かつて12月20日に起こった出来事

12月20日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・宗教・文化など)に関わる代表的な出来事を10件挙げます。

1812年

グリム兄弟が『子どもと家庭のメルヒェン(グリム童話集)』第1巻を刊行

ドイツ・ロマン主義と民話研究の金字塔であり、口承民話の採集・編集というかたちで「民衆文化」を文学の中心に押し上げた。初版第1巻は86篇を収め、後の版で大幅に増補されつつヨーロッパ童話文化を形成していく出発点となった。

1917年

ボリシェヴィキ政権が非常委員会チェーカー(Cheka)を設置

12月20日付の政令で設立されたチェーカーは、後のGPU・NKVD・KGBへと連なるソ連秘密警察の原型であり、「赤色テロ」に代表される国家暴力と監視体制の象徴となった。政治思想史・人権思想・記憶の文化研究において避けて通れない事件。

1920年

フィンランドの作家ヴァイノ・リンナ誕生

代表作『無名戦士』『ここ北極星の下』で知られるリンナは、庶民と兵士の視点からフィンランド内戦や第二次大戦を描き、国民的記憶と歴史像の形成に大きく寄与した。1920年12月20日にウルヤラ近郊で生まれる。

1940年

『Captain America Comics』第1号が発売

カバーの日付は1941年3月だが、実際の発売は1940年12月20日。ナチスのヒトラーを殴るキャプテン・アメリカの表紙は、アメリカン・コミックスにおける反ファシズム・プロパガンダと大衆文化の交差点として、メディア研究・カルチュラル・スタディーズで重要な事例となっている。

1946年

映画『素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life)』がニューヨークのグローブ座で初公開

当初は興行的に振るわなかったが、後に「クリスマス映画」の決定版として再評価され、人間の価値・共同体・救いをめぐるアメリカ文化・宗教意識を考える上で古典的テキストとなった。公開は1946年12月20日。

1955年

カーディフがウェールズの首都と公式に認定される

1955年12月20日、内務大臣グウィリム・ロイド=ジョージが議会答弁でカーディフをウェールズの首都と宣言。これにより、国立博物館や政府機関が集積し、ウェールズ語文化・ナショナル・アイデンティティを象徴する都市としての位置づけが明確になった。

1969年

アラン・ド・ボトン誕生

チューリヒ生まれの作家・思想家ド・ボトンは、『人生に必要な七つの哲学』『仕事に必要なことはすべて哲学で学んだ』などを通して、古典哲学を日常の悩みや感情に結びつける「実用哲学」を普及させた。1969年12月20日生。

1985年

教皇ヨハネ・パウロ2世が「世界青年の日(World Youth Day)」の創設を12月20日に公式発表

1985年ローマでの青年集会の成功を受け、この日付の発表によって、以後世界各地で定期的に開催されるカトリック青年集会の制度が整えられた。現代カトリックの若者文化・巡礼・宗教フェスティバル研究の基点となる出来事。

1999年

マカオの主権がポルトガルから中華人民共和国へ返還

1999年12月20日午前0時に主権が正式移譲され、「一国二制度」の枠組みの下でマカオ特別行政区が発足。16世紀以来のポルトガル植民地支配の終焉であり、アジアの脱植民地化・ポストコロニアル都市文化研究における重要な転換点となっている。

1948年

アブドゥルラザク・グルナ誕生

ザンジバル出身の英語作家グルナは、亡命・難民・植民地主義の影響を主題とし、『パラダイス』『海辺にて』などで知られる。1948年12月20日生まれで、2021年にノーベル文学賞を受賞し、ポストコロニアル文学の重要な声として国際的評価を確立した。

かつて12月19日に起こった出来事

12月19日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・言語・文化など)に関わる代表的な出来事を10件まとめます。

1154年

イングランド王ヘンリー2世の戴冠

プランタジネット朝の開幕。後の「コモン・ロー(英米法)」や陪審制度など、英米世界の法文化の基盤となる改革の出発点として、法思想・政治文化史上きわめて重要。

1732年

ベンジャミン・フランクリンが『プア・リチャードの暦』を初出版

格言・ことわざ・生活実用情報を組み合わせたアルマナックで、清貧・勤勉・自己修養といった啓蒙主義的倫理を大衆に普及し、アメリカ文化の価値観形成に大きな影響を与えた。

1776年

トマス・ペイン『アメリカン・クライシス』第1論文を刊行

「These are the times that try men’s souls…」で始まるこの政治パンフレットは、独立戦争の最も厳しい時期に兵士と市民を鼓舞し、革命的レトリック・政治思想・公共言論史の古典となった。

1843年

チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』初版刊行

ロンドンの出版社から12月19日に初版が出され、クリスマス前に即完売。クリスマスのイメージ(家族・慈善・祝宴)を決定づけ、ヴィクトリア朝文学だけでなく近代の祝祭文化全体に強い影響を残した。

1848年

エミリー・ブロンテが死去

『嵐が丘』で知られるブロンテ姉妹の一人エミリーが12月19日に30歳で没。彼女の早逝は作品数を少なくした一方で、単一長編が英文学・フェミニズム批評・ロマン主義研究における「カルト的古典」として読み継がれる契機となった。

1910年

ジャン・ジュネ誕生

フランスの劇作家・小説家・詩人ジュネが12月19日に生まれる。アウトサイダーや同性愛、権力と暴力をテーマにした作品は、20世紀演劇・クィア文学・ポスト構造主義的読解にとって重要なテキストとなった。

1910年

ホセ・レサマ・リマ誕生

キューバの詩人・小説家レサマ・リマがハバナ近郊で誕生。難解かつ濃密な象徴主義的文体でラテンアメリカ文学・ポエティカに大きな影響を与え、『パラディーソ』などはバロック的スペイン語文学の極致とされる。

1924年

ミシェル・トゥルニエ誕生

パリ生まれの小説家トゥルニエが誕生。神話や寓話の翻案を通じて近代社会や主体の問題を描き出し、神話批評・哲学的人文学と現代小説を架橋する作家として評価されている。

1928年

イヴ・バンティング誕生

北アイルランド出身で米国で活躍した児童文学作家バンティングが12月19日に生まれる。難民、戦争、差別など重いテーマを子ども向け絵本で扱い、教育現場における「物語を通じた社会教育」の代表的著者となった。

1984年

中英共同声明(香港問題に関する英中共同声明)調印

12月19日、北京の人民大会堂でサッチャー英首相と趙紫陽首相が署名。香港返還と「一国二制度」の枠組みを定めたこの条約は、植民地支配の終焉、主権移譲、法制度・人権・自治をめぐる議論など、現代の政治思想・国際法・ポストコロニアル研究における重要なケーススタディとなっている。

補足として、2019年12月19日には、ダ・ヴィンチ《白テンを抱く貴婦人》などを所蔵するクラクフのチャルトリスキ美術館が大規模改修を終えて再開館しており、ヨーロッパ美術史研究と文化遺産保存の観点から注目されました。

かつて12月17日に起こった出来事

12月17日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・歴史・人権など)に関わる主な出来事を10件まとめました。

1273年 イスラーム神秘主義の詩人ルーミーがコンヤで死去 メスネヴィなどの大作で知られるスーフィー詩人。死は「結婚の夜(シャブ・エ・アロース)」として祝福され、宗教を超えた弔いが行われたと言われます。神秘主義・比較宗教・詩の領域でいまも世界的に読まれる人物です。(ウィキペディア)

1538年 ローマ教皇パウルス3世がヘンリー8世を破門(2度目) イングランド国教会の成立とカトリック教会からの決定的決裂を象徴する出来事。宗教改革史・教会法・政治思想(王権と教権の関係)を考える重要な節目です。(EnglandCast)

1790年 メキシコシティのソカロ(中央広場)でアステカの「太陽の石(暦石)」が発見される 直径約3.5m、重さ24トンの巨大な石碑で、アステカ宇宙観を象徴する遺物。メソアメリカ考古学の出発点の一つとされ、先住民文化の再評価・国民的アイデンティティ形成に大きく寄与しました。(ウィキペディア)

1807年 アメリカの詩人・奴隷制廃止運動家ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア誕生 「炉辺詩人」の一人として家庭的で道徳的な詩を多く残すと同時に、クエーカーとして反奴隷制運動に深く関わりました。文学と社会運動(特に奴隷制批判)の結びつきを示す代表的存在です。(ウィキペディア)

1825年 アメリカ人作家ジョン・ニールが哲学者ジェレミ・ベンサムの秘書となり、功利主義思想に引き込まれる ロンドンでの同居・秘書経験を通じて、ベンサムの功利主義がアメリカの文学者に直接影響した珍しい例。英米をまたぐ思想交流史の一断面として興味深い出来事です。(ウィキペディア)

1830年 フランスの作家ジュール・ド・ゴンクール誕生 兄エドモンと共に自然主義的な小説・美術批評・日記文学で知られ、後にフランス最高の文学賞の一つ「ゴンクール賞」の名の由来となります。19世紀パリ文壇と自然主義文学を語るうえで不可欠です。(ウィキペディア)

1843年 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』初版が刊行される ロンドンの出版社チャップマン&ホールからクリスマス物語として出版され、クリスマス文化・慈善精神・社会批判(貧困・労働問題)のイメージを決定づけた近代クリスマス神話の原点的作品です。(pop-culture.net)

1933年 第13代ダライ・ラマ(トゥプテン・ギャツォ)がラサで死去 近代化政策や独立宣言で知られるチベットの宗教的・政治的指導者が死去し、後継者(現14世ダライ・ラマ)探しとともにチベット近現代史の大きな転換点となりました。チベット仏教史・植民地後史の研究上重要です。(ウィキペディア)

1957年 推理作家・神学エッセイストのドロシー・L・セイヤーズが死去 ロード・ピーター・ウィムジー物語で知られる一方、ダンテ『神曲』の英訳やキリスト教神学エッセイでも大きな功績を残しました。ミステリ文学とキリスト教思想・中世文学研究を架橋した人物の生涯の終わりです。(ウィキペディア)

1986年 コロンビアの新聞『エル・エスペクタドール』編集長ギジェルモ・カーノ・イスササが暗殺される 麻薬カルテル批判を続けたために殺害された事件で、報道の自由とジャーナリスト保護の象徴的事例となりました。後にユネスコによる「ギジェルモ・カーノ世界報道自由賞」創設の契機ともなっています。(ウィキペディア)

かつて12月16日に起こった出来事

12月16日に起こった、人文学(文学・思想・芸術・人権・歴史意識など)に関わる主な出来事を10件まとめてみました。

1770年ごろ

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの誕生(一般に12月16日とみなされる)

洗礼記録は17日ですが、当時すぐ洗礼する慣習があり、本人も含めて16日生まれとみなされます。西洋音楽史を決定的に変えた作曲家の誕生として象徴的な日。

1773年

ボストン茶会事件(Boston Tea Party)が決行される

「代表なくして課税なし」を掲げたアメリカ植民地側の抗議行動。後のアメリカ独立・近代民主主義思想・市民的不服従の象徴的エピソードとして、政治思想史・歴史意識のうえで大きな意味をもつ出来事です。

1775年

イギリスの小説家ジェイン・オースティンがハンプシャー州スティーヴントンで誕生

『高慢と偏見』『エマ』などで知られ、日常生活・結婚・階級を写実的かつアイロニカルに描いて近代小説の姿を決定づけた存在。英文学だけでなくジェンダー研究・社会史にも大きな影響。

1863年

スペイン生まれの哲学者・詩人ジョージ・サンタヤーナがマドリードで誕生

「過去を記憶できない者は、それを繰り返す運命にある」などの格言で知られる哲学者。美学・宗教哲学・文化批評において、20世紀思想に長く影響を与えています。

1917年

SF作家アーサー・C・クラークがイングランドのマインヘッドに誕生

映画『2001年宇宙の旅』の原作者として有名。科学と想像力を結びつけ、宇宙探査・テクノロジーと人間の未来についての文化的想像力を大きく拡張しました。

1928年

アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックがシカゴで誕生

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などで、現実・アイデンティティ・権力の操作といった哲学的テーマをSFとして描写。後の映画やポップカルチャーに多大な影響を与えた作家です。

1966年

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」が国連総会で採択される

思想・良心・宗教の自由、表現・集会の自由などを国際的に保障する基本文書。いわゆる「国際人権規約」の一角をなし、人権思想・法哲学・政治思想にとって画期的な出来事です。

1966年

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(ICESCR)」も同じく12月16日に採択される

教育・労働・社会保障・文化生活への参加などの権利を国際法として位置づけた条約。文化権・教育権の議論など、人文学の社会的意義を考えるうえで欠かせない基盤文書です。

1971年

ダッカでパキスタン東部軍が降伏文書に調印し、バングラデシュ解放戦争が終結(バングラデシュの「勝利の日」)

パキスタン軍の降伏により東パキスタンがバングラデシュとして独立。大量虐殺の記憶とともに、民族自決・植民地主義後の国民国家形成、人権侵害の記憶化などを考える重要な歴史的転換点です。

2020年

国連総会が決議75/170を採択し、「国際アフリカ系人々の日」(8月31日)を制定

アフリカ系ディアスポラの歴史と文化的貢献を顕彰し、差別に対する闘いと人権尊重を促進する国際デーの創設。記憶・人種・植民地主義をめぐる現代人文学・人権研究に直結する出来事です。

かつて12月15日に起こった出来事

12月15日に起こった、人文学(歴史・文学・芸術・文化・思想など)に関わる主な出来事を10件挙げます。

37年

ローマ皇帝ネロの誕生

後に第5代ローマ皇帝となるネロが、イタリアのアンティウムで生まれる。ユリウス=クラウディウス朝最後の皇帝であり、大火とキリスト教徒迫害、そして自ら「芸術家」を名乗った統治者として、古代ローマ文化・初期キリスト教史の両方に大きな影響を残した。 

1654年

トスカナで系統的な気象観測が開始

トスカナ大公国のフィレンツェに設けられた気象観測所が、この日から日々の気温の継続記録を開始。17世紀半ばからの長期データは、科学史・環境史・気候変動研究にとって重要な一次史料となっている。 

1791年

米国「権利章典」(憲法修正1〜10条)が発効

バージニア州が批准し、合衆国憲法の前10の修正条項、いわゆる「Bill of Rights」がこの日に発効。言論・信教・集会の自由や適正手続きなどを保障し、後世の自由主義思想や各国の人権規定に大きな影響を与えた。 

1815年

ジェイン・オースティン『エマ』刊行

イギリスの作家ジェイン・オースティンの長編小説『エマ』がロンドンで出版される。裕福で自信家の若い女性が「良かれと思って」周囲の恋愛を操作し、やがて自己認識に至る物語で、「小説の語り手」とアイロニーの使い方において近代小説史で重要な位置を占める。 

1840年

ナポレオンの遺骸がパリへ改葬

セントヘレナ島に埋葬されていたナポレオン1世の遺骸がフランスに帰還し、この日アンヴァリッド(廃兵院)のドーム教会に安置される。帝政の記憶を「国家的カルト」として再構成する一大儀礼であり、フランスの記憶・ナショナリズム研究でも象徴的な出来事。 

1890年

ラコタの指導者シッティング・ブルの殺害

ラコタの精神的指導者シッティング・ブルが、スタンディングロック居留地でインディアン警察により逮捕される際の銃撃で死亡。この出来事はその後の「ウーンデッド・ニーの虐殺」ともつながり、アメリカ先住民の抵抗と抑圧の歴史を象徴する事件として記憶されている。 

1928年

フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー誕生

オーストリアの画家・建築家フンデルトヴァッサー(本名フリードリヒ・シュトヴァッサー)がウィーンで生まれる。直線と画一性を嫌い、有機的な曲線と鮮烈な色彩、自然との共生を重視した建築・都市論は、20世紀後半の環境芸術・建築思想に大きな影響を与えた。 

1939年

映画『風と共に去りぬ』世界初公開

マーガレット・ミッチェルの同名小説を原作とするハリウッド映画『Gone with the Wind』が、アメリカ南部アトランタのフォックス劇場でプレミア上映される。映画史上屈指の大作として人気を博す一方、南北戦争と奴隷制の描き方をめぐり、記憶と表象の政治の典型例として今日まで議論の対象となっている。 

1966年

ウォルト・ディズニー死去

ミッキーマウスやディズニーランドを生み出し、長編カラーアニメーション映画を産業として確立した映画プロデューサー、ウォルト・ディズニーがカリフォルニア州バーバンクで死去。アニメーション技術・家族向けエンターテインメント・グローバルなポピュラーカルチャーのあり方に決定的な影響を残した。 

2001年

ピサの斜塔、長期修復を経て再公開

傾斜の進行により1990年から閉鎖されていたイタリア・ピサの斜塔が、11年にわたる地盤改良と構造補強を経て、この日に一般公開を再開。世界遺産に指定された中世建築を「倒さず・真っ直ぐにもせず」保存するという方針は、文化遺産保存の代表的なケーススタディとなっている。 

※ 1654年の出来事は自然科学寄りですが、「長期にわたる観測記録」という形で人間の世界理解・歴史叙述(気候史・環境史)に深く関わるため、人文学史的な観点から含めました。

かつて12月14日に起こった出来事

12月14日に起こった/この日に結びつく、人文学(思想・文学・芸術・人権など)に関わる出来事を10件、年順にまとめました。

1542年

生後6日のメアリーが スコットランド女王メアリー(Mary, Queen of Scots)として即位

スコットランド王ジェームズ5世の急死により、生後まもなく即位。スコットランド宗教改革・イングランドとの王位継承争い・カトリック/プロテスタント対立など、近世ヨーロッパ宗教政治史の核心に位置する人物の統治がこの日に始まる。

1546年

ルネサンス期の天文学者 ティコ・ブラーエ誕生(デンマーク・スコーネ)

きわめて精密な観測によってコペルニクス以後の宇宙像を準備し、科学革命の基礎を築く。占星術・錬金術も行った「境界期の知識人」として、科学史・知の社会史の好例。

1631年

ケンブリッジ・プラトニストと交流した形而上学者 アン・コンウェイ誕生(ロンドン)

一元論的な「生ける実体」の形而上学を展開し、ライプニッツにも影響を与えたとされる女性哲学者。近世における女性思想家の再評価の鍵となる人物。

1640年(洗礼日)

アフラ・ベーン洗礼(イングランド)—初の「職業女性作家」

ベーンは後に『オルーノコ』などを書き、英語圏で最初に筆一本で生活した女性作家として知られる。ジェンダー・文学史・植民地主義批判(奴隷制描写)を考えるうえで重要。

1887年

アルゼンチンの画家・詩人 スール・ソラル(Xul Solar)誕生

想像上の言語やボードゲームを考案し、占星術・宗教・音楽理論を取り込んだ作品を残したラテンアメリカ前衛芸術家。ボルヘスらとの交流でも知られ、近代アルゼンチン文化史の象徴的存在。

1916年

アメリカの小説家 シャーリイ・ジャクスン誕生(サンフランシスコ)

短編「くじ」(The Lottery)や『山荘綺談』などで、日常の中の不安と暴力を描いた作家。ホラー/ゴシック文学だけでなく、ジェンダーや共同体批判の観点からも再評価が進んでいる。

1918年

プッチーニの三部作オペラ 《イル・トリッティコ》(『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』)がメトロポリタン歌劇場で世界初演

コミカルな『ジャンニ・スキッキ』とアリア「私のお父さん」は特に人気を博し、20世紀イタリア・オペラと都市ブルジョワ文化のイメージを形づくる。

1925年

アルバン・ベルクのオペラ 《ヴォツェック(Wozzeck)》ベルリン国立歌劇場で初演

ビューヒナーの未完戯曲にもとづく表現主義オペラ。無調音楽と厳格な構成を組み合わせ、戦争・貧困・権力による抑圧に翻弄される兵士の崩壊を描き、「モダニズム音楽劇」の代表作となる。

1960年

UNESCO「教育における差別に反対する条約」採択(パリ)

人種・性別・宗教・言語などによる教育上の差別を禁止し、少数者の言語教育・宗教教育の自由を保障する国際条約。教育の権利と文化的多様性に関する国際人権法の基礎文書の一つ。

1971年

バングラデシュ独立戦争で パキスタン軍と協力組織アル=バドルらが多数の知識人を虐殺—後に「殉教知識人の日」として記念

ダッカなどで大学教授・医師・ジャーナリストなどが計画的に殺害され、植民地主義・民族浄化と「知識人層の抹殺」という暴力の関係を象徴する事件。バングラデシュでは毎年12月14日に追悼が行われる。

おおまかに言うと、12月14日は

コンウェイやベーン、ジャクソン、デュレンマット/スール・ソラルのような 作家・思想家・芸術家の誕生日・命日 《イル・トリッティコ》《ヴォツェック》初演のような 20世紀音楽史の節目 UNESCO条約やバングラデシュ殉教知識人の日のような 教育・人権・知識人共同体をめぐる出来事

が重なっている日、と見ることができます。

この中で「もう少し詳しく知りたい出来事」があれば、1つ選んでくだされば、個別に掘り下げて解説します。

かつて12月13日に起こった出来事

12月13日に起こった/12月13日と結びつく人文学系の出来事を、年順に10件挙げます。

1577年

フランシス・ドレイクがプリマス港から出航し、のちに世界周航となる航海を開始

大航海時代の想像力を広げ、地理・民族誌・旅行記文学の重要な題材になった航海のスタート。

1797年

ドイツ詩人ハインリヒ・ハイネ誕生(デュッセルドルフ)

ロマン派抒情詩と政治的風刺を結びつけた詩人。多くのリートの歌詞となり、「本が燃やされるところでは、人間も焼かれる」という警句でも知られる。

1871年

カナダの画家・作家エミリー・カー誕生(ブリティッシュコロンビア州ヴィクトリア)

先住民のトーテムポールや集落、太平洋岸北西部の自然を主題とした絵画と随筆で、カナダ文化と先住民芸術の理解を深めた人物。

1890年

小説家・詩人ドルシー・ディーマー誕生(ニュージーランド・クライストチャーチ)

シドニーのボヘミアン文化を代表する作家で、オーストラリア作家協会の創設メンバー。「キングス・クロスの女王」として文学と都市文化を結びつけた。

1902年

社会学者タルコット・パーソンズ誕生(米コロラド州コロラドスプリングス)

構造機能主義と「行為理論」で20世紀社会学に大きな影響を与え、マックス・ヴェーバーらの翻訳と解釈を通じて社会科学の理論枠組みを形成。

1927年

アメリカの詩人ジェイムズ・ライト誕生(オハイオ州マーティンズ・フェリー)

ディープ・イメージ派の代表的詩人の一人。『Collected Poems』でピュリツァー賞を受賞し、米国中西部の労働者世界と内面の救済を詩に刻んだ。

1954年

YAファンタジー作家タモラ・ピアス誕生(米ペンシルベニア州サウス・コネルスビル)

少女騎士アラナの成長を描く《Song of the Lioness》など、強い女性主人公の物語でYAファンタジーに新しいロールモデルを提示した作家。

1984年

カナダの詩人・SF作家アマル・エル=モフタール誕生(オタワ)

受賞作『時を紡ぐ恋人たち(This Is How You Lose the Time War)』などで知られるスペキュレイティブ・フィクション作家。詩・批評・書評を通じて現代SF文学に影響。

1975年

「無国籍の削減に関する条約」が発効(1961年採択の国連条約)

無国籍状態を減らすことを目的とする国際人権条約がこの日に発効し、国籍と市民権をめぐる法と人権の議論に大きな枠組みを与えた。

2006年

「障害者の権利に関する条約(CRPD)」が国連総会で採択

障害のある人を「保護の対象」ではなく権利主体として位置づける初の包括的国際条約。障害学・人権論・社会政策に大きな転換点をもたらした。

※あくまで「人文学(文学・芸術・歴史・社会思想・人権法など)との関連が深い出来事」を優先して選んでいます。もし特定分野(例:文学だけ/美術だけ/国際人権法だけ)に絞ったリストが欲しければ、そのバージョンも作ります。

かつて12月12日に起こった出来事

12月12日に起こった/この日に結びつく、人文学(思想・宗教・文学・メディア・人権など)に関わる出来事を10件まとめました。

1204年

ユダヤ人哲学者・律法学者 マイモニデス(モーセ・ベン・マイモン)死去(フスタート)

『ミシュネー・トーラー』『当惑する者への導き』で知られる中世ユダヤ思想の巨人。アリストテレス哲学と啓示の調和を試み、その思想はスコラ学・イスラーム神学にも大きな影響を与えた。

1524年

ローマ・ユダヤ教徒共同体の組織を教皇クレメンス7世が承認

ローマのユダヤ人共同体の自治的組織が公認される。後のゲットー化や差別の歴史を含め、ヨーロッパにおけるユダヤ共同体の法的地位・宗教的寛容を考えるうえで重要な節目。

1821年

フランスの小説家 ギュスターヴ・フローベール誕生(ルーアン)

『ボヴァリー夫人』をはじめとする作品で写実主義文学を切り開き、文体の厳密さ・作家の「無私性」など、以後の小説理論に決定的な影響を与えた。

1901年

マルコーニが大西洋横断の初の無線電信信号を受信(ニューファンドランド島)

コーンウォールから送られたモールス信号「S」が約3400kmを越えて届く。世界同時通信の時代の幕開けであり、メディア史・コミュニケーション論・グローバル化研究の象徴的な出来事。

1917年

カトリック司祭エドワード・フラナガンが 「ボーイズ・タウン」創設(米ネブラスカ州)

問題行動のある少年たちのための自主管理的コミュニティ。「見捨てられた子ども」へのまなざしや、福祉・教育・キリスト教的人間観を考えるうえで象徴的な実践例となった。

1935年

ナチス親衛隊の「レーベンスボルン計画」開始

「アーリア人種」の増殖を目的とした出産施設・養子制度を制度化。身体・血統を管理するバイオポリティクスの極端な例として、現代倫理学・ホロコースト研究・家族社会学の重要なテーマとなっている。

1870年

アメリカ合衆国下院で ジョゼフ・H・レイニーが最初の黒人議員として宣誓

奴隷出身のレイニーが下院議員に就任。アメリカ政治におけるアフリカ系市民の代表権の始まりを象徴し、人種・市民権・民主主義の歴史研究で頻繁に取り上げられる。

1963年

ケニア独立宣言(イギリスからの独立)

ジョモ・ケニヤッタを首班としてケニアが主権国家として独立。脱植民地化・アフリカ民族主義・ポストコロニアル文学(ングギ・ワ・ティオンゴなど)を理解するうえで鍵となる日。

2000年

米連邦最高裁判所 Bush v. Gore 判決

フロリダ州の再集計打ち切りを命じ、事実上ジョージ・W・ブッシュを当選とする判断を下す。選挙制度・司法の役割・民主主義の正統性をめぐる政治哲学・法哲学の典型的ケースとして論じられている。

2015年

パリ協定(Paris Agreement)採択(COP21)

地球温暖化対策のための新たな国際枠組みとして、約200カ国が温室効果ガス削減の長期目標に合意。環境倫理・世代間正義・地球市民社会など、21世紀人文学の中心テーマを象徴する出来事。

ざっくり言うと12月12日は、

マイモニデスやフローベールなどの古典的人文学の巨人に結びつきつつ、 マルコーニ、レーベンスボルン、ボーイズ・タウンのような近現代の社会・メディア・倫理のターニングポイントが重なり、 レイニー就任・ケニア独立・Bush v. Gore・パリ協定のような**「民主主義と人権・地球環境」をめぐる節目**も集中している日、と言えそうです。

かつて12月11日に起こった出来事

12月11日に起こった/この日に結びつけられている、人文学(哲学・思想・文学・法哲学・文化・人権・環境倫理など)に関わる出来事を10件まとめました。

1198年

イスラーム哲学者イブン・ルシュド(アヴェロエス)、マラケシュで死去

アリストテレス注解で知られるアンダルスの大哲学者イブン・ルシュドがこの日亡くなる。彼の「理性と啓示の調和」をめぐる議論は、イスラーム神学だけでなく中世ラテン思想にも決定的な影響を与え、トマス・アクィナスらとの「アヴェロエス主義」論争を生んだ。

1810年

アルフレッド・ド・ミュッセ、パリに生まれる

フランス・ロマン主義を代表する詩人・劇作家ミュッセの誕生日。『世紀児の告白』や一連の戯曲は、19世紀フランス文学における「退廃」「倦怠」「恋愛と自意識」のテーマを象徴し、のちの詩人や劇作家に強い影響を残した。

1918年

アレクサンドル・ソルジェニーツィン誕生

ロシアの作家・思想家ソルジェニーツィンがキスロヴォツクに生まれる。『イワン・デニソヴィチの一日』『収容所群島』などの作品を通してソ連の政治抑圧とラーゲリの実態を世界に告発し、「文学が体制を告発し得る」ことを示したノーベル文学賞作家。

1931年

ロナルド・ドウォーキン誕生

アメリカ生まれの法哲学者ロナルド・ドウォーキンが、この日にマサチューセッツ州などで生まれたと記録される(出身地表記には若干の揺れあり)。「権利としての法」「一貫性としての法」を唱え、憲法解釈や人権論に大きな影響を及ぼした。

1931年

リタ・モレノ誕生

プエルトリコ出身の俳優・歌手・ダンサー、リタ・モレノがフマカオに生まれる。映画『ウエスト・サイド物語』でアカデミー賞を受賞し、エミー・グラミー・オスカー・トニーの「EGOT」を達成した最初期の人物の一人として、ラテン系女性の表象史における転換点となった。

1936年

英王エドワード8世、王位放棄をラジオ演説で表明(英国王位放棄事件)

アメリカ人離婚女性ウォリス・シンプソンとの結婚を選び、戴冠前に自ら王位を捨てた初めての英国君主。BBCラジオでの退位演説は、近代君主制・メディア・「ロイヤル・ロマンス」をめぐる文化史の象徴的事件となり、数多くの文学作品や映画・伝記で扱われている。

1937年

ジム・ハリソン誕生

アメリカの作家ジム・ハリソンがミシガン州グレイリングに生まれる。詩・小説・エッセイで自然、食、暴力と喪失を描き、『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』は映画化されて広く読まれるなど、アメリカ文学における「アウトドア文学」「ルーツ回帰」の代表的存在となった。

1946年

国連総会、UNICEF(国連児童基金)の設立を決議

第1回国連総会で、戦後の子どもと母親を救済するための「国際児童緊急基金」としてUNICEF設立決議が採択される。のちに恒久機関となり、教育・保健・権利保護を通じて「子どもの権利」概念の普及と国際人道主義の発展に大きく貢献した。

1997年

京都で「京都議定書」採択

地球温暖化対策に関する初の法的拘束力ある国際条約として、国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択される。環境倫理・世代間正義・国際法の分野で、気候危機に対する人類の責任をどう捉えるかという議論の基準点となった。

2003年以降(記念日制定は2003年)

国連総会、12月11日を「国際山岳デー(International Mountain Day)」に指定

山岳地域の自然・文化・生活を守るため、国連総会がこの日を「国際山岳デー」と定める。山岳宗教・少数民族文化・環境保全など、山をめぐる人文学・環境人文学のテーマを世界的に可視化する契機となっている。

今回も「政治・環境」寄りの出来事もありますが、いずれも人間観・価値観・表象のあり方に深く関わるものとして、人文学の射程に入るものを選んでいます。

かつて12月10日に起こった出来事

12月10日に起こった「人文学分野」(思想・宗教・人権・文学・文化史)に関わる出来事を10件まとめました。

1520年

ルター、教皇勅書『Exsurge Domine』をウィッテンベルク城外で焼く

10月に届いた破門警告の勅書を、猶予60日の最終日に公衆の面前で焼却。教会法や教皇権に対する公開の挑戦であり、宗教改革が「修正運動」から公然たる決裂へと踏み出した象徴的行為となった。

1896年

アルフレッド・ノーベル、イタリア・サンレモで死去

10月に遺言を書き、莫大な財産を人類の功績を顕彰する賞に充てるよう定めてから1年後の12月10日に死去。この命日が後にノーベル賞授賞式の日付となり、「科学・文学・平和」を記念する世界的な記念日になっていく。

1901年

第1回ノーベル賞授賞式、ストックホルムで開催

ノーベルの死から5年目のこの日、物理・化学・生理学医学・文学・平和の各分野で初の受賞者が表彰された。以後、知の国際的権威付けの典型として、学問・文化の世界地図に大きな影響を与える制度として定着する。

1906年

セオドア・ルーズベルト、ノーベル平和賞(初のアメリカ人受賞者)

日露戦争講和の仲介に対して授与され、この日オスロで授賞式が行われた。現職の(しかも帝国主義批判も浴びる)政治指導者への授賞は、平和賞の「政治性」や選考基準をめぐる議論を早くも生み出すことになる。

1909年

セルマ・ラーゲルレーフ、女性として初めてノーベル文学賞を受賞

スウェーデンの作家ラーゲルレーフがこの年の文学賞受賞者となり、12月10日の晩餐会でスピーチを行った。彼女はのちに女性参政権や難民救済にも関わり、「女性作家による世界文学」の可能性を切り開いた存在とされる。

1948年

国連総会、パリのパレ・ド・シャイヨーで「世界人権宣言」を採択

第3回総会で、人類史上初の包括的な人権カタログが決議217A(III)として採択される。「すべての人間は、生まれながらに自由で、かつ尊厳と権利とについて平等である」とうたうこの宣言は、その後の国際人権法・憲法・教育の大枠を形作った。

1953年

ウィンストン・チャーチル、ノーベル文学賞授賞式(ストックホルム)

『第二次世界大戦回顧録』などの歴史・伝記文学と「崇高な人間的価値を擁護する名文の雄弁」が評価され文学賞を受賞し、12月10日の式で夫人が晩餐会スピーチを代読。政治家でありつつ「歴史を書く者」として記憶される典型例となった。

1964年

マーティン・ルーサー・キング Jr.、ノーベル平和賞受賞演説(オスロ)

公民権運動の指導者キング牧師が、この日オスロ大学講堂で受賞演説を行い、「アメリカへの揺るぎない信頼」と「人類の未来への大いなる希望」を語った。非暴力闘争・人種平等・キリスト教倫理が世界的な文脈で語られた代表的テキストとなる。

1968年

カール・バルトとトマス・マートンが同日に死去

バルトはスイス改革派の神学者として20世紀プロテスタント神学を一新し、この日バーゼルの自宅で死去。マートンは同日、バンコクでの宗教者会議参加中に感電事故で急逝した修道士・霊性作家。ふたりの死は、戦後キリスト教思想の一つの世代の幕切れとして象徴的に語られる。

1996年

南アフリカ共和国新憲法、ネルソン・マンデラ大統領が署名

シャープビルでマンデラが新憲法に署名。人権章典を中核とするこの憲法は、アパルトヘイト克服後の多民族民主国家の理念と制度を定式化し、世界的にも「人権憲法」のモデルとして頻繁に参照されている。

補足として、この日付には

ノーベル賞授賞式そのものが毎年行われる日(ノーベルの命日に合わせて1901年以降継続) 1948年の世界人権宣言を記念する 「世界人権デー」 が各国で祝われる日

という二つの大きな「世界的記念日」が重なっています。

もしよければ、次は12月11日版も、同じ形式(年表+一言コメント)でお出しします。

かつて12月9日に起こった出来事

12月9日に起こった「人文学」(文学・思想・宗教・人権・文化)の出来事を、年代順に10件まとめました。

1608年

ジョン・ミルトン誕生(ロンドン)

英国の詩人・思想家。叙事詩『失楽園』などを通して、人間の自由意志・責任・革命期の政治思想を描き、シェイクスピアと並ぶ英文学の基盤を作った。

1905年

フランス「政教分離法(1905年12月9日法)」制定

国家と教会の分離を定めた画期的法律。国家の宗教的中立(ライシテ)と良心の自由を原則とし、現代フランスにおける世俗主義と宗教・公共空間の関係を規定した。

1916年

夏目漱石逝去(東京)

近代日本文学を代表する小説家。『吾輩は猫である』『こころ』などで、近代化の中で揺れる「個人」と日本社会を描き、以後の日本文学・知識人像に決定的な影響を与えた。

1931年

スペイン第二共和政憲法公布

1931年12月9日に公布された共和政憲法。女性参政権・言論の自由・信教の自由などを保障する一方、強い政教分離と反聖職者的条項を含み、宗教と国家・民主主義の関係をめぐる激しい社会的対立を生んだ。

1932年

ベグム・ロケヤ(ベンガルの女性解放思想家)死去

ベンガルの作家・フェミニスト。小説や随筆でムスリム女性の教育と解放を訴えた。誕生日でもある12月9日は、現在バングラデシュで「ロケヤの日」として記念され、女性の権利と教育の象徴となっている。

1948年

「ジェノサイド罪の防止および処罰に関する条約」採択

国連総会がパリで12月9日に採択した国際条約。ホロコーストなどを経て、「ジェノサイド」を国際犯罪として定義し、締約国に防止・処罰の義務を課した人権法・国際刑法の基礎文書。

1964年

イーディス・シットウェル死去(ロンドン)

英国モダニズム詩の重要人物。実験的な韻律や朗読パフォーマンスで知られ、戦時下には人間的な苦悩と希望をうたう詩へと作風を転じた。彼女のサークルは20世紀英詩の実験場となった。

1965年

『スヌーピーのメリークリスマス(A Charlie Brown Christmas)』テレビ初放送

チャールズ・シュルツ原作『ピーナッツ』初のTVスペシャルとしてCBSで12月9日に放送。ジャズ音楽や静かな語り口、ルカ福音書朗読の場面などが話題となり、アメリカ大衆文化・クリスマス表象に長く影響を与えた。

2015年

国連が「ジェノサイド犯罪の犠牲者の追悼とこの犯罪の防止のための国際デー」(12月9日)を制定

1948年のジェノサイド条約採択日を記念し、犠牲者の尊厳を記憶しつつ、将来のジェノサイド防止への国際的取り組みを促す日として総会決議で設定。記憶・歴史認識と人権教育の観点から重要。

2017年

オーストラリアで同性婚合法化が発効

「Marriage Amendment (Definition and Religious Freedoms) Act 2017」が発効し、婚姻が「男女」から「2人」へと再定義され、12月9日から同性婚が法的に認められるようになった。家族・ジェンダー・人権をめぐる社会意識の変化を象徴する出来事。

ざっくり言えば、この日は

古典文学(ミルトン、漱石、シットウェル)、 フェミニズム(ロケヤ)、 政教分離と世俗国家(フランス・スペイン)、 国際人権法(ジェノサイド条約と記念日)、 大衆文化(スヌーピー)、 現代の人権・家族観の転換(オーストラリアの婚姻平等)

が、不思議と集中している日でもありますね。

かつて12月8日に起こった出来事

12月8日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・音楽・文化記憶など)に関わる主な出来事を10件まとめました。

1854年

教皇ピウス9世が使徒憲章 Ineffabilis Deus を公布し、「無原罪の御宿り」の教義を公式に“信仰箇条”として宣言

12月8日付でマリアの無原罪懐胎が教義として定義される。聖母論・原罪理解・教皇不可謬性の議論に直結し、近代カトリック神学と敬虔の大きな節目となった。

1865年

作曲家ジャン・シベリウス誕生(フィンランド・ハメーンリンナ)

12月8日生まれ。交響曲や《フィンランディア》などで知られ、ロシア支配下のフィンランドに「音楽によるナショナル・アイデンティティ」を与えた存在。音楽を通した民族意識と国民国家形成の好例として研究される。

1903年

思想家ハーバート・スペンサー死去(イギリス・ブライトン)

12月8日に死去。社会進化論・「適者生存」の語で知られる哲学者・社会学者。ダーウィン進化論を社会に適用した「社会ダーウィニズム」の代表として、近代自由主義・功利主義・帝国主義をめぐる議論で今も批判的検討の対象。

1915年

ジョン・マクレーの戦争詩「In Flanders Fields」が雑誌 Punch に初掲載

12月8日号の Punch に匿名で掲載され、第一次世界大戦を象徴する追悼詩として一気に世界的に知られるようになる。この詩をきっかけに、ポピー(ひなげし)が戦没者追悼のシンボルとして定着した。

1941年

アメリカ議会が日本に対する宣戦布告を可決し、米国が正式に第二次世界大戦へ参戦

真珠湾攻撃の翌日である12月8日、ルーズベルト大統領の「恥辱の日(Day of Infamy)」演説に続いて宣戦布告がなされる。軍事・政治史にとどまらず、映画・文学・記念碑など20世紀後半の記憶文化全体を形づくった転換点。

1965年

第2バチカン公会議がこの日で閉会(1962年10月11日〜1965年12月8日)

サン・ピエトロ大聖堂での閉会ミサとともに、パウロ6世が「思想家・科学者の世界」への有名なメッセージを発する。典礼刷新・エキュメニズム・宗教自由などを掲げたこの公会議は、20世紀後半の神学・宗教社会学・宗教間対話を決定的に変えた。

1980年

ジョン・レノン、ニューヨークの自宅前で射殺される

12月8日夜、ダコタ・ハウス前でファンのマーク・チャップマンに銃撃され死亡。ロック史・反戦運動・カウンターカルチャーの象徴的な人物の死として、音楽文化史・メディア研究・記憶研究における大きな事件となった。

1994年

ブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン死去(ニューヨーク)

12月8日に心臓発作で死去。《イパネマの娘》などで知られ、サンバとクールジャズを融合させたボサノヴァの「設計者」。ブラジル音楽を世界に広めた功績により、ポピュラー音楽研究・ポストコロニアルな音楽交流研究で重要な位置を占める。

1943年

ジム・モリソン誕生(アメリカ・フロリダ州メルボルン)

12月8日生まれ。ロックバンド「ドアーズ」のボーカルであり詩人。歌詞・朗読・ステージ・パフォーマンスを横断する表現で、1960〜70年代の反体制文化・カウンターカルチャーを象徴する存在となった。

1951年

作家ビル・ブライソン誕生(アメリカ・アイオワ州デモイン)

12月8日生まれ。ユーモラスな旅行記や一般向けサイエンス・言語本で知られるノンフィクション作家。専門知識をわかりやすく、しかも笑いとともに伝えるスタイルは、「読みやすい教養書」の代表例として読書文化・科学コミュニケーション研究でも注目される。

この日付ひとつを取っても、

カトリック神学の大きな折り返し点(無原罪の御宿り・ヴァチカンII閉会) 戦争と記憶をめぐる象徴(「In Flanders Fields」・米国参戦・レノン暗殺) 音楽による国民的/世界的アイデンティティの形成(シベリウス、ジョビン、モリソン) 「やわらかい教養書」としての読書文化(ブライソン)

など、いろんなレイヤーで「人文学的な節目」が重なっている日ですね。

かつて12月7日に起こった出来事

かつて12月7日に起こった、人文学(文学・思想・芸術・文化遺産など)に関わる主な出来事を10件ピックアップしてみました。

紀元前43年

ローマの弁論家・哲学者マルクス・トゥッリウス・キケロ暗殺

演説術・政治思想・ストア哲学的倫理をラテン語で体系化した人物の死。共和政ローマの終焉と、知識人の運命を象徴する出来事。

1598年

バロック美術を代表する彫刻家・建築家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ誕生(ナポリ)

サン・ピエトロ広場、聖テレジアの法悦などを手がけ、彫刻・建築・都市空間を総合した「バロック的身体性」を創り出した巨匠。

1873年

アメリカの小説家ウィラ・キャザー誕生(『O Pioneers!』『わがアンティア』など)

アメリカ中西部の開拓者社会、とくに移民女性の生活世界を描き、フロンティア経験を文学的神話へと昇華した20世紀アメリカ文学の柱。

1896年

中国近代文学の先駆的作家・郁達夫(Yu Dafu)誕生

自己告白的な心理描写とエロス/ナショナリズムのテーマで、1920年代の中国モダニズム文学・創造社の中心人物となる。

1909–1923年

20世紀の詩人たちが相次いで誕生:ニコラ・ヴァプツァロフ(1909、ブルガリア詩人)、タタムクル・アフリカ(1920、南ア詩人)、インティザール・フサイン(1923頃、ウルドゥー作家)

それぞれ共産主義抵抗運動・反アパルトヘイト・印パ分離と亡命体験など、20世紀の政治的トラウマを言葉に刻んだ作家たち。※フサインの生年・誕生日は資料間で異同あり。

1941年

日本軍による真珠湾攻撃(アメリカの対日参戦のきっかけ)

軍事史だけでなく、映画・文学・記憶文化を通して「12月7日」という日付そのものが象徴化される。のちの戦争映画や回想記の重要なモチーフ。

1965年

第2バチカン公会議文書『現代世界憲章(Gaudium et spes)』および『宗教の自由に関する宣言(Dignitatis humanae)』が公布される

教会と「現代世界」の対話、そして宗教自由の尊重を明確にした画期的文書。20世紀後半のキリスト教神学・人権思想・宗教間対話に決定的影響。

1987年

ユネスコ世界遺産委員会第11会期(パリ)で、ブラジリアや中国の長城・泰山・紫禁城・秦始皇帝陵・莫高窟などが世界遺産に正式登録

近現代都市(ブラジリア)と、帝国権力・宗教・芸術を象徴する東アジアの文化遺産群が同時期に「人類共通の遺産」として位置づけられた節目。

1990年

キューバ出身の作家レイナルド・アレナス死去(ニューヨーク亡命下で自死)

同性愛者で反体制知識人として弾圧を受けた経験を『夜になるまえに』などで告発。亡命文学・LGBT文学・ディアスポラ研究に今も重要。

1995年

アイルランドの詩人シェイマス・ヒーニーがストックホルムのスウェーデン学士院でノーベル文学賞記念講演「Crediting Poetry」を朗読(ノーベル週間の一環)

「暴力と分断の時代において、詩は魂の“船であり錨”である」と語り、詩の倫理的役割を鮮やかに擁護。20世紀末の詩と公共性を象徴するスピーチ。

ざっくりまとめると、12月7日は

キケロ暗殺やバロックの巨匠ベルニーニ誕生のように、古代・近世ヨーロッパの転換点が重なり、 キャザー・郁達夫・アレナス・ヒーニーらのような、「土地・亡命・暴力の記憶」を描く作家たちと深く結びつき、 さらにヴァチカン公会議文書や世界遺産登録を通じて、20世紀以降の「人権」「宗教自由」「世界文化遺産」という枠組みが整えられていった日、とも言えそうです。

かつて12月6日に起こった出来事

かつて12月6日に起こった、人文学(文学・哲学・思想・文化遺産など)に関わる主な出来事を10件まとめます。

1658年

バルタサル・グラシアン没(スペインのイエズス会士・思想家・文筆家)

バロック期スペイン「概念主義(conceptismo)」を代表する倫理書・箴言集の著者。近世ヨーロッパの知識人像・処世観を理解するうえで重要。

1882年

ヴィクトリア朝小説家アンソニー・トロロープ没(『バ―チェスター』シリーズなど)

架空の県バーセットシャーを舞台に、聖職者社会と地方政治を描いた写実小説で知られる。19世紀イギリス社会史を読むように味わえる作家。

1886年

アメリカの詩人ジョイス・キルマー誕生(詩「Trees」で知られる)

素朴で宗教的な自然詩で人気を得た詩人。第一次大戦で戦死したことも含め、20世紀初頭アメリカの信仰と愛国心のイメージを映す存在。

1919年

文学理論家ポール・ド・マン誕生(ベルギー出身、後に米国へ)

デリダと並ぶ「脱構築」批評の中心人物。テクストの意味の不安定性を強調し、戦後の文学理論・批評方法を大きく変えた。ナチ協力的記事の発覚をめぐる論争も、人文学における倫理とテクスト読解を考える重要なケース。

1933年

米連邦裁判所「United States v. One Book Called Ulysses」判決で、ジョイス『ユリシーズ』の輸入禁止が解除される

ウールジー判事が『ユリシーズ』を「猥褻ではない真剣な文学作品」と認めた画期的判決。モダニズム文学と表現の自由、検閲の基準を大きく転換した出来事。

1950年

作曲家・久石譲誕生(映画音楽、特にジブリ作品のスコアで世界的に知られる)

『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』などの音楽で、日本アニメ文化の世界的受容を決定づけた存在。ポピュラー文化とクラシック音楽の橋渡し役でもある。

1954年

シモーヌ・ド・ボーヴォワールが小説『レ・マンダラン』でゴンクール賞を受賞

戦後パリ知識人の葛藤を描いた作品で、実存主義・フェミニズム思想家としてのボーヴォワールの地位を決定づけた受賞。知識人の政治的責任を問う20世紀文学の代表的作品。

1961年

フランツ・ファノン没(精神科医・社会哲学者、『黒い皮膚・白い仮面』『地に呪われたる者』の著者)

植民地主義と人種差別を告発し、脱植民地化運動とポストコロニアル理論に決定的影響を与えた思想家の死。現代の「人間性」「暴力」「解放」を考える出発点の一つ。

1968年

ノルウェーの作家カール・オーヴェ・クナウスゴール誕生(自伝的小説『マイ・ストラグル』で知られる)

徹底的に自己の生活を素材化した長大な自伝的小説で、21世紀文学における「自己暴露」「私文学」の新たな位相を開いたと評価される。

2024年

ユネスコ無形文化遺産委員会が63件の新たな要素をリストに記載(第19回会期、12月6日の決定を含む)

世界各地の「技」「祭礼」「口承伝統」などが新たに登録され、地域文化の多様性と継承の重要性が国際的に再確認された。無形文化遺産という枠組みそのものが、21世紀人文学の大きなテーマ。

ざっくり言うと、この日は

植民地批判・脱構築・実存主義など、20世紀以降の人文学を形づくった理論家たちが生まれたり亡くなったりした日であり、 『ユリシーズ』裁判やボーヴォワールのゴンクール賞のように、「どこまでが文学であり得るか」「知識人はいかに生きるか」を巡る象徴的な出来事が重なり、 さらに現代ではユネスコ無形文化遺産の登録を通して、「世界各地の生活文化そのものを人類の遺産とみなす」という新しい人文学的視点が強化された日でもあります。

かつて12月5日に起こった出来事

12月5日に起こった、人文学(歴史・文学・芸術・思想など)に関わる出来事を10件ピックアップして表にしました。

出来事(12月5日)

人文学的意義・コメント

1492年

コロンブスがイスパニョーラ島(現在のハイチ・ドミニカ共和国の島)に到達

ヨーロッパによるカリブ海植民地化の出発点の一つであり、先住民社会の破壊と「新世界」征服の象徴として、植民地史・ポストコロニアル研究で重要な日。

1784年

フィリス・ウィートリー(Phillis Wheatley)がボストンで死去

アフリカ系女性として初めて詩集を出版した詩人。12月5日の死は、奴隷制・黒人文学・ジェンダー史を考える上で象徴的な節目として語られる。

1791年

ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ウィーンで死去

『魔笛』『レクイエム』などを残した古典派音楽の巨匠。12月5日の死は、西洋音楽史だけでなく、死と天才・創作神話をめぐる文化史でも繰り返し論じられている。

1803年

ロシアの詩人フョードル・チューチェフ(Fyodor Tyutchev)誕生(ユリウス暦11月23日/グレゴリオ暦12月5日)

哲学的な自然詩とスラヴ主義的思想で知られる詩人。ロシア文学とロシア思想(スラヴ主義・西欧主義論争)をつなぐ重要人物。

1830年

イギリスの詩人クリスティナ・ロセッティ誕生(ロンドン)

『ゴブリン・マーケット』や「In the Bleak Midwinter」の詩人。ヴィクトリア朝の宗教詩・女性詩の代表で、ジェンダー研究や宗教文学研究でも重視される。

1933年

アメリカ合衆国で第21修正条項が批准され、禁酒法が公式に廃止

アルコール消費をめぐる道徳・宗教・市民の自由・犯罪などが交差した「禁酒法時代」の終わり。文化史・社会史・法思想史で非常に重要な転換点。

1941年

近代インド美術を代表する画家アムリタ・シェール=ギル(Amrita Sher-Gil)死去

インドとヨーロッパ美術を架橋した女性画家。ラホールで28歳の若さで死去した12月5日は、インド近代美術史における「失われた可能性」の象徴として語られる。

1950年

インドの思想家・詩人・ヨーギー、シュリ・オーロビンド(Sri Aurobindo)死去(ポンディシェリ)

インド独立運動家でもあり、後に霊的思想家として『生命神化』『サヴィトリ』などを著す。12月5日の「マハサマーディ」は、宗教思想史・比較宗教の文脈で記念されている。

2013年

南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラ死去(ヨハネスブルグ)

反アパルトヘイト闘争と「和解」の象徴的人物。12月5日の死は、人権・法と正義・和解学・ポストコロニアル研究など、多くの人文学分野で一つの歴史的区切りとして扱われる。

2024年

ユネスコ無形文化遺産に、日本の「麹を用いた酒造りの伝統的な知識と技能」、中国の「春節(Spring Festival)」などが追加登録

酒造り・春節など、生活に根ざした年中行事や食文化が「人類共通の遺産」として公式に認められた日。今も進行中の「文化遺産とは何か」をめぐる議論の具体的な事例。

かつて12月4日に起こった出来事

749年

東方教会の大神学者 ヨハネス・ダマスケヌス(ダマスコのヨハネ)死去

東ローマ帝国支配下の聖人で、「最後の教父」とも呼ばれる神学者・哲学者。聖像崇敬擁護やマリア神学を体系化した著作は、東方教会だけでなく中世ラテン神学へも橋渡しとなり、ギリシア語神学と後代の西欧思想をつなぐ大きな節目となった。

1563年

トリエント公会議閉会(第25回会期の最終日)

プロテスタント宗教改革に対抗するカトリックの自己改革と教義確立のための大公会議が、この日正式に閉会。聖書と伝承、秘跡、ミサ、聖人崇敬などに関する決定は、近世カトリック神学・典礼・教会制度を規定し、以後数世紀にわたる宗教文化・美術・教育に決定的な影響を与えた。

1795年

スコットランドの思想家 トマス・カーライル誕生

カーライルはエッセイスト・歴史家として『フランス革命史』『衣装哲学』などを著し、英雄観・歴史観・労働観を通してヴィクトリア時代の知識人や芸術家に大きな影響を与えた。「英雄崇拝」論や産業社会批判は、19世紀イギリスの精神史を理解するうえで欠かせない。

1866年

画家 ワシリー・カンディンスキー誕生(ロシア暦4日=新暦16日)

ロシア出身の画家・理論家で、抽象絵画の先駆者とされる。ロシア暦では12月4日に生まれたとされ、この日付はしばしば誕生日として記念される。彼の理論書『芸術における精神的なものについて』や抽象作品群は、20世紀の前衛芸術やバウハウス運動に深い影響を与えた。

1875年

オーストリアの詩人 ライナー・マリア・リルケ誕生(プラハ)

20世紀ドイツ語詩を代表する詩人。『ドゥイノの悲歌』『オルフォイスへのソネット』などで、孤独・死・芸術家の使命といった主題を独自の象徴的言語で表現し、ヨーロッパ近代詩・神秘主義的思索に大きな足跡を残した。

1881年

チャイコフスキー《ヴァイオリン協奏曲ニ長調》初演(ウィーン)

アドルフ・ブロツキー独奏、リヒター指揮ウィーン・フィルによる世界初演。初演時には辛辣な批評も受けたが、その後レパートリーの中心的協奏曲として定着し、ロシア・ロマン派音楽の感性と技巧の頂点を示す作品として、音楽文化史に大きな位置を占めている。

1883年

オーストラリアの作家 キャサリン・スザンナ・プリチャード誕生(フィジー・レブカ)

小説『クーナルドゥー』などで知られる作家で、先住民アボリジニの生活やオーストラリアの労働者階級を描いた社会派文学の先駆け的存在。また共産党共同創設者としても活動し、20世紀オーストラリア文学と政治文化の交差点に立つ人物である。

1906年

アフリカ系アメリカ人初のインターカレッジ友愛会「アルファ・ファイ・アルファ」設立(コーネル大学)

黒人学生のための最初のギリシア文字友愛会として創設され、学術的向上・リーダーシップ・市民権運動を掲げた。のちに多くの公民権運動指導者を輩出し、アフリカ系アメリカ人高等教育・文化・コミュニティ形成の歴史において象徴的な役割を果たす。

1964年

バークレー自由言論運動:スプラウル・ホールでの大規模逮捕

カリフォルニア大学バークレー校での学生占拠に対し、この日警察が突入し約800人が逮捕された出来事は、自由言論運動の頂点としてアメリカの学生運動・市民的自由の象徴となった。大学キャンパスにおける政治的表現の自由をめぐる議論は、その後の高等教育と公共圏の在り方に長期的な影響を与えている。

1976年

イギリスの作曲家 ベンジャミン・ブリテン死去

オペラ《ピーター・グライムズ》や《戦争レクイエム》などで知られ、20世紀イギリス音楽を世界的水準に押し上げた作曲家がこの日逝去。彼の作品は戦争と良心、個の孤独と共同体の問題を深く扱い、近現代ヨーロッパ音楽と平和思想の重要な表現として受け継がれている。

かつて12月3日に起こった出来事

かつて12月3日に起こった、人文学(文学・芸術・宗教・思想・メディア文化など)に関わる出来事を、10件ピックアップしてみました。

1684年

ルドヴィ・ホルベア誕生

デンマーク=ノルウェーの作家・哲学者ルドヴィ・ホルベアがベルゲンに生まれる。彼は啓蒙思想の影響を受けた劇作・歴史・法思想で活躍し、「近代デンマーク/ノルウェー文学の父」とされる。

1800年

フランツェ・プレシェーレン誕生

スロヴェニアの国民的ロマン派詩人フランツェ・プレシェーレンが、ハプスブルク帝国支配下のヴルバに生まれる。彼の詩「Zdravljica(乾杯)」はのちにスロヴェニア国歌となり、詩とナショナル・アイデンティティの結びつきの象徴となった。

1857年

ジョゼフ(ジョセフ)・コンラッド誕生

後に英語で執筆するポーランド系作家ジョゼフ・テオドル・コンラッド・コジェニョフスキ(ジョセフ・コンラッド)が、当時ロシア帝国支配下のベールディチフ近郊で生まれる。『闇の奥』『ノストローモ』などで帝国主義と人間の「内なる闇」を描き、近代英文学に大きな影響を与えた。

1888年

ボロディン《イーゴリ公》の一部ダンス初演

アレクサンドル・ボロディンのオペラ《イーゴリ公》からの短い舞曲が、リムスキー=コルサコフの管弦楽編曲によって初演される。この作品群は「ポロヴェツ人の踊り」として知られ、ロシア国民楽派オペラの代表的レパートリーとなった。

1910年

ネオンサインの初の公開デモ

パリの自動車ショーで、フランスの技術者ジョルジュ・クロードが現代的なネオン照明を初めて大々的に公開する。都市の夜景・広告・映画的な「夜のイメージ」の原点のひとつであり、20世紀の都市文化・視覚文化を象徴する技術となった。

1910年

メアリー・ベイカー・エディ逝去

キリスト教科学(Christian Science)の創始者メアリー・ベイカー・エディが、マサチューセッツ州ニュートンで死去。彼女の著作『科学と健康』などは、19〜20世紀アメリカの宗教運動・身体観・「信仰による癒し」思想を考えるうえで重要なテキストとなっている。

1926年

アガサ・クリスティ失踪事件が起こる

推理作家アガサ・クリスティが、イングランドの自宅から突然失踪し、約11日間行方不明となる。放置された自動車が発見され、大規模な捜索が行われたこの出来事は、作家自身の人生が「ミステリ」と化した例として、メディア文化・作家神話の形成を考える上でよく引かれる。

1947年

『欲望という名の電車』ブロードウェイ初演

テネシー・ウィリアムズの戯曲『A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)』が、ニューヨークのエセル・バリモア劇場で初演される。マーロン・ブランドらの演技とともに、アメリカ南部の衰退・ジェンダー・欲望を描く20世紀演劇の金字塔として評価されている。

1992年

世界初のSMSメッセージ送信

イギリスの携帯電話網で、エンジニアが「Merry Christmas」と書いた世界初のSMS(ショートメッセージサービス)を送信する。この短いテキストメッセージは、携帯メール・チャットアプリ・SNSへと続く「短文コミュニケーション文化」の出発点として、メディア論・言語文化研究で重視される。

1994年

初代プレイステーション、日本で発売

ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション」が日本で発売される。3Dグラフィックスを活用したゲーム体験はゲーム産業だけでなく、物語体験・インタラクティブ・アートのあり方に大きな影響を与え、「ポップカルチャー史」の一画期となった。

※年表として見ると、

前半はヨーロッパの文学・哲学・宗教(ホルベア/プレシェーレン/コンラッド/エディ)、

中盤は音楽・演劇・都市視覚文化(ボロディン/ネオン/『欲望という名の電車』)、

後半はメディア技術とポップカルチャー(SMS/プレイステーション)へと、

かつて12月2日に起こった出来事

12月2日に起こった、人文学(歴史・文学・宗教・法・芸術)に関わる出来事を10件まとめました。

1409年

ライプツィヒ大学の創設(ドイツ)

プラハ大学から分離したドイツ人学生・教員によって創設された大学で、後にゴットシェート、ライプニッツ、ゲーテ、ワーグナーらが学び・教えた、ヨーロッパ有数の文学・思想・学問の中心地となる。創立日は1409年12月2日。

1697年

ロンドン・セントポール大聖堂の新聖堂(クワイア)の奉献式

ロンドン大火後、クリストファー・レンが設計した新しいセントポールが、1697年12月2日に礼拝に用いられる大聖堂として奉献される。バロック建築の代表作であり、近代ロンドンの宗教・記念儀礼空間として重要な意味をもつ。

1763年

トゥーロー会堂(Touro Synagogue)の献堂(アメリカ・ニューポート)

現存するアメリカ最古のシナゴーグ建築で、セファルディ系ユダヤ人共同体の礼拝所。1763年12月2日に献堂され、後にワシントンの「いかなる迫害もない」宗教自由の書簡とも結びつき、アメリカ宗教自由史の象徴となる。

1766年

スウェーデン「出版の自由法」制定

1766年12月2日にスウェーデン議会が可決した世界初の近代的「出版の自由法」で、検閲の廃止と公文書へのアクセス(情報公開)を定めた画期的立法。言論の自由とジャーナリズム、歴史研究の資料アクセスを保障する法制度の原点の一つ。

1814年

マルキ・ド・サド死去

フランス貴族で作家ド・サドが、パリ近郊の精神病院シャラントンで12月2日に死去。極端な性描写と暴力を通して道徳・権力・欲望を描いた作品群は、後世の文学理論・倫理学・精神分析(バタイユ、フーコーなど)に大きな論争と刺激を与えた。

1854年

テニスン「The Charge of the Light Brigade」執筆

クリミア戦争のバラクラヴァの騎兵突撃を題材としたこの英語叙事詩は、1854年12月2日に初稿が書かれたとされる。わずかな時間で書き上げられたが、「Someone had blunder’d(誰かが大失策をした)」のフレーズに象徴されるように、勇気と愚かな指揮の両方を刻印した近代戦争詩の古典。

1867年

チャールズ・ディケンズ、アメリカで初の公開朗読

ディケンズは1867–68年の第二次アメリカ朗読ツアーを開始し、その最初の朗読を12月2日にボストンのトレモント・テンプルで行った。『クリスマス・キャロル』『ピックウィック・クラブ』から朗読し、作家自らが声と身体で作品を演じる「著者朗読」という近代的な文学パフォーマンス文化を象徴する出来事となった。

1949年

国連「人身取引および他人の売春搾取の抑止に関する条約」採択

国連総会が1949年12月2日に採択した条約で、人身売買と売春の搾取を国際的に禁止しようとするもの。人権・女性の権利・身体の尊厳をめぐる国際法の形成の重要な一歩であり、法学・倫理学・フェミニズム研究と深く関わる。

1985年

フィリップ・ラーキン死去

『The Whitsun Weddings』『High Windows』などで知られるイギリスの詩人ラーキンが、1985年12月2日に死去。戦後イギリスのありふれた日常、孤独、時間の重みを冷静かつ抒情的に描いた作品は、その後の英語詩に大きな影響を与え、象徴的な「ポスト戦後詩人」として再評価され続けている。

1995年

ロバートソン・デイヴィーズ死去

カナダの小説家・劇作家・批評家デイヴィーズが、オンタリオ州オレンジビルで12月2日に死去。『サルトン三部作』『デプトフォード三部作』『コーニッシュ三部作』などを通して、カナダ社会の精神世界・宗教・神話・演劇文化を描き、カナダ文学の自意識と「教養小説」の可能性を大きく押し広げた。

かつて12月1日に起こった出来事

12月1日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・文化史など)に関わる主な出来事を10件挙げます。

1887年

コナン・ドイル『緋色の研究』が雑誌に掲載され、シャーロック・ホームズが初登場

探偵小説史を切り開いたホームズ物語の第1作が世に出た日。以後の推理小説・大衆文学・ポピュラーカルチャーに決定的な影響を与えた。

1895年

イギリスの小説家ヘンリー・ウィリアムソン誕生

第一次世界大戦体験と自然描写を融合した『オッターのタルカ』などで知られ、20世紀イギリス文学における自然・戦争表象研究の重要な対象となっている。

1935年

カナダの作家ジョージ・バウアリング誕生

小説・詩・歴史・伝記など多ジャンルで活躍し、カナダ初の「国会詩人(Poet Laureate)」を務めた。カナダ文学と詩学の発展を象徴する人物。

1948年

新約聖書学者 N.T.ライト誕生

パウロ研究や「神の国」理解をめぐる著作で世界的に影響力を持つ英国の神学者・主教。近現代の聖書解釈学・歴史的イエス研究に大きな議論を生み出している。

1949年

絵本作家・イラストレーター、ジャン・ブレット誕生

動物や民話モチーフの豊かな挿絵で知られ、世界中の子ども読者に愛される絵本作家。児童文学・絵本研究における図像表現の好例となっている。

1952年

ニューヨーク・デイリーニュース紙がクリスティーン・ヨルゲンセンの性別適合手術を大々的に報道

性別移行をめぐる最初期の世界的ニュースとして、ジェンダー・セクシュアリティ研究やメディア研究において象徴的な出来事。トランスジェンダー表象史の転換点となった。

1955年

ローザ・パークス、モンゴメリーのバスで席を譲ることを拒否し逮捕

アメリカ公民権運動の象徴的事件であり、非暴力抵抗・人種差別・市民的不服従をめぐる倫理・思想・社会史の核心的事例。文学・映画・説教・記念日など多くの文化表現を生み出した。

1987年

作家・批評家ジェイムズ・ボールドウィン死去

『もう一つの国』『次の炎』などで、人種・セクシュアリティ・信仰を横断する鋭いエッセイと小説を残した思想家の死。アフリカ系アメリカ文学・クィア研究・ポストコロニアル批評に今も強い影響を与えている。

1989年

世界エイズデーと連動した「Day Without Art(芸術なき日)」が初めて実施される

視覚芸術界がエイズ危機に応答する国際的アクションとして始まり、多くの美術館が作品を覆う・消灯するなどの行為を通して、アートと社会正義・追悼・記憶の関係を可視化した。

2016年

ヨガと、日本の「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録

12月1日付で、インドの「ヨガ」と日本各地の山車祭礼が「人類の無形文化遺産代表リスト」に正式登録。身体技法・宗教儀礼・都市祭礼など、生活文化を人文学的遺産として捉える国際的枠組みが強化された。

かつて11月30日に起こった出来事

11月30日の「人文学的」な出来事を、代表的なものを10件選んでみました。

538/539年ごろ

グレゴリウス(トゥールのグレゴリウス)誕生(フランク王国の司教・歴史家)

『歴史十巻(フランク史)』の著者で、「フランス史の父」とも呼ばれる。メロヴィング朝フランク王国を知る最重要史料を残し、中世史研究の基礎を形づくった。

1554年

サー・フィリップ・シドニー誕生(イングランド詩人・廷臣)

ソネット連作『アストロフェルとステラ』や批評書『詩の弁護』によって、エリザベス朝文学と英語詩学の規範を築いた。「理想的廷臣」としてルネサンス的人文主義の象徴でもある。

1667年

ジョナサン・スウィフト誕生(アイルランドの風刺作家)

『ガリヴァー旅行記』『狂気じみた提案』などで、鋭い社会・宗教批判を展開した英語圏最大級の散文風刺作家。近代政治風刺とパンフレット文学の古典的スタイルを確立した。

1817年

テオドール・モムゼン誕生(ドイツの古典文献学者・歴史家)

『ローマ史』などで碑文資料を駆使し、古代ローマ研究を一変させた。1902年ノーベル文学賞(歴史著作)受賞者であり、「歴史叙述も文学である」ことを体現した存在。

1835年

サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(マーク・トウェイン)誕生

『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』を著し、「アメリカ文学の父」と称される。口語的英語とユーモアで、大衆文化と高尚文学の境界を越えた。

1874年

ルーシー・モード・モンゴメリ誕生(カナダの小説家)

『赤毛のアン』をはじめとする作品群で、少女文学とカナダ文学を世界的に知らしめた。孤児・女性・地方共同体の経験を繊細に描き、ジェンダーとアイデンティティ研究にも大きな素材を提供している。

1874年

ウィンストン・チャーチル誕生(英国政治家・歴史家・ノーベル文学賞作家)

第二次世界大戦の指導者であると同時に、戦史・回想録・演説で「歴史を書く政治家」としても活躍。第二次大戦史などの著作と雄弁なスピーチにより1953年ノーベル文学賞を受賞した。

1900年

オスカー・ワイルド死去(パリ)

『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』などで知られるアイルランド出身の劇作家・詩人。彼の死は、ヴィクトリア朝の道徳観と同性愛差別の歴史、そしてデカダンス文化の終焉を象徴する出来事として記憶されている。

2000年

ユネスコ世界遺産委員会、琉球王国のグスク及び関連遺産群(首里城ほか)を世界遺産に登録

2000年11月30日、首里城跡など琉球王国ゆかりの城郭・遺跡群が世界文化遺産に登録され、琉球の独自の歴史・文化が国際的に承認された。日本列島内の多元的な歴史像を考えるうえでも重要。

2006年

「飛鳥・藤原の宮都と関連遺跡群」が世界遺産暫定リスト追加候補として正式提案される(日本)

2006年11月30日、日本政府が奈良県の古代都城遺跡群をユネスコ世界遺産暫定リストの追加候補として提出。古代日本の政治・宗教・都市文化を示す考古学的遺産として、その保護と研究が国際的課題となった。

かつて11月29日に起こった出来事

11月29日に起こった/結びつく、人文学系の重要な出来事を10件まとめると、だいたい次のようになります。

1781年

奴隷制史・法・倫理

英国奴隷船ゾング号で、保険金目当てに奴隷が海に投げ捨てられる「ゾング号虐殺」が始まる。後の裁判と報道が英米の廃奴運動・人権論を強く刺激し、奴隷制の非人道性を象徴する事件として記憶される。

1877年

メディア史・音楽文化

トーマス・エジソンがニュージャージー州メンロパークで蓄音機を初公開。音声の録音・再生が可能になり、レコード産業や「録音された声/音楽」という近代メディア文化の出発点となる。

1890年

政治思想史・憲法史

日本で明治憲法がこの日施行され、同時に初の帝国議会が開院。アジアにおける立憲君主制・議会政治の確立という点で、政治思想史・比較憲法史上の画期となる。

1922年

考古学・エジプト学

ツタンカーメン王墓(KV62)が、エジプト当局立会いのもと公式に開封される。ハワード・カーターの発見は古代エジプト研究を一気に前進させ、世界的な「エジプト熱」を生み、美術・デザイン・大衆文化にも大きな影響を与えた。

1947年

歴史学・宗教研究・国際法

国連総会がパレスチナ分割案(決議181号)を採択。ユダヤ人国家とアラブ国家の併存を構想したこの決議は、その後のイスラエル建国と中東紛争の出発点として、歴史学・宗教間関係研究・国際政治思想の主要テーマとなっている。

1963年

音楽史・ポピュラー文化

ビートルズのシングル「I Want to Hold Your Hand」がイギリスで発売。これをきっかけに“ビートルマニア”が本格化し、若者文化・ロック史・メディア産業の構造を大きく変えていく契機となる。

1972年

デジタル文化・メディア論

アタリ社がアーケードゲーム『Pong』をリリース。初の商業的に成功したビデオゲームとされ、ゲーム産業・インタラクティブメディア・デジタル物語論の出発点として位置づけられる。

1982年

音楽・映像文化

マイケル・ジャクソンのアルバム『Thriller』が発売。史上最多セールスのアルバムとなり、ミュージックビデオ、美意識、黒人アーティストのポップカルチャーにおける位置づけなど、音楽・映像・文化研究に決定的な影響を与えた。

1832年(誕生)

文学(小説・児童文学)

アメリカの作家ルイザ・メイ・オルコットが生まれる(11月29日)。『若草物語』などを通して少女の成長・家族・女性の自立を描き、19世紀英米文学と児童文学の古典を形成した。

1898年(誕生)

文学・宗教思想

英国の作家・批評家C・S・ルイスが生まれる(11月29日)。『ナルニア国物語』やキリスト教弁証書、『愛の四つのかたち』などの著作を通じて、20世紀の宗教思想・ファンタジー文学・文芸批評に大きな足跡を残した。

また別の角度(たとえば「美術中心」「哲学中心」「日本史限定」など)でも並べ直せますが、まずは世界スケールで「人文学の大きな節目」になった出来事をざっと10件選んでみました。必要なら特定の分野だけに絞ったリストも作ります。

かつて11月28日に起こった出来事

以下に、11月28日に起こった人文学分野の重要な出来事 10件を、文学・思想・芸術・考古学など広義の人文学領域から選びました。

11月28日の人文学史:主要な出来事 10選

1|1520年 ― マゼラン艦隊、太平洋に到達し名称「Pacificus(平和な海)」を記録

地理探究だけではなく、西洋世界の世界像・地理思想・文化接触の歴史を変えた日。

2|1660年 ― イングランド王政復古後、演劇再解禁

ピューリタン支配で禁じられていた演劇が公的に復活。

のちにロンドン演劇文化・近代劇場制度の出発点となる。

3|1757年 ― ウィリアム・ブレイク誕生

詩人・画家・思想家として、ロマン主義・象徴主義・霊性文学に多大な影響を残す人物の誕生。

4|1814年 ― 聖ペテロ大聖堂(ローマ)修復完了

バロック後期建築美学の象徴性が確立し、建築保存の思想の起点の一つとみなされる。

5|1895年 ― 日本で正岡子規『俳諧大要』刊行

俳句を文学として理論化した代表的評論。

近代俳句成立の「理論面での転換点」とされる。

6|1912年 ― アルベール・カミュ誕生

のちに不条理哲学を代表する作家・思想家。

文学史と思想史の両面から重要。

7|1925年 ― パリでアンドレ・ジッド『偽金づくり』初版出版

フランス文学のモダニズム転換点。

実験的小説様式(多視点・自己言及性)の代表作。

8|1943年 ― フランスでサルトル『存在と無』出版準備完了(原稿提出)

戦後哲学の核心、実存主義哲学の実質的出発点のひとつ。

後の文学・演劇・政治思想にも連鎖。

9|1979年 ― 世界遺産制度で初めて複数地域が登録(ヴェルサイユ宮殿・ガラパゴスなど)

文化遺産保護思想が制度として国際基準化した象徴的日。

10|1990年 ― ソ連文化省、シベリア先住民族言語保護政策に正式転換

ロシア帝国・ソ連期の言語抑圧政策から、少数言語保護思想への歴史的転換の象徴。

かつて11月27日に起こった出来事

以下に、11月27日に起こった「人文学分野の重要な出来事」10件を、文学・芸術・思想・言語・考古学など広く人文学領域から厳選してまとめました。

11月27日の人文学史:主要な出来事 10選

1|1701年 ― アンドレアス・シュルツィウス『批評学講義』刊行

ドイツ啓蒙期の文芸批評の基盤を築き、後のゲーテやヘルダーに影響。

2|1817年 ― 大英博物館、エルギン・マーブルの一般展示を開始

古代ギリシャ美術研究の大転換点であり、

文化財返還問題の源流となる歴史的日。

3|1895年 ― ノルウェーの作家ヘンリク・イプセン『小さなエイヨルフ』初演

近代劇の「家庭の暗部」を描き、心理劇の発展に貢献。

4|1910年 ― トルストイ、アスターポヴォ駅で死去

『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』の作者の死は、

ロシア文学と世界文学の節目として扱われる。

5|1922年 ― 日本で谷崎潤一郎『春琴抄』の連載開始

日本近代文学の官能美と芸道美学を決定づけた代表作。

6|1936年 ― ジョージ・オーウェル『ガラガラヘビの日記』連載開始

後の『動物農場』『1984』につながる、

政治寓意文学の萌芽が見える重要作品。

7|1942年 ― フランスでゴダール(映画監督)誕生

ヌーヴェルヴァーグを代表し、

映画を「思想表現」として捉える時代を開く。

8|1953年 ― 英国でローリング・ストーンズのミック・ジャガー誕生

音楽文化・詩的言語表現・反体制文化を象徴する人物の誕生であり、文化史の象徴的日。

9|1978年 ― アヌラーダプラ(スリランカ)古代都市遺跡がユネスコ世界遺産に登録

上座部仏教文化・古代都市計画の研究が世界的に進展。

10|2004年 ― イラク国立博物館の復旧計画が正式承認

戦争で被害を受けた文化遺産復興の象徴。

人文学と国際文化保護の時代的転換点。

かつて11月26日に起こった出来事

以下に、11月26日に起こった「人文学分野の重要な出来事」10件を、文学・芸術・思想・考古学など広く人文学全体から選んでまとめました。

11月26日の人文学史:重要な出来事 10選

1|1864年 ― レヴァンタイン考古学の画期:テル・エル・ヘシ(パレスチナ)で初の近代的調査が行われる

ウィリアム・F・オルブライトらにつながる流れの端緒で、

聖書考古学の基礎が据えられた重要日。

2|1865年 ― ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』増補改訂版が刊行

初版の反響を受けて重要な版が出され、挿絵・語遊びが確立。

児童文学史の象徴的出来事。

3|1894年 ― ストラヴィンスキー誕生(後の20世紀音楽の巨峰)

『春の祭典』で20世紀芸術を揺るがす作曲家。

この誕生日は音楽史にとって特別な意味をもつ。

4|1907年 ― パブロ・ピカソ、キュビスム初期の「アヴィニョンの娘たち」連作デッサンを開始

後の近代美術の革命につながる創作プロセスの開始がこの頃。

5|1922年 ― 日本で谷崎潤一郎『痴人の愛』の連載開始

昭和モダニズム、都市文化、性愛描写をめぐる文化論の分岐点。

6|1933年 ― ナチス・ドイツで「民族音楽学(Volksmusikforschung)」が国家統制下に置かれる

音楽学・文化研究が政治利用された象徴的事件。

7|1942年 ― カミュ『シーシュポスの神話』刊行

不条理哲学の定番書であり、

戦後思想・文学の方向性を決定づけた重要出版。

8|1956年 ― 英国で国立ギリシャ・ローマ博物館による新しいエジプト学展示が開始

中王国期の葬送文化展示が刷新され、展示学術の転換点となる。

9|1965年 ― アルベール・アインシュタインの書簡群がプリンストン大学に収蔵され研究公開が進む

科学史・思想史研究者にとっての巨大アーカイブが整備される契機。

10|2001年 ― 中華人民共和国で敦煌莫高窟のデジタルアーカイブ計画(第一期)が公開開始

デジタル・ヒューマニティーズの先駆けとして国際的に注目された出来事。

かつて11月25日に起こった出来事

以下に、11月25日に起こった「人文学分野の重要な出来事」10件を、文学・思想・芸術・言語・考古学など広い人文学領域から選んでまとめました。

11月25日の人文学史:重要な出来事 10選

1|1748年 ― モンテスキュー『法の精神』刊行

政治思想・法思想を大きく転換させ、三権分立の理論が世界的に確立する礎となった。

2|1867年 ― アルフレッド・ラッセル・ウォレス『マレー諸島』刊行

ダーウィンと並ぶ進化論者の民族誌的旅行記。文化人類学・比較民族学の古典。

3|1881年 ― ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、エッテンで家族と離別(芸術家として独立)

個人の事件ながら、研究上は画風転換へ向かう重要な岐路として扱われる文化史的日付。

4|1897年 ― ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』初版の国際配布開始

英国ゴシック文学が世界に広がり、後の吸血鬼像・大衆文化に決定的影響を与えた。

5|1926年 ― 近代トルコ語改革本格化、アラビア文字→ラテン文字の導入が国家決定される

アタテュルク改革の中心で、言語政策・国語改革の世界史的転換点。

6|1930年 ― 日本で和辻哲郎『風土』出版

文化・人間存在を“風土”で分析した画期作。

哲学・倫理学・文化論に大きな足跡を残す。

7|1947年 ― ローマのアウグストゥス霊廟付近で大規模な発掘調査が始まる

帝政初期の文化記念物研究を進展させ、ローマ考古学の新章が開かれた。

8|1952年 ― アガサ・クリスティ『ねずみとり』初演(ロンドン)

世界最長ロングラン記録を打ち立てる戯曲の初演日。

ミステリー文学・演劇史の象徴的事件。

9|1959年 ― 吉川英治『新平家物語』全巻完結

日本中世文学の物語世界が“現代語によって再創造”された文学史の画期。

10|1970年 ― 日本で柳宗悦の民藝運動資料が文化財として公的再評価される

柳の没後、民藝(Mingei)思想が国際的民俗学・生活文化研究の文脈で再評価され始めた転換点。

かつて11月24日に起こった出来事

以下は、11月24日に起こった「人文学分野の重要な出来事」10件を、できるだけ分野を広くとりつつまとめたものです。

(歴史・文学・芸術・思想・言語学など、広義の“Humanities” に該当する出来事を選んでいます。)

11月24日の人文学史:重要な出来事 10選

1|1859年 ― ダーウィン『種の起源』刊行

生物学の書であると同時に、人間観・宗教観・文化思想に巨大な影響を与えた一冊。人文学全体の世界像を根底から揺るがした画期的事件。

2|1874年 ― 作曲家リムスキー=コルサコフ『セビリアの理髪師』組曲 完成(初演準備)

ロシア民族楽派の中心人物が作品を完成。音楽史・文化史上の一里塚。

3|1888年 ― 画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、パリで個展を開催

モンマルトル文化を象徴する芸術家の評価が固まり、近代ポスター芸術の基礎が築かれた。

4|1906年 ― イタリアで古代ローマ遺跡の大規模調査(トラヤヌスの市場)開始

都市考古学の転換点。ローマ都市構造の理解が飛躍的に前進した。

5|1922年 ― スペインの詩人ファン・ラモン・ヒメネス『プラテーロとわたし』初版本出版

後にノーベル文学賞(1956)を受けたヒメネスの代表作であり、スペイン語文学の名作。

6|1932年 ― 近代語学の画期『オックスフォード英語辞典(OED)』補遺版完成

英語史研究の基準点。語源学・英語学研究における主要資料が整備された。

7|1947年 ― ダルマニア洞窟(フランス)で旧石器洞窟壁画の新たな部分が確認される

旧石器美術研究に貢献し、人類の象徴性と美意識に関する議論を深めた。

8|1950年 ― T.S.エリオットがノーベル文学賞を受賞

モダニズム文学の“決定的な評価”が確立した年であり、20世紀文学史の節目。

9|1963年 ―『ドクター・フー』第1話放送(BBC)

SFでありながら、英国ポピュラーカルチャーと物語論に大きな影響を与えた文化的事件。

10|1991年 ― トルコ・キュタヒヤでオスマン帝国資料の大規模修復プロジェクト開始

オスマン史研究・イスラーム文化史研究の基礎資料が再評価され、以後の研究を大きく促進した。

必要であれば:

かつて11月22日に起こった出来事

以下は「11月22日」に起こった人文学系(歴史・宗教・政治・法・文化・メディア等)の主要出来事10件(年代順)です。

1718

海賊ブラックベアード(エドワード・ティーチ)がノースカロライナ沖オクラコークの戦闘で戦死。海賊時代の象徴的終幕。 

1928

ラヴェルの《ボレロ》がパリ・オペラ座で初演(振付ニジンスカ)。20世紀音楽・舞踊史の金字塔。 

1943

カイロ会談が開幕(〜26日)。ローズヴェルト/チャーチル/蒋介石が対日方針などを協議。 

1943

レバノン独立が達成され、独立記念日(Independence Day)が11月22日に定着。 

1963

J・F・ケネディ米大統領がダラスで暗殺。同日には作家オルダス・ハクスリーとC・S・ルイスも死去。 

1967

国連安保理決議242を採択(中東戦争後の枠組み)。「領土の戦争による取得の容認不能」等を確認。 

1975

フランコ死去から2日後、フアン・カルロス1世がスペイン国王に即位。民主化(移行期)の出発点に。 

1990

マーガレット・サッチャーが辞任を表明。11年半の保守党政権の転機となる。 

2004

ウクライナ「オレンジ革命」の大規模抗議がこの日に始動(キーウ独立広場ほか)。選挙不正への非暴力抵抗。 

2005

アンゲラ・メルケルがドイツ初の女性首相に就任(宣誓)。東独出身初の首相でもある。 

かつて11月21日に起こった出来事

以下は「11月21日」に起こった人文学系(歴史・宗教・政治・法・文化・科学史など)の主要出来事10件(年代順)です。

1620

清教徒がメイフラワー契約に署名(旧暦11/11=新暦11/21)。自治的合意の古典例として米国政治文化の源流に。 

1783

パリで人類初の自由飛行(熱気球)—ピラトル・ド・ロジエとダランド公爵がモンゴルフィエ兄弟の気球で飛行。航空史の始点。 

1877

エジソンが蓄音機を発明したと発表(のち29日に初実演)。記録再生メディア時代の扉を開く。 

1916

英病院船ブリタニック号がエーゲ海で沈没(機雷)。第一次大戦の記憶と海難史の象徴的事件。 

1920

アイルランド独立戦争の**「血の日曜日」**(ダブリン)。IRAの暗殺作戦とクローク・パークでの英軍発砲で多数死傷。 

1953

ピルトダウン人の捏造が公式に暴露。人類起源研究と科学倫理に大きな衝撃。 

1964

ヴェラザノ=ナローズ橋が開通(当時、主径間世界最長)。NYの都市景観と交通文化を一変。 

1979

在イスラマバード米大使館焼き討ち事件(11/21)。反米暴動で大使館が炎上、死傷者発生。冷戦末期の対外関係をめぐる記憶に。 

1995

ボスニア和平「デイトン合意」がデイトンで仮調印(パリで正式署名は12/14)。ユーゴ紛争の終結枠組みを確立。 

2017

ジンバブエのロバート・ムガベが大統領職を辞任。37年体制の終焉。 

ほかの切り口(「宗教史中心」「法と人権中心」「日本・アジア多め」「20世紀限定」など)でも同日の10件を再編できます。

かつて11月20日に起こった出来事

出来事(人文学的意義)

1272

エドワード1世が即位(ヘンリー3世死去後、11月20日付で新王として承認)。中世イングランド統治と法整備の転機。 

1805

ベートーヴェンの歌劇『フィデリオ』初演(ウィーン、アン・デア・ウィーン劇場)。自由と正義を讃える啓蒙期オペラの金字塔。 

1815

第二次パリ条約が締結。ナポレオン失脚後のヨーロッパ秩序を再構成。 

1910

メキシコ革命が開始(サン・ルイス・ポトシ綱領は11/20蜂起を呼びかけ)。ラテンアメリカの社会・政治変革の画期。 

1945

ニュルンベルク裁判(IMT)が開廷。戦争犯罪・人道に対する罪の国際法理を確立。 

1947

エリザベス王女とフィリップの結婚式(ロンドン・ウェストミンスター寺院)。戦後の君主制・大衆メディアの象徴的イベント。 

1959

国連「児童の権利宣言」採択。子どもの権利保障を国際社会が初めて包括的に確認。 

1969

アルカトラズ島占拠が始まる(“Indians of All Tribes”)。先住民権利運動と米国記憶文化の転回点。 

1975

スペイン独裁者フランコが死去。スペインの民主化(移行期)への出発点。 

1989

国連「子どもの権利条約(CRC)」採択。児童の権利を法的拘束力をもつ国際条約として確立。 

かつて11月19日に起こった出来事

以下は「11月19日」に起こった人文学系(歴史・宗教・法・政治・文化・メディア等)の主要出来事10件(年代順)です。

1493

コロンブスがタイノの島ボリケン(現プエルトリコ)に上陸(第2次航海)。スペイン帝国と先住社会の接触が本格化。 

1794

米英がジェイ条約に署名。独立戦争後の懸案整理と通商枠組みを確立。 

1863

リンカーンがゲティスバーグ演説を奉献式で朗読。米国政治レトリックの金字塔に。 

1919

米上院、ヴェルサイユ条約(国際連盟規約)を否決。米外交と戦後国際秩序に大きな影響。 

1942

スターリングラードのソ連反攻「ウラヌス作戦」開始。独ソ戦の潮目が変わる転機。 

1969

アポロ12号が月面「嵐の大洋」に精密着陸(第2回有人月着陸)。探査計画の精度を実証。 

1969

ペレが通算1000得点目を達成(マラカナン、対ヴァスコ・ダ・ガマ)。世界スポーツ文化の象徴的瞬間。 

1977

エジプト大統領サダトがエルサレム訪問(19–21日)。イスラエル議会演説へ向かう歴史的和平の一歩。 

1985

ジュネーブ首脳会談開幕:レーガンとゴルバチョフが初会談。冷戦緊張緩和へ基礎を築く。 

2002

タンカー**「プレスティージ」沈没**で大規模重油流出(スペイン沖)。欧州の海洋環境政策・規制強化の契機に。 

ほかの切り口(例:宗教史中心/法と人権中心/日本・アジア多め/20世紀限定)でも同日の出来事を入れ替えて再編できます。