて哲学で学んだ』などを通して、古典哲学を日常の悩みや感情に結びつける「実用哲学」を普及させた。1969年12月20日生。

1985年
教皇ヨハネ・パウロ2世が「世界青年の日(World Youth Day)」の創設を12月20日に公式発表
1985年ローマでの青年集会の成功を受け、この日付の発表によって、以後世界各地で定期的に開催されるカトリック青年集会の制度が整えられた。現代カトリックの若者文化・巡礼・宗教フェスティバル研究の基点となる出来事。
1999年
マカオの主権がポルトガルから中華人民共和国へ返還
1999年12月20日午前0時に主権が正式移譲され、「一国二制度」の枠組みの下でマカオ特別行政区が発足。16世紀以来のポルトガル植民地支配の終焉であり、アジアの脱植民地化・ポストコロニアル都市文化研究における重要な転換点となっている。
1948年
アブドゥルラザク・グルナ誕生
ザンジバル出身の英語作家グルナは、亡命・難民・植民地主義の影響を主題とし、『パラダイス』『海辺にて』などで知られる。1948年12月20日生まれで、2021年にノーベル文学賞を受賞し、ポストコロニアル文学の重要な声として国際的評価を確立した。










































