3月16日に起こった出来事

以下に、過去の3月16日に「文化・芸術・エンターテイメント」分野で起こった主な出来事を、年代順に10件ご紹介します。著名アーティストや作品の誕生・リリースなど、幅広く取り上げています。

1. 1822年3月16日:ロザ・ボヌール(Rosa Bonheur)の誕生

• フランスの画家。動物画を得意とし、19世紀ヨーロッパを代表する女性芸術家の一人。代表作に『馬市』など。

2. 1926年3月16日:ジェリー・ルイス(Jerry Lewis)の誕生

• アメリカのコメディアン・俳優・映画監督。ディーン・マーティンとのコンビや『底抜けシリーズ』などで知られ、コメディ映画の発展に大きく貢献した。

3. 1941年3月16日:ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)の誕生

• イタリアの映画監督・脚本家。『ラストタンゴ・イン・パリ』『ラストエンペラー』など国際的に高い評価を得た作品を生み出し、アカデミー監督賞も受賞。

4. 1949年3月16日:エリック・エストラダ(Erik Estrada)の誕生

• アメリカの俳優。1970年代後半から80年代前半にかけて放送されたテレビドラマ『白バイ野郎ジョン&パンチ(CHiPs)』のパンチ役で一躍有名に。

5. 1961年3月16日:トッド・マクファーレン(Todd McFarlane)の誕生

• カナダ出身のコミックブック作家・イラストレーター。マーベルの『スパイダーマン』、自ら創作した『スポーン』などで世界的な人気を博し、イメージ・コミックスの共同創設者としても知られる。

6. 1964年3月16日:ビートルズが「キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can’t Buy Me Love)」をアメリカでリリース

• 発売直後から全米チャートを急上昇し、当時のビートルズ旋風を象徴する一曲となった。イギリスでは3月20日に発売されている。

7. 1967年3月16日:ローレン・グレアム(Lauren Graham)の誕生

• アメリカの女優。ドラマ『ギルモア・ガールズ』のローレライ役や『ペアレンツ』など数多くのテレビシリーズで活躍している。

8. 1968年3月16日:オーティス・レディング(Otis Redding)の「ドック・オブ・ザ・ベイ」(Sittin’ On the Dock of the Bay)が全米1位を獲得

• この曲はアーティスト死後にリリースされ、史上初の“死後にビルボード1位を獲得したシングル”となった。ソウル・ミュージックを代表する名曲。

9. 1971年3月16日:アラン・テュディック(Alan Tudyk)の誕生

• アメリカの俳優・声優。ドラマ『ファイヤーフライ』や映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のK-2SO役(声)など、多彩な演技で知られる。

10. 1986年3月16日:アレクサンドラ・ダダリオ(Alexandra Daddario)の誕生

• アメリカの女優。『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズ、『ベイウォッチ』などで知られ、映画やドラマで活躍中。

こうして見ると、3月16日は名作の誕生やリリース、大物俳優や芸術家の誕生日が重なっており、多彩なジャンルで歴史的な出来事が起こった日となっています。

クラウディアヌスのエピグラムと古代ローマ Ⅰ

古代ローマの詩人クラウディアヌス(370年頃-404年頃以降)のエピグラムです。

In podice glabro Solus Hylax crinem servat in corpore toto. Quem patitur morbum, crinem retinendo, pudendum?

「滑らかな肛門において、 ヒュラクスだけが全身で毛を残している。 彼は毛を残すことで、どんな恥ずべき病を患っているのか?」

Claude3.7Sonnetによる文法的説明


文法的解釈

  1. In podice glabro (前置詞句)
    • in: 〜において(前置詞、奪格支配)
    • podice: お尻(podex, podicis の奪格)
    • glabro: 毛のない、滑らかな(形容詞 glaber, glabra, glabrum の男性単数奪格)
  2. Solus Hylax crinem servat in corpore toto. (文)
    • Solus: たった一人で(形容詞 solus, sola, solum の男性単数主格)
    • Hylax: ヒュラクス(固有名詞、主格)
    • crinem: 毛、髪(crinis, crinis の対格)
    • servat: 保つ、保存する(動詞 servo, servare の現在形3人称単数)
    • in corpore toto: 全身において(前置詞句、corpus, corporis の奪格と形容詞 totus の奪格)
  3. Quem patitur morbum, crinem retinendo, pudendum? (疑問文)
    • Quem: どのような(疑問形容詞 qui, quae, quod の対格)
    • patitur: 患う(動詞 patior, pati の現在形3人称単数)
    • morbum: 病気(morbus, morbi の対格)
    • crinem retinendo: 毛を保つことによって(動名詞的奪格)
    • pudendum: 恥ずかしい(形容詞 pudendus, pudenda, pudendum の対格、morbum を修飾)

翻訳

「滑らかな肛門において、 ヒュラクスだけが全身で毛を残している。 彼は毛を残すことで、どんな恥ずべき病を患っているのか?」

作品解説

このエピグラムはクラウディアヌスの風刺的作品の一例で、当時のローマ社会における身体の毛処理の習慣を題材にしています。古代ローマでは、男性が体毛を処理することは一般的な美容習慣でした。特に上流階級の間では、全身の毛を剃ることが清潔さと洗練の象徴とされていました。

この詩では、ヒュラクスという人物が一般的な習慣に反して、特定の部位(肛門周辺)だけ毛を残していることを風刺しています。詩人はこれを「病気」と皮肉り、その行為の裏に何か恥ずべき理由があるのではないかと示唆しています。

このエピグラムは性的な含意を持ち、当時の性習慣に対する批評としても読めます。特定の性的嗜好や行為を暗示し、社会的規範から外れた行動を風刺しているのです。

マルティアリスの風刺エピグラムの伝統を継ぐこの作品は、後期ローマ帝国の社会習慣と性的倫理観を垣間見せるとともに、クラウディアヌスが公的な叙事詩とは別に、より挑発的で個人的な題材も扱っていたことを示しています。

時代とエピグラムの詳しい文化的背景


歴史的文脈(370年頃-404年頃以降)

クラウディアヌスが活躍した4世紀末から5世紀初頭は、ローマ帝国の重大な転換期でした。この時代は以下の特徴がありました:

  1. 帝国の分裂: 395年、テオドシウス1世の死後、帝国は東西に完全に分裂
  2. キリスト教の国教化: テオドシウス1世の時代(380年)にキリスト教が国教となり、異教の慣習が制限される
  3. 蛮族の侵入: ゲルマン民族の侵入が増加し、帝国の安全が脅かされていた
  4. 古典文化の変容: 古代ギリシャ・ローマの伝統文化とキリスト教文化の融合・対立が進行

文学的背景

クラウディアヌスはこの時代において特異な存在でした:

  1. 異教的伝統の継承者: キリスト教が優勢となる中、彼は古典的な異教的文学伝統を保持
  2. 二言語の詩人: エジプト・アレクサンドリア出身でギリシャ語とラテン語の両方で創作
  3. 宮廷詩人: 西ローマ帝国の宮廷で、皇帝側近スティリコの庇護を受けた公式的詩人

エピグラムの文化的背景

1. 性的表現と身体文化

「In podice glabro」のような性的含意のあるエピグラムは、当時の身体文化を反映しています:

  • 公衆浴場文化: ローマの公衆浴場は社交の場であり、裸体は日常的に晒されていた
  • 美容習慣: 上流階級の男性は全身脱毛が一般的で、それが洗練の象徴だった
  • 性的規範: ローマ社会では性的役割(能動/受動)が社会的地位と結びついており、特定の部位の毛の処理はその性的役割と関連していた
  • 医学的見解: 体毛処理は単なる美容ではなく、健康や衛生の観点からも推奨されていた

2. 知的文化と科学的関心

クラウディアヌスの「De magnete(磁石について)」や「De sphaerae Archimedis(アルキメデスの天球について)」などのエピグラムは、当時の知的関心を示しています:

  • 博物学的伝統: プリニウスの『博物誌』に代表される自然現象への関心
  • 機械工学: 水時計や天球儀などの精密機械への驚嘆
  • アレクサンドリア学派: クラウディアヌスの出身地アレクサンドリアは科学研究の中心地
  • 新プラトン主義: 物質世界の背後にある霊的原理への関心

3. 社会風刺と政治的文脈

エピグラムはしばしば社会批評の手段でした:

  • 貴族文化: 富の誇示、結婚の慣習、社会的上昇志向などへの批評
  • 民族的緊張: ローマ市民とゲルマン系軍人・官僚との間の文化的軋轢
  • 宗教対立: 異教文化の擁護者とキリスト教徒との間の緊張関係
  • 言語遊戯の伝統: 言葉の巧みな操作による知的エリート間の娯楽

4. 文学的伝統

クラウディアヌスのエピグラムは以下の文学的伝統に立脚しています:

  • マルティアリスの継承: 1世紀のエピグラム詩人マルティアリスの風刺的スタイルの継承
  • ギリシャ・アンソロジー: ギリシャ語エピグラム伝統の影響
  • アレクサンドリア詩学: 技巧的で学識に満ちた詩作の伝統
  • 懐古主義: 「古き良き時代」のローマ文化への憧憬

影響と重要性

クラウディアヌスのエピグラムは、古典文化の最後の輝きとして重要です:

  1. 彼は古典的教養が崩壊していく時代に、その伝統を保存した
  2. キリスト教文化へ移行する過渡期の貴重な証言となっている
  3. 後期帝政時代の日常生活、科学的関心、文化的価値観を伝える歴史的資料

彼のエピグラムは、古代末期の複雑な文化的モザイクを理解する上で、極めて重要な窓を提供しているのです。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

3月15日に起こった出来事

以下に、過去の3月15日に「文化・芸術・エンターテイメント」分野で起こった主な出来事を、年代順に10件ご紹介します。いずれも後世に大きな影響を与えたとされるものです。

1. 1830年3月15日:パウル・ヘイゼ(Paul Heyse)誕生

• ドイツ出身の作家・詩人。1910年にノーベル文学賞を受賞した人物で、詩や短編小説、戯曲など幅広い分野で活躍しました。

2. 1907年3月15日:ザラ・レアンデル(Zarah Leander)誕生

• スウェーデンの歌手・女優。1930~40年代にドイツ映画界で活躍し、その独特の歌声で当時のヨーロッパ圏で絶大な人気を博しました。

3. 1912年3月15日:ライトニン・ホプキンス(Lightnin’ Hopkins)誕生

• アメリカ合衆国のブルース・ギタリスト/シンガー。即興性の高いギター演奏と深みのある歌声で、多くの後進ミュージシャンに影響を与えました。

4. 1943年3月15日:スライ・ストーン(Sly Stone)誕生

• アメリカのミュージシャン。ファンク/ソウルの名バンド「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」を率い、ファンク音楽の革新者として知られます。

5. 1945年3月15日:第17回アカデミー賞授賞式が開催

• 第二次世界大戦下の作品を対象とした回で、当時大ヒットを記録した『我が道を往く(Going My Way)』が作品賞など7部門を受賞しました。戦時中ということもあり、開催自体が大きな注目を集めました。

6. 1947年3月15日:ライ・クーダー(Ry Cooder)誕生

• アメリカのギタリスト/作曲家。ブルース、フォーク、ロックなど幅広いジャンルを横断する演奏スタイルと音楽プロデュースで高く評価されています。

7. 1956年3月15日:ブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』初演

• アラン・ジェイ・ラーナー作詞、フレデリック・ロウ作曲による大ヒット・ミュージカル。ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』を原作とし、後にオードリー・ヘプバーン主演で映画化されました。

8. 1962年3月15日:テレンス・トレント・ダービー(Terence Trent D’Arby)誕生

• 後にサナンダ・マイトレイヤ(Sananda Maitreya)へ改名したアメリカのシンガーソングライター。1980年代後半に「Wishing Well」の大ヒットで注目を集めました。

9. 1972年3月15日:マーク・ホッパス(Mark Hoppus)誕生

• アメリカのロックバンド「Blink-182」のベーシスト兼ボーカリスト。ポップ・パンクを代表するバンドの一員として世界的に人気を博しています。

10. 1975年3月15日:エヴァ・ロンゴリア(Eva Longoria)&ウィル・アイ・アム(will.i.am)誕生

• エヴァ・ロンゴリアはアメリカの女優で、『デスパレートな妻たち』などで一躍有名に。

• ウィル・アイ・アムはヒップホップ・グループ「ブラック・アイド・ピーズ」の中心メンバーであり、音楽プロデューサーとしても活躍しています。

これらはあくまで代表的な例ですが、3月15日はブロードウェイ・ミュージカルの歴史的公演や、音楽界を支えてきたアーティストたちの誕生日など、幅広い分野で記念すべき出来事が起きた日と言えます。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ L

Menophili penem tam grandis fibula vestit Ut sit comoedis omnibus una satis. Hunc ego credideram – nam saepe lavamur in unum – Sollicitum voci parcere, Flacce, suae; Dum ludit media populo spectante palaestra, Delapsa est misero fibula: verpus erat.

3.7Sonnetによる翻訳と文法的説明


こちらはマルティアリスのエピグラムを日本語に翻訳し、文法の解説を添えます。

翻訳

メノフィルスの陰茎はとても大きな留め金で覆われている
コメディア俳優全員に一つで十分なほどに。
私は彼が(というのも私たちはよく一緒に入浴するので)
自分の声を守るために心配しているのだと思っていた、フラックスよ。
彼が広場の真ん中で人々が見ている前で運動していた時、
哀れな彼の留め金が外れた:彼は包皮切除をしていたのだ。

文法解説

  1. 「Menophili penem tam grandis fibula vestit」
  • Menophili: Menophilus(固有名詞)の属格形
  • penem: penis(陰茎)の対格形
  • tam: 「とても」を意味する副詞
  • grandis: grandis(大きい)の主格形
  • fibula: 「留め金」を意味する名詞、主格形
  • vestit: vestire(覆う、着せる)の現在形、3人称単数
  1. 「Ut sit comoedis omnibus una satis」
  • Ut: 「~するように」を表す接続詞
  • sit: sum(である)の接続法現在形、3人称単数
  • comoedis: comoedus(喜劇俳優)の複数与格形
  • omnibus: omnis(すべての)の複数与格形
  • una: unus(一つの)の女性単数主格形(fibula を指す)
  • satis: 「十分に」を意味する副詞
  1. 「Hunc ego credideram – nam saepe lavamur in unum -」
  • Hunc: hic(この人)の男性単数対格形(Menophilus を指す)
  • ego: 「私は」を意味する主格の人称代名詞
  • credideram: credo(信じる)の大過去形、1人称単数
  • nam: 「なぜなら」を意味する接続詞
  • saepe: 「しばしば」を意味する副詞
  • lavamur: lavo(洗う)の受動態現在形、1人称複数
  • in unum: 「一緒に」を意味する熟語
  1. 「Sollicitum voci parcere, Flacce, suae」
  • Sollicitum: sollicitus(心配している)の男性単数対格形
  • voci: vox(声)の単数与格形
  • parcere: parco(守る、節約する)の不定詞
  • Flacce: Flaccus(フラックス、詩人の友人)の呼格形
  • suae: suus(彼自身の)の女性単数与格形
  1. 「Dum ludit media populo spectante palaestra」
  • Dum: 「~している間に」を意味する接続詞
  • ludit: ludo(遊ぶ、運動する)の現在形、3人称単数
  • media: medius(中央の)の女性単数奪格形
  • populo: populus(人々、民衆)の単数奪格形
  • spectante: specto(見る)の現在分詞、単数奪格形
  • palaestra: 「運動場、広場」を意味する名詞、単数奪格形
  1. 「Delapsa est misero fibula: verpus erat」
  • Delapsa est: delabor(落ちる)の完了形、3人称単数女性形
  • misero: miser(哀れな)の男性単数与格形
  • fibula: 「留め金」を意味する名詞、主格形
  • verpus: 「包皮切除をした人」を意味する名詞、主格形
  • erat: sum(である)の未完了過去形、3人称単数

この詩はローマ時代の風刺詩人マルティアリスによるもので、性的なユーモアを含んでいます。詩中の「fibula」は実際には古代ローマで歌手や俳優が声を守るために使用された装置を指し、「verpus」はユダヤ人を指す言葉としても使われていました。

このエピグラムと古代ローマの文化・習俗


このエピグラムには、古代ローマの複数の文化的・社会的習慣が反映されています。主な要素を解説します:

1. インフィブラティオ(Infibulatio)

エピグラムの中心的な話題は「フィブラ(fibula)」と呼ばれる装置です。これは男性の性器に装着する金属製または革製の留め具で、性的禁欲を強制するために使用されました。特に若い男性歌手や俳優(comoedi)に対して行われた習慣です。

この処置の目的:

  • 声質の保護:当時は、性行為が男性の声質に悪影響を与えると信じられていました。特に歌手や俳優の場合、声は彼らの職業生命に直結するため重要でした。
  • 禁欲の強制:若い芸能人の性的活動を制限することで、仕事に集中させる意図もありました。

2. 公共浴場(Thermae)の文化

「nam saepe lavamur in unum」(私たちはよく一緒に入浴するので)という一節は、古代ローマの公共浴場文化を反映しています。

  • 社交の場:浴場は単なる清潔のための場所ではなく、重要な社交の場でした。
  • 裸体の文化:ローマ人は公共の浴場で裸になることに抵抗がなく、これが詩人が「メノフィルス」の身体的特徴を観察できた状況を説明しています。
  • 階級を超えた交流:様々な社会階層の市民が同じ浴場を利用し、交流する機会となっていました。

3. パラエストラ(Palaestra)での公開運動

「media populo spectante palaestra」(広場の真ん中で人々が見ている前で)という表現は、パラエストラでの公開運動の習慣を示しています。

  • パラエストラ:ギリシャ由来の運動施設で、レスリングや他の運動競技のための場所でした。
  • 公開性:運動競技は公開で行われ、観客が見物することが一般的でした。
  • 裸体での運動:古代ギリシャ・ローマでは運動は裸体(またはほぼ裸体)で行うことが一般的でした。

4. ユダヤ人と割礼の文化的認識

「verpus erat」(彼は包皮切除をしていた)という結末は、ローマ社会におけるユダヤ人と割礼に関する認識を反映しています。

  • 文化的マーカー:割礼はユダヤ人を識別する身体的特徴として認識されていました。
  • 異質性:ローマ社会では割礼は「外国的」な習慣とみなされ、時には風刺や冗談の対象となりました。
  • 社会的含意:この詩では、メノフィルスが「フィブラ」を着けている理由が実は声を守るためではなく、自身のユダヤ的アイデンティティを隠すためだった、という意外な展開を示しています。

5. ローマの風刺文学

エピグラム自体が、ローマの風刺文学の伝統を体現しています。

  • 鋭い観察:社会的慣習や個人の奇癖を鋭く観察し風刺する伝統
  • 性的ユーモア:性的な話題を直接的に扱うことがローマ文学では珍しくなかった
  • 社会批評:笑いを通じて社会的・文化的緊張関係を探求する手段

このエピグラムは、わずか数行の中に古代ローマの複数の文化的側面を凝縮して描いており、社会的習慣と個人的アイデンティティの交差点を風刺的に描写しています。


ここまでです。お付き合いくださりありがとうございました。

3月14日に起こった出来事

以下に、過去の3月14日に起こった、文化・芸術・エンターテイメント分野に関係する主な出来事やトピックを10件ご紹介します。年代順ではありませんが、参考になれば幸いです。

1. 1681年3月14日:ゲオルク・フィリップ・テレマンが洗礼を受ける

• ドイツの作曲家テレマンは1681年3月14日に洗礼を受けたとされています(正確な誕生日時は確定していません)。バロック音楽を代表する作曲家のひとりで、生前はヨハン・ゼバスティアン・バッハよりも高い評価を得ていたとも言われます。

2. 1804年3月14日:ヨハン・シュトラウス1世 誕生

• 「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス2世の父であり、オーストリアの作曲家・指揮者。舞踏会音楽やワルツの分野で大きな足跡を残し、ウィーン音楽の発展に寄与しました。

3. 1933年3月14日:マイケル・ケイン 誕生

• イギリスの名優マイケル・ケイン(本名:Maurice Joseph Micklewhite)がロンドンで生まれた日。『リタと大学教授』『サイダー・ハウス・ルール』『ダークナイト』シリーズなど、多数の映画で存在感を示し、二度のアカデミー助演男優賞を受賞しています。

4. 1948年3月14日:ビリー・クリスタル 誕生

• アメリカ合衆国のコメディアン・俳優・映画監督。映画『恋人たちの予感』や『アナと王様(吹替)』、そしてアカデミー賞授賞式の司会などで知られ、エンターテイナーとして幅広く活躍しています。

5. 1958年3月14日:史上初のRIAAゴールド・シングルが誕生

• 米国レコード協会(RIAA)によるシングルのゴールド認定第一号として、ペリー・コモの「Catch a Falling Star」が選ばれた日。音楽産業における販売実績の指標づくりに大きく寄与した出来事です。

6. 1979年3月14日:クリス・クライン 誕生

• アメリカの俳優クリス・クラインがイリノイ州で生まれた日。映画『アメリカン・パイ』シリーズのオズ役などで知られています。

7. 1981年3月14日:ロキシー・ミュージック「Jealous Guy」が全英シングル・チャート1位を獲得

• イギリスのロックバンド、ロキシー・ミュージックによるジョン・レノンのカバー曲「Jealous Guy」が、同日付の全英シングル・チャートで1位に。ロキシー・ミュージックにとって唯一の全英ナンバーワン・ヒットとなりました。

8. 1983年3月14日:テイラー・ハンソン 誕生

• アメリカのポップ・ロックバンド「ハンソン(Hanson)」のメンバー、テイラー・ハンソンがオクラホマ州タルサで生まれた日。代表曲「MMMBop」などで90年代に大きな人気を博しました。

9. 日本の「ホワイトデー」

• 毎年3月14日は、日本で「ホワイトデー」と呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする習慣として1970年代末から広まり、現在ではアジアの一部地域でも行われる文化行事となっています。

10. 2021年3月14日:第63回グラミー賞 授賞式

• 新型コロナウイルスの影響で延期となり、2021年3月14日に開催された第63回グラミー賞。ビヨンセが女性アーティスト最多受賞記録を更新、テイラー・スウィフトが史上初となる3度目の「最優秀アルバム賞」を受賞するなど話題となりました。

上記のように、3月14日は日本のホワイトデーをはじめ、著名アーティストや俳優の誕生、音楽史における初のゴールド・シングル認定など、文化・芸術・エンターテイメントにかかわるさまざまなトピックが存在しています。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅠL

マルティアリスの公衆浴場に関する風刺的なエピグラムをご紹介します。

In thermis sumit lactucas, ova, lacertum, / Et cenare foris se negat Aemilius.

3.7Sonnetによる翻訳と解説


マルティアリスのエピグラム「In thermis sumit…」に関する詳細解説

言語・文法的分析

In thermis sumit lactucas, ova, lacertum,

  • In thermis: 「浴場で」という場所を示す前置詞句。thermae(複数形)は公衆浴場を指し、複数形で用いられるのが一般的。奪格(ablative)で場所を表現。
  • sumit: sumo, sumere, sumpsi, sumptum「取る、摂る、消費する」の直説法現在3人称単数形。主語はAemilius。
  • lactucas, ova, lacertum: sumitの直接目的語で対格。3つの食べ物が列挙されている。
  • lactucas: lactuca「レタス」の対格複数形
  • ova: ovum「卵」の対格複数形
  • lacertum: lacertus「トカゲ魚/サバの一種」の対格単数形

Et cenare foris se negat Aemilius.

  • Et: 接続詞「そして」
  • cenare: ceno, cenare「夕食を取る」の不定詞。否定の目的語として機能。
  • foris: 副詞「外で、家の外で」
  • se: 再帰代名詞「自分が」対格
  • negat: nego, negare「否定する、言い張る」の直説法現在3人称単数形。
  • Aemilius: 主語、ローマの男性名

翻訳の精緻化

「アエミリウスは浴場でレタスと卵とトカゲ魚を食べる。
しかし彼は外で食事をしていると認めようとしない。」

文化的・社会的コンテクスト

  1. 古代ローマの浴場文化:
  • thermaeは単なる入浴施設ではなく、社交、運動、文化活動の中心地だった
  • 通常、複合施設内に食事をする場所(tabernae)も別にあったが、浴場エリア自体での食事は一般的ではなかった
  1. 食物の選択と意味:
  • レタス(lactuca): 当時は前菜や軽食として消費
  • 卵(ova): 簡単な食事の定番
  • トカゲ魚/サバ(lacertus): 安価な魚の一種
  1. エピグラムの風刺的意図:
  • アエミリウスの矛盾:公共の場で明らかに食事をしているのに、外食していないと主張する
  • 可能性として、「外食」と「家で食べる」の間の曖昧な領域を利用している
  • 当時の社会的規範:外食は贅沢と見なされることもあり、質素を装う偽善を風刺
  1. マルティアリスの文学的特徴:
  • 簡潔さ:わずか2行で状況と皮肉を完璧に伝える
  • 日常の観察:平凡な場面から人間の弱点を抽出
  • 対照法:行動(sumit)と言葉(negat)の矛盾を際立たせる
  1. 解釈の可能性:
  • 経済的偽善:外食費を節約していると見せかけつつ実際は消費している
  • 社会的虚栄:質素な生活を装いながら公共の場で消費を楽しむ
  • 文化的アイデンティティ:伝統的なローマの家庭での食事の価値を主張しながら、実際は外での便利さを選ぶ

このエピグラムは、短い形式ながら、古代ローマ社会の日常的矛盾と当時の人々の行動様式を鮮やかに切り取っています。マルティアリスは、こうした些細な観察から人間性の普遍的な側面—見栄、偽善、自己正当化—を風刺的に描き出す天才でした。

公衆浴場文化


古代ローマの公衆浴場(テルマエ)について

設置場所と分布

ローマ市内

  • 大規模な帝国浴場(テルマエ・インペリアレス): 都市の中心部に位置し、主要な建築物として都市景観の重要な一部を形成
  • カラカラ浴場(テルマエ・アントニニアナエ)
  • ディオクレティアヌス浴場
  • トラヤヌス浴場
  • ネロ浴場
  • 地域浴場(バルネア): 各地区・住宅地域に分散して設置され、地域住民の日常利用に対応

帝国全域

  • 植民都市: ローマ帝国の植民都市には必ず浴場が建設された
  • 軍事拠点: 軍団の駐屯地や辺境要塞にも浴場施設が設けられた
  • 地方都市: 規模の大小はあれど、ほぼすべての地方都市に少なくとも1つの公衆浴場があった
  • 温泉地: バイアエ(現在のバイア)など、自然温泉がある場所には特に豪華な浴場施設が発達

数量

ローマ市内

  • 紀元前1世紀末(アウグストゥス帝の時代): 約170箇所
  • 紀元2世紀(アントニヌス朝): 約800-850箇所
  • 紀元4世紀(コンスタンティヌス朝): 約900箇所以上(「地域誌」によれば)
  • 大規模帝国浴場: 約11箇所
  • 中小規模浴場: 約900箇所

帝国全域

  • 正確な数字は不明だが、考古学的証拠から、小さな町でも複数の浴場があったことが判明している
  • 例えば、北アフリカのティムガド(人口約15,000人の都市)には少なくとも13の浴場が存在
  • ポンペイ(人口約12,000人)には少なくとも7つの公衆浴場が確認されている

特徴と機能

  • 立地の戦略性: 水源アクセス(水道橋)、人口密度、交通の便などを考慮
  • 社会階層との関係:
  • 高級住宅地には豪華な浴場
  • 労働者階級の地域には簡素だが機能的な浴場
  • 多機能性: 単なる入浴施設ではなく、社交場、運動施設、文化活動の場として機能
  • 経営形態: 公営(自治体運営)と私営(個人経営)の両方が存在

古代ローマの浴場文化は都市生活の中核を成し、単なる清潔さの維持を超えた社会的機能を果たしていました。都市のどこに住んでいても、徒歩圏内に少なくとも1つの浴場があり、日常生活に欠かせない施設として機能していたのです。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月13日に起こった出来事

以下に、過去の3月13日に文化・芸術・エンターテイメント分野で起こった主な出来事を10件挙げます。年代順にまとめていますので、ご参照ください。

1. 1911年(誕生)

• L・ロン・ハバード(L. Ron Hubbard)

後に「サイエントロジー」を創始し、宗教的・文化的に大きな影響を与えた人物が、1911年3月13日に生まれました。

2. 1939年(誕生)

• ニール・セダカ(Neil Sedaka)

「Breaking Up Is Hard to Do」などのヒットで知られるアメリカのシンガーソングライター。ポップス界の重要人物として活躍し、1939年3月13日に誕生。

3. 1950年(誕生)

• ウィリアム・H・メイシー(William H. Macy)

映画『ファーゴ』やドラマ『シェイムレス』などで知られるアメリカの俳優・監督。1950年3月13日に生まれました。

4. 1956年(誕生)

• デイナ・デラニー(Dana Delany)

ドラマ『チャイナ・ビーチ』『ボディ・オブ・プルーフ』などで知られるアメリカの女優。1956年3月13日に誕生。

5. 1960年(誕生)

• アダム・クレイトン(Adam Clayton)

アイルランドのロックバンドU2のベーシストとして世界的に活躍。1960年3月13日、イングランドにて誕生。

6. 1965年(音楽チャート)

• ビートルズ「Eight Days a Week」が全米1位に到達

世界的ロックバンド、ビートルズのシングル「Eight Days a Week」が、1965年3月13日付のビルボード・チャートで1位を獲得。

7. 1972年(誕生)

• コモン(Common)

グラミー賞やアカデミー歌曲賞も受賞したアメリカのヒップホップMC、俳優。1972年3月13日にシカゴで誕生。

8. 1975年(死去)

• イヴォ・アンドリッチ(Ivo Andrić)

『ドリナの橋』などで知られるユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)出身の小説家。1961年にノーベル文学賞を受賞。1975年3月13日に逝去。

9. 1987年(映画公開)

• 『死霊のはらわたII(Evil Dead II)』が全米公開

サム・ライミ監督によるホラー・コメディ作品。1987年3月13日にアメリカで公開され、カルト的人気を博すシリーズとなった。

10. 2015年(死去)

• デヴィッド・アレン(Daevid Allen)

バンド「ソフト・マシーン」や「ゴング」の創始者として活躍したオーストラリアの音楽家。2015年3月13日に死去。

以上が、3月13日に起こった代表的な文化・芸術・エンターテイメント関連の出来事10件です。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅧ

Hanc tibi, Fronto pater, genetrix Flaccilla, puellam Oscula commendo deliciasque meas… Non ego legitimos solicitus coepi amores, Nec mea furtivis floruit apta Venus. Iura senex neget ut mundum Cato, tertius heres Imperat extincto: non tua capta toro est.

3.7Sonnetによる翻訳


マルティアリスのエピグラム「Hanc tibi, Fronto pater…」の文法的解釈と翻訳

文法的解釈

1-2行目: Hanc tibi, Fronto pater, genetrix Flaccilla, puellam / Oscula commendo deliciasque meas…

  • Hanc… puellam: hanc(代名詞「この」女性単数対格)+ puellam(puella「少女」の対格)→「この少女を」(commendoの直接目的語)
  • tibi: tu「あなた」の与格 →「あなたに」(commendoの間接目的語)
  • Fronto pater, genetrix Flaccilla: 呼びかけの言葉(vocative)。「父フロント、母フラキッラよ」
  • Oscula… deliciasque meas: oscula(osculum「口づけ、キス」の対格複数)+ que(接続詞「そして」)+ delicias(delicia「喜び、愛しい人」の対格複数)+ meas(meus「私の」女性複数対格)→「私のキスと喜びを」(puellam と同格)
  • commendo: commendo「委ねる、託す」の1人称単数現在形 →「私は託します」

3-4行目: Non ego legitimos solicitus coepi amores, / Nec mea furtivis floruit apta Venus.

  • Non ego: non(否定)+ ego(「私は」主格)
  • legitimos… amores: legitimos(legitimus「合法の、正当な」男性複数対格)+ amores(amor「愛」の対格複数)→「正当な愛を」
  • solicitus: solicitus「心配して、不安で」男性単数主格(egoを修飾)
  • coepi: coepio「始める」の完了形1人称単数 →「私は始めた」
  • Nec: 接続詞「そして~ない」
  • mea… Venus: mea(「私の」女性単数主格)+ Venus(「愛、情熱、性愛」主格)→「私の愛は」
  • furtivis: furtivus「隠れた、秘密の」男性/女性/中性複数奪格 →「隠れたもので」
  • floruit: floreo「花開く、繁栄する」の完了形3人称単数 →「花開いた」
  • apta: aptus「適した、結びついた」女性単数主格(Venusを修飾)→「結びついて」

5-6行目: Iura senex neget ut mundum Cato, tertius heres / Imperat extincto: non tua capta toro est.

  • Iura: ius「法、権利」の対格複数 →「法を」(negetの目的語)
  • senex: senex「老人」主格 →「老人は」(Catoの同格)
  • neget: nego「否定する」の接続法現在3人称単数 →「否定するかもしれない」
  • ut: 接続詞「~のように」
  • mundum: mundus「世界、宇宙」の対格単数 →「世界を」
  • Cato: 固有名詞「カトー」(古代ローマの厳格な政治家)主格
  • tertius heres: tertius(「3番目の」男性単数主格)+ heres(「相続人」主格)→「3番目の相続人が」
  • Imperat: impero「命令する」の直説法現在3人称単数 →「命令する」
  • extincto: extinguo「消す、死なせる」の完了分詞男性単数与格/奪格 →「死んだ者に」
  • non tua capta toro est: non(否定)+ tua(「あなたの」女性単数主格、puella を指す)+ capta(capio「捕らえる」の完了分詞女性単数主格)+ toro(torus「寝台、結婚」奪格)+ est(sum「である」の3人称単数)→「あなたの彼女は寝台で捕らえられたのではない」

翻訳

「この少女を、父フロントよ、母フラキッラよ、
私のキスと喜びをあなた方に託します。

私は不安に駆られて正式な愛を始めたのではなく、
私の愛は秘密の関係に結びついて花開いたのでもありません。

厳格なカトーが世の中の法を否定するように、
3番目の相続人が死者に命令するように:彼女はあなたの寝台で捕らえられたのではありません。」

文脈的解釈

このエピグラムでは、詩人が少女(おそらく奴隷や解放された人)を彼女の両親(または保護者)に託している場面が描かれています。詩人は自分の関係が正式で開かれたものであり、隠れた不適切なものではないことを強調しています。最後の2行は難解ですが、おそらく彼らの関係の純粋さを強調するために、厳格な道徳家カトーの態度と対比させています。「寝台で捕らえられていない」というのは、不適切な性的関係がなかったことを示唆していると思われます。

古代ローマの子育て


古代ローマの子育ては、社会階層や時代によって異なる側面がありましたが、家族(familia)を中心とした独特の構造と慣習を持っていました。

家族構造と父権

パテル・ファミリアス(Pater Familias)

  • 家長である父親が絶対的な権限(patria potestas)を持ち、法的に家族全員の生死に関わる権利を有していた
  • 子どもは父親の所有物とみなされ、理論上は売却や遺棄も可能だった(実際には後期には制限された)
  • 子どもが成人しても、父親が生きている限り法的には父親の権限下にあった

出生と乳幼児期

出生儀式

  • 新生児は地面に置かれ、父親がその子を抱き上げる(tollere liberum)ことで家族への受け入れを示した
  • 男児は生後8日目、女児は生後9日目に名付け式(dies lustricus)が行われた
  • この儀式で子どもは魔除けの護符(bulla)を首にかけられた(男児は成人するまで着用)

乳母と初期養育

  • 裕福な家庭では乳母(nutrix)が授乳と基本的なケアを担当
  • 中流・下層階級では母親が直接育児を行うことが一般的
  • 乳母や奴隷は初期のしつけや言葉の教育にも大きな影響を与えた

教育

家庭教育(7歳まで)

  • 初期教育は主に家庭内で行われ、基本的な道徳観や行動規範を教えられた
  • 男児は父親に、女児は母親に従って日常生活の技能を学んだ
  • 躾(disciplina)は厳格で、服従と自制を重視した

公教育(7歳以降)

  • 男児は7歳頃から学校教育が始まり、読み書き、計算、文学、修辞学などを学んだ
  • 女児は主に家事や織物、音楽などの家庭的技能を習得
  • 裕福な家庭では家庭教師(paedagogus)を雇い、より高度な教育を提供

成長と社会化

社会的儀式

  • 男児は14-16歳で成人式(toga virilis)を迎え、子ども用のトガ(toga praetexta)から大人用のトガ(toga pura)に着替えた
  • 女児は12-14歳頃に結婚適齢期とみなされた
  • 成人儀式は子どもから大人への移行を象徴する重要な社会的イベントだった

訓練と見習い

  • 貴族階級の子弟は政治・軍事訓練を受け、公職への準備をした
  • 職人や商人の子どもは父親や親方の下で見習いとして技術を学んだ
  • 農家の子どもは早くから農作業に参加した

親子関係

情緒的絆

  • 文学や墓碑には子どもへの深い愛情を示す記録が多く残されている
  • 子どもの死を悼む墓碑や詩は、親の深い悲しみを表現している
  • プリニウスやキケロなど、子どもへの愛情を書簡で表現した例も多い

訓育と期待

  • 「ローマ的徳」(virtus)の教育が重視された
  • 勇気、忠誠、敬虔さ、節度、堅忍不抜など
  • 先祖(maiores)の模範に従うことが期待された
  • 特に貴族階級では、家名や家の名誉を保つことが重視された

時代による変化

  • 共和政から帝政への移行とともに、家父長制の厳格さは徐々に緩和
  • 帝政期には子どもの権利を保護する法律が増え、父親の絶対的権限は制限された
  • キリスト教の普及とともに、子育ての価値観にも変化がみられた

古代ローマの子育ては、現代の視点からは厳格に見えますが、同時に子どもを社会の重要な構成員として育てる体系的なシステムを持っていました。家族の名誉と連続性を重視しつつも、子どもへの愛情表現も豊かに残されています。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月12日に起こった出来事

以下に、過去の3月12日に起こった主に文化・芸術・エンターテイメント分野に関する代表的な出来事を10件挙げます。年代順に並べています。

1. 1922年(誕生)

• 作家ジャック・ケルアック(Jack Kerouac)がアメリカ・マサチューセッツ州で誕生。

ビート・ジェネレーションを代表する作家の一人で、『オン・ザ・ロード』などで知られる。

2. 1946年(誕生)

• 女優・歌手のライザ・ミネリ(Liza Minnelli)が誕生。

映画『キャバレー』でアカデミー主演女優賞を受賞するなど、ブロードウェイや映画で活躍。

3. 1948年(誕生)

• シンガーソングライターのジェームス・テイラー(James Taylor)が誕生。

「Fire and Rain」「You’ve Got a Friend」などのヒットで知られ、アメリカを代表するシンガーソングライターの一人。

4. 1951年(初掲載)

• アメリカの新聞漫画『デニス・ザ・メネス(Dennis the Menace)』が連載開始。

(同名のイギリス版とは別作品で、こちらはハンク・ケッチャムによるコミック・ストリップ。)

5. 1955年(死去)

• ジャズ・サックス奏者のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)が死去。

ビバップ様式を確立し、ジャズ史において最重要人物の一人とされる。

6. 1957年(刊行)

• ドクター・スース(Dr. Seuss)の絵本『キャット・イン・ザ・ハット(The Cat in the Hat)』が出版。

アメリカ児童文学の名作のひとつで、世界中の子どもたちに愛読されている。

7. 1969年(結婚)

• ビートルズのポール・マッカートニー(Paul McCartney)が写真家リンダ・イーストマン(Linda Eastman)と結婚。

ロンドンのメリルボーン(Marylebone)で式を挙げた。

8. 1971年(録音)

• オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)が伝説的ライブ・アルバム『アット・フィルモア・イースト(At Fillmore East)』の録音を開始(3月12日〜13日)。

後にローリング・ストーン誌の「歴史上最も偉大なアルバム」リストにもランクインする名盤。

9. 1987年(初演)

• ミュージカル『レ・ミゼラブル(Les Misérables)』がブロードウェイで初演。

ロンドン(1985年初演)に続く上演で、以後ブロードウェイを代表する長期上演ミュージカルの一つとなる。

10. 2023年(授賞式)

• 第95回アカデミー賞(Oscars)がロサンゼルスで開催。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が作品賞をはじめ主要部門を受賞し、大きな話題となった。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅦ

Condita cum tibi sit iam sexagensima messis Et facies multo splendeat alba pilo, Discurris tota vagus urbe, nec ulla cathedra est Cui non mane feras inrequietus Ave; Et sine te nulli fas est prodire tribuno, Nec caret officio consul uterque tuo…

3.7Sonnetによる翻訳


マルティアリスの「Condita cum tibi sit iam sexagensima messis」エピグラムの文法的解釈と翻訳

文法的解釈

1-2行目: Condita cum tibi sit iam sexagensima messis / Et facies multo splendeat alba pilo,

  • Condita… sit: condo「収める、蓄える」の完了分詞女性単数主格 + sit(sum「である」の接続法現在3人称単数)→「収められている」
  • cum: 接続詞「~のとき」(時間的・状況的従属節を導入)
  • tibi: tu「あなた」の与格 →「あなたにとって」
  • iam: 副詞「すでに」
  • sexagensima: sexagensimus「60番目の」女性単数主格 →「60番目の」
  • messis: messis「収穫」の女性単数主格 →「収穫が」
  • Et: 接続詞「そして」
  • facies: facies「顔」の女性単数主格 →「顔は」
  • multo… pilo: multo(multus「多くの」男性単数奪格)+ pilo(pilus「毛、髪」の奪格単数)→「多くの白髪で」(奪格で手段・原因)
  • splendeat: splendeo「輝く」の接続法現在3人称単数 →「輝いている」
  • alba: albus「白い」の女性単数主格 →「白く」(faciesを修飾)

3-4行目: Discurris tota vagus urbe, nec ulla cathedra est / Cui non mane feras inrequietus Ave;

  • Discurris: discurro「あちこち走る」の直説法現在2人称単数 →「あなたは走り回る」
  • tota… urbe: tota(totus「全体の」女性単数奪格)+ urbe(urbs「都市」の奪格単数)→「都市全体で」(場所の奪格)
  • vagus: vagus「さまよう」の男性単数主格 →「さまよいながら」(主語の状態)
  • nec: 接続詞「そして~ない」
  • ulla cathedra est: ulla(ullus「何か」の女性単数主格)+ cathedra(「椅子、席」女性単数主格)+ est(sum「である」の3人称単数)→「どんな椅子もない」
  • Cui: qui/quis「誰/どれ」の与格単数(cathedraを先行詞とする関係代名詞)→「そこに」
  • non: 否定「~ない」
  • mane: 副詞「朝に」
  • feras: fero「運ぶ、言う」の接続法現在2人称単数 →「あなたが言う[かもしれない]」
  • inrequietus: inquietus「落ち着かない」の男性単数主格 →「落ち着きなく」(主語の状態)
  • Ave: 「こんにちは、挨拶」(ラテン語の挨拶)

5-6行目: Et sine te nulli fas est prodire tribuno, / Nec caret officio consul uterque tuo…

  • Et sine te: Et(接続詞「そして」)+ sine(前置詞「~なしで」)+ te(tu「あなた」の奪格)→「そしてあなたなしでは」
  • nulli… tribuno: nulli(nullus「何も~ない」の男性単数与格)+ tribuno(tribunus「護民官」の与格単数)→「どの護民官にも~ない」(与格で不利益)
  • fas est: fas(「神の法、正しいこと」中性主格)+ est(sum「である」の3人称単数)→「許されている」
  • prodire: prodeo「前に出る、進む」の不定詞 →「進むこと」
  • Nec: 接続詞「そして~ない」
  • caret: careo「欠く、~がない」の直説法現在3人称単数 →「欠いている」
  • officio… tuo: officio(officium「義務、奉仕」の奪格単数)+ tuo(tuus「あなたの」中性単数奪格)→「あなたの奉仕を」(careoの目的語は奪格)
  • consul uterque: consul(「執政官」主格単数)+ uterque(「両方の」男性単数主格)→「両方の執政官は」

翻訳

「すでにあなたにとって60回目の収穫が蓄えられており、
あなたの顔は多くの白髪で白く輝いているというのに、

あなたは落ち着きなく都市中をさまよい回り、
朝に「こんにちは」と言わない椅子は一つもない。

そしてあなたがいなければどの護民官も出かけることができず、
両方の執政官もあなたの奉仕なしではいられない…」

文脈的解釈

このエピグラムは、高齢にもかかわらず(60回の収穫=60歳)、なお精力的に都市中を走り回り、社交活動に熱心な人物を風刺しています。その人物は朝の挨拶回りを欠かさず、政治家たち(護民官や執政官)への取り入りに熱心な様子が描かれています。マルティアリスは老人の白髪と若々しい行動力の対比を通じて、おそらく出世や社会的地位を求める老人の滑稽さを皮肉っています。ローマ社会における朝の挨拶(salutatio)の習慣や、パトロン・クライアント関係の社会的慣習が背景として読み取れます。


古代ローマ人の寿命について


平均寿命

統計的概観

  • 平均寿命: 古代ローマ時代の平均寿命は約25-30歳程度と推定されている
  • 幼児死亡率: 非常に高く、生まれた子どもの約30%が1歳までに、約50%が10歳までに死亡していた
  • 乳幼児期を過ぎた場合: 10歳まで生き延びた人の平均余命は比較的改善し、さらに約30-40年生きることができた

年齢層別の生存率

  • 成人年齢(男性15-17歳頃)まで: 生まれた子どもの約半数が到達
  • 30歳まで: 成人の多くがこの年齢まで生きた
  • 60歳以上: 人口の約6-8%程度と推定されている
  • 80歳以上: 極めて稀だが、存在していた(碑文などに記録あり)

寿命に影響した要因

社会階層による差異

  • エリート層: 貴族や富裕層は40-60歳まで生きることが一般的
  • 一般市民: 30-40歳程度が平均的
  • 奴隷: 特に鉱山や船舶労働に従事した奴隷は20-30歳程度と短命

地理的・環境的要因

  • 都市部: 人口密度の高いローマ市などでは疫病リスクが高く、寿命が短かった
  • 農村部: 比較的清浄な環境で寿命が長い傾向
  • 病気: マラリア流行地域(特にティベル川流域やカンパニア地方の湿地帯)では平均寿命が著しく低下

性別による差異

  • 女性: 出産関連の死亡リスクが高く、若年での死亡率が高かった
  • 男性: 戦争や危険な労働による死亡リスクがあった
  • 全体として若干男性の方が平均寿命が短かったと推測される

長寿の例

歴史的記録

  • アウグストゥス: 76歳まで生きた
  • ティベリウス: 78歳
  • ウェスパシアヌス: 69歳
  • プリニウス・マイヨール(大プリニウス): 56歳(ヴェスヴィオ火山噴火で死亡)
  • キケロ: 63歳(暗殺)
  • セネカ: 約69歳(強制自殺)

碑文の証拠

  • ローマ帝国内の墓碑には60-70歳代の記録が珍しくない
  • 80歳以上の記録も少数存在し、90歳以上も極めて稀だが記録されている
  • 100歳以上と記された墓碑も存在するが、数が限られており、年齢の正確性は疑問視される場合もある

長寿を支えた要因

医療

  • 外科手術、薬草療法、基本的な衛生概念など一定の医療知識があった
  • 大都市には医師(通常はギリシャ人)が存在し、裕福な層は医療へのアクセスがあった
  • 軍団には軍医が配属され、兵士の健康管理が行われていた

食事と生活習慣

  • 地中海式の食事(穀物、オリーブ油、ワイン、野菜、少量の肉と乳製品)
  • 公衆浴場での定期的な入浴習慣
  • 豊かな層では運動文化(パレストラでの運動など)

社会的セーフティネット

  • 穀物配給制度(アンノナ)による都市住民の飢餓防止
  • パトロン・クライアント制度による社会的保護
  • 家族・血縁関係による相互扶助

老年期の社会的地位

尊敬と権威

  • 「セネス」(老人)は経験と知恵の象徴として尊敬された
  • 家長(パテル・ファミリアス)としての権威は生涯続いた
  • 元老院では年長者の発言が尊重された

老後の生活

  • 公務からの引退後も、多くは田園の別荘で農業管理や執筆活動
  • 裕福な層は奴隷や解放奴隷による世話を受けた
  • 貧困層の高齢者は家族による扶養か、極貧の場合は物乞いなどで生きた

古代ローマの寿命は現代と比べると大幅に短かったものの、衛生、医療、食事など生活環境に恵まれた人々は比較的長寿を享受できました。社会的・経済的地位による寿命の格差は現代以上に顕著であったと考えられています。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて 3月11日に起こった出来事

以下に、過去の3月11日に起こった、主に文化・芸術・エンターテインメント分野にまつわる出来事を年代順に10件挙げます。

1. 1544年3月11日:トルクァート・タッソ誕生

• 叙事詩『エルサレム解放』で知られるイタリアの詩人。ルネサンス期の代表的文学者の一人。

2. 1867年3月11日:ヴェルディのオペラ《ドン・カルロ》初演

• イタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディによる五幕のオペラが、パリ・オペラ座(サル・ル・ペルティエ)で初めて上演された。

3. 1887年3月11日:ラオール・ウォルシュ誕生

• アメリカの映画監督・俳優。ジョン・フォードらと並びハリウッド黄金期を支えた一人で、『白熱』(White Heat, 1949) などフィルム・ノワールの名作を手がけた。

4. 1903年3月11日:ローレンス・ウェルク誕生

• アメリカのバンドリーダー・作曲家・テレビ司会者。自らの番組「ローレンス・ウェルク・ショー」は長年にわたって人気を博した。

5. 1927年3月11日:ニューヨークの“ロキシー劇場”がオープン

• 当時“映画宮殿”とも呼ばれる壮麗な映画館として開業。こけら落とし上映作品はグロリア・スワンソン主演の『The Love of Sunya』。

6. 1931年3月11日:ルパート・マードック誕生

• オーストラリア出身の実業家であり、大手メディアを多数傘下におさめた“メディア王”。新聞・テレビ・映画など広範なエンタメ業界に影響を及ぼした。

7. 1952年3月11日:ダグラス・アダムス誕生

• イギリスのSF作家。代表作『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズは、ラジオドラマや映画化もされ、イギリスSFの代表的存在となった。

8. 1970年3月11日:アール・スタンリー・ガードナー死去

• アメリカの推理作家。弁護士ペリー・メイスンを主人公とするシリーズで一世を風靡し、ドラマ化もされ大人気を博した。

9. 1989年3月11日:アメリカのリアリティ番組『COPS』放映開始

• 全米各地の警官の密着映像を収録したリアリティ番組。FOXネットワークで放送が始まり、後のリアリティ番組ブームの先駆けとなった。

10. 1997年3月11日:ポール・マッカートニーがナイト爵を受爵

• 元ビートルズのメンバーであるポール・マッカートニーが、エリザベス2世女王よりナイトの称号を授与された。音楽界への多大な貢献が評価された結果として知られる。

これらはあくまで代表的な出来事の一部ですが、3月11日にはこのように様々な文化・芸術・エンターテインメント分野のトピックスが存在しています。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅥ

「口うるさい法律家」への風刺(Epigrammata, VI.35)

Non de vi neque caede nec veneno, Sed lis est mihi de tribus capellis. Vicini queror has abesse furto. Hoc iudex sibi postulat probari: Tu Cannas Mithridaticumque bellum Et periuria Punici furoris Et Sullas Mariosque Muciosque Magna voce sonas manuque tota. Iam dic, Postume, de tribus capellis.

Claude3.7Sonnetによる文法解釈と翻訳


文法的解釈

1-2行目:

  • Non: 「〜ではない」(否定副詞)
  • de vi: 「暴力について」(前置詞 de + 女性名詞 vis の奪格)
  • neque: 「〜でもなく」(接続詞)
  • caede: 「殺人について」(女性名詞 caedes の奪格)
  • nec: 「〜でもなく」(接続詞)
  • veneno: 「毒について」(中性名詞 venenum の奪格)
  • Sed: 「しかし」(接続詞)
  • lis: 「訴訟、争い」(女性名詞、主格)
  • est: 「である」(sum の現在形、3人称単数)
  • mihi: 「私に」(人称代名詞、与格)
  • de tribus capellis: 「三頭のヤギについて」(de + 形容詞 tres の奪格 + 女性名詞 capella の奪格複数形)

3-4行目:

  • Vicini: 「隣人の」(男性名詞 vicinus の属格)
  • queror: 「私は訴える」(動詞 queror の現在形、1人称単数)
  • has: 「これらを」(指示代名詞 hic の女性複数対格、capellas を指す)
  • abesse: 「いなくなった」(動詞 absum の不定詞)
  • furto: 「盗みによって」(中性名詞 furtum の奪格)
  • Hoc: 「これを」(指示代名詞、対格)
  • iudex: 「裁判官」(男性名詞、主格)
  • sibi: 「自分自身に」(再帰代名詞、与格)
  • postulat: 「要求する」(動詞、現在形、3人称単数)
  • probari: 「証明されるように」(動詞 probo の受動態不定詞)

5-8行目:

  • Tu: 「あなたは」(人称代名詞、主格)
  • Cannas: 「カンナエを」(地名、対格)
  • Mithridaticumque bellum: 「ミトリダテス戦争を」(形容詞 + 中性名詞 bellum の対格、-que は「〜と」)
  • Et: 「そして」(接続詞)
  • periuria: 「偽誓を」(中性名詞 periurium の複数対格)
  • Punici furoris: 「カルタゴの狂気の」(形容詞 Punicus + 男性名詞 furor の属格)
  • Et: 「そして」(接続詞)
  • Sullas Mariosque Muciosque: 「スッラたちとマリウスたちとムキウスたちを」(人名の複数対格、-que は「〜と」)
  • Magna voce: 「大きな声で」(形容詞 magnus + 女性名詞 vox の奪格)
  • sonas: 「あなたは響かせる」(動詞 sono の現在形、2人称単数)
  • manuque tota: 「全身で身振りしながら」(女性名詞 manus の奪格 + 形容詞 totus の奪格)

9行目:

  • Iam: 「さあ、今」(副詞)
  • dic: 「話せ」(動詞 dico の命令形、2人称単数)
  • Postume: 「ポストゥムスよ」(男性名詞、呼格)
  • de tribus capellis: 「三頭のヤギについて」(最初と同じ句)

日本語訳

「暴力でも殺人でも毒殺でもなく、
問題は私の三頭のヤギについてだ。
隣人が盗んだため不在だと私は訴えている。
裁判官はこれについての証明を求めている。
ところがあなたはカンナエの戦いやミトリダテス戦争、
カルタゴ人の狂気による偽誓、
そしてスッラやマリウスやムキウスについて
大声で身振り手振りを交えて雄弁に語る。
さあ、ポストゥムス、三頭のヤギについて話せ。」

エピグラム解説


作品の概要

このエピグラムは、マルティアリスの代表的な風刺詩の一つで、『エピグラマタ』第6巻の35番目の詩として収録されています。法律家を風刺した作品であり、特に法廷での不必要な言葉の多さと本題からの脱線を批判しています。

歴史的背景

古代ローマでは、法廷弁論は重要な公的活動であり、修辞学の訓練を受けた弁論家たちが活躍していました。彼らは依頼人のために法廷で弁論を行い、その弁論技術は社会的地位や名声に直結していました。しかし、その過程で無関係な学識の誇示や過剰な修辞が実際の問題解決を妨げることも少なくありませんでした。

作品の分析

構造と技法

  • 対比: 詩は単純な「三頭のヤギの盗難」という日常的問題と、「カンナエの戦い」などの歴史的大事件を対比させています。
  • 枠構造: 詩の冒頭と結尾で「三頭のヤギ(de tribus capellis)」という同じフレーズを繰り返すことで、法律家の無駄な脱線を際立たせています。
  • 列挙: 歴史的事件や人物を次々と列挙することで、法律家の誇示的な雄弁を模倣しています。

歴史的言及の意味

詩中で言及されている歴史的事件・人物:

  1. カンナエの戦い(Cannas): 第二次ポエニ戦争中の前216年、ハンニバルがローマ軍を壊滅させた有名な戦い。
  2. ミトリダテス戦争(Mithridaticumque bellum): 紀元前1世紀、ローマとポントス王国のミトリダテス6世との間で行われた一連の戦争。
  3. ポエニ戦争の偽誓(periuria Punici furoris): カルタゴとの戦争における約束違反や裏切りを指す。
  4. スッラ(Sulla): ローマの将軍・独裁官ルキウス・コルネリウス・スッラ(前138年頃~前78年)。
  5. マリウス(Marius): ガイウス・マリウス(前157年頃~前86年)、ローマの将軍・政治家、スッラの政敵。
  6. ムキウス(Mucius): おそらくガイウス・ムキウス・スカエウォラ、ローマの伝説的英雄。

これらは全て、ローマ史における重要な出来事や人物であり、教養ある人々の間では共通の知識でした。法律家はこうした有名な歴史的事例を引き合いに出すことで自分の学識を誇示し、聴衆に感銘を与えようとしていたのです。

社会的批判

この詩が風刺しているのは以下のような法律家の特徴です:

  1. 本質からの逸脱: 単純な事件(ヤギの盗難)の本質から逸脱し、無関係な学識を誇示する傾向。
  2. 過剰な修辞: 「大声で(Magna voce)」「全身で身振りしながら(manuque tota)」という表現が示すように、内容より形式や演出を重視する態度。
  3. 実用性の欠如: 依頼人の実際の問題解決より自分の知識誇示を優先する姿勢。
  4. 階級的側面: 普通の市民の日常的問題(ヤギの盗難)より、貴族階級の関心事(歴史的戦争や有名人物)を重視する傾向。

現代的関連性

この詩の風刺は、現代の法律専門家や官僚制度にも通じる部分があります:

  • 専門用語や過去の判例の過剰な引用で一般市民を混乱させる法律実務
  • 実質的な問題解決より形式的手続きを重視する官僚主義
  • 単純な事案に対する過剰に複雑な対応
  • 専門家と一般市民の間の知識・言語のギャップ

文学的価値

マルティアリスのこの詩は、わずか9行という短さながら、鋭い観察眼と簡潔な表現で法律家の典型的な欠点を捉えています。「さあ、ポストゥムス、三頭のヤギについて話せ」という最後の一行は、本質に立ち返るよう促す力強いメッセージとなっており、今日でも十分に共感できる普遍性を持っています。

古代ローマという異なる時代と文化にありながら、マルティアリスは専門家の自己満足的な態度という人間の普遍的な弱点を見事に描き出しているのです。

古代ローマの法と法律家


ローマ法の発展

  • 十二表法(前450年頃):最初の成文法典、基本的権利を明文化
  • 市民法(ius civile):ローマ市民のみに適用される法
  • 万民法(ius gentium):外国人を含むすべての人に適用される法
  • 勅法(constitutiones principum):皇帝の発した法令
  • ユスティニアヌス法典(6世紀):ローマ法の集大成、現代西洋法の基礎

法律家の種類と役割

  • 法学者(iurisconsulti):法の解釈者、法的助言を提供
  • 弁論家(oratores):法廷で依頼人を弁護する専門家
  • 法務官(praetores):法を適用・解釈する権限を持つ公職者
  • 国家代理人(advocati fisci):国家の利益を代表する法律家

実務と教育

  • 当初は非職業的・貴族的活動(無報酬)
  • 帝政期に徐々に専門職化
  • 師弟関係による徒弟制的教育
  • 後期には法学校の設立

法律家の社会的地位

  • 共和政期:政治家としての側面が強い
  • 帝政初期:皇帝の顧問としての役割
  • 後期帝政:官僚としての性格

ローマ法の特徴は体系性と実用性であり、その法律家たちは理論と実践の両面から法を発展させました。彼らの残した法体系と法思想は現代の多くの法制度の基盤となっています。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて 3月10日に起こった出来事

以下に、過去の3月10日に起こった、主に文化・芸術・エンターテインメント分野に関する出来事を10件挙げます。

1. 1940年3月10日

• アクション映画で活躍した俳優・格闘家のチャック・ノリスが誕生。

2. 1958年3月10日

• 映画『氷の微笑』などで知られる女優シャロン・ストーンが誕生。

3. 1962年3月10日

• TVドラマ『A Different World(青春の城 コスビー・ショー・スピンオフ)』などで知られる女優・ダンサー・歌手のジャスミン・ガイが誕生。

4. 1963年3月10日

• レッド・ホット・チリ・ペッパーズやジョニー・キャッシュなど、数多くのアーティストを手掛けた音楽プロデューサー、リック・ルービンが誕生。

5. 1971年3月10日

• ドラマ『マッドメン』の主人公ドン・ドレイパー役で注目を集めた俳優ジョン・ハムが誕生。

6. 1979年3月10日

• グロリア・ゲイナーの代表曲「I Will Survive」が、アメリカのBillboard Hot 100チャートで第1位を獲得(同曲がディスコミュージックの象徴的存在となる一因に)。

7. 1983年3月10日

• オーディション番組『アメリカン・アイドル』出身で、グラミー賞も受賞した歌手キャリー・アンダーウッドが誕生。

8. 1988年3月10日

• ビー・ジーズのメンバーを兄に持つ人気歌手アンディ・ギブが30歳で死去。

9. 1997年3月10日

• サラ・ミシェル・ゲラー主演のTVドラマ『バフィー 〜恋する十字架〜(Buffy the Vampire Slayer)』がアメリカで放送開始。

10. 1998年3月10日

• 映画『海底二万哩』『ホット・ショット』などで知られる俳優ロイド・ブリッジスが死去。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅤ

Cum vocer ad cenam non iam venalis ut ante, Cur mihi non eadem, quae tibi, cena datur? Tu gallina tibi, mihi lacerta datur.

Claude3.5Sonnetによる翻訳


これもマルティアリスのエピグラムからの引用ですね。文法的解釈と日本語訳を提供します。

「Cum vocer ad cenam non iam venalis ut ante, / Cur mihi non eadem, quae tibi, cena datur? / Tu gallina tibi, mihi lacerta datur.」

文法的解釈

1行目:

  • Cum: 「〜のとき」(接続詞)
  • vocer: 「私が呼ばれる」(voco の受動態、接続法現在形、1人称単数)
  • ad: 「〜へ」(前置詞、対格を取る)
  • cenam: 「夕食」(女性名詞 cena の対格)
  • non: 「〜ない」(否定副詞)
  • iam: 「もはや」(副詞)
  • venalis: 「売り物の、買収できる」(形容詞、男性単数主格)
  • ut: 「〜のように」(比較の接続詞)
  • ante: 「以前」(副詞)

2行目:

  • Cur: 「なぜ」(疑問副詞)
  • mihi: 「私に」(人称代名詞、与格)
  • non: 「〜ない」(否定副詞)
  • eadem: 「同じ」(形容詞 idem の女性単数主格、cena を修飾)
  • quae: 「〜のような」(関係代名詞、女性単数主格)
  • tibi: 「あなたに」(人称代名詞、与格)
  • cena: 「夕食」(女性名詞、単数主格)
  • datur: 「与えられる」(do の受動態、現在形、3人称単数)

3行目:

  • Tu: 「あなたは」(主格)
  • gallina: 「鶏」(女性名詞、単数主格)
  • tibi: 「あなたに」(人称代名詞、与格)
  • mihi: 「私に」(人称代名詞、与格)
  • lacerta: 「トカゲ」(女性名詞、単数主格)
  • datur: 「与えられる」(do の受動態、現在形、3人称単数)

日本語訳

「以前のように買収できる者としてではなく夕食に招かれるのなら、
なぜ私には、あなたと同じ食事が出されないのか?
あなたは鶏肉を食べるのに、私にはトカゲが出される。」

意味の解説

この詩は、古代ローマでの社会的地位による食事の差別を風刺しています。詩人は、もはや「買収できる」立場(おそらくクライアント/パトロンの関係)ではなく、平等な友人として招かれたはずなのに、実際には食事の質に明らかな差があることに不満を表明しています。主人は良質な鶏肉を食べる一方で、詩人には粗末なトカゲ(または低級な魚)が出されるという不平等な扱いを指摘しています。

マルティアリスは、このような社会的階層の差を示す慣習を鋭く風刺し、表面的な友情の裏に潜む実際の差別を暴いています。

「鶏」(gallina)と「トカゲ」(lacerta)


「鶏」(gallina)の価値と価格

  • 食文化での位置づけ: 鶏は古代ローマで一般的な食材でした。家禽として飼育が容易で、卵や肉を提供する身近な存在です。特に富裕層の宴会では、鶏肉を使った料理(例えば詰め物をしたものやスパイスで調理されたもの)がよく振る舞われました。
  • 価格: 具体的な価格は時期や地域で異なりますが、ローマ時代の経済学者や歴史家の記録(例えばコロネラの『農業論』やディオクレティアヌスの価格勅令[301年])を参考にすると、鶏1羽の価格はおよそ 2~4セステルティウス 程度と考えられます。セステルティウスは当時の通貨で、1セステルティウスは労働者の日当の数分の1程度(例えば1日の賃金が約10~25セステルティウス)でした。つまり、鶏は庶民でも手が届く食材でしたが、宴会で出されるとなるとそれなりに「見栄えのする」ものとして扱われました。

「トカゲ」(lacerta)の価値と価格

  • 食文化での位置づけ: トカゲはローマ人の間で一般的な食材とは言えません。マルティアリスが「lacerta」と言及しているのは、実際のトカゲを指している可能性もありますが、比喩的あるいは誇張として「粗末なもの」「まずいもの」を意味していると解釈されることが多いです。ローマでは魚やエキゾチックな肉(例えば孔雀やウサギ)が珍重されましたが、トカゲは通常メニューには登場しません。ただし、一部の地域(特にローマ帝国の辺境)や貧しい層では、爬虫類や小動物が食された記録もあります。
  • 価格: トカゲに具体的な市場価格があったとは考えにくいですが、仮に食用とされた場合、野生で捕まえるものであり、商業的な価値はほぼゼロに近かったでしょう。市場で売られていたとしても、せいぜい 1アス以下(1セステルティウス=4アスなので、0.25セステルティウス未満)と推定されます。つまり、経済的には鶏よりも圧倒的に安価で、「貧乏人の食べ物」あるいは「食べ物とも呼べないもの」として対比されている可能性が高いです。

どちらが高価だったか?

明らかに「鶏」の方が高価で、価値ある食材とされていました。マルティアリスの詩では、「君には鶏、僕にはトカゲ」という対比が、待遇の差やケチさを強調する誇張として機能しています。鶏が2~4セステルティウス程度であるのに対し、トカゲは実質的に「値打ちのないもの」として扱われ、価格差以上に社会的地位の違いを象徴しているのです。

結論

  • : 約2~4セステルティウス(庶民的ながら宴会で通用する食材)
  • トカゲ: ほぼ無料か1アス以下(比喩的または粗末なものとして)
  • 意図: マルティアリスは、鶏を「まともなご馳走」、トカゲを「みじめな代用品」と対比させ、権力者や主催者の見せかけの寛大さを皮肉っているのです。

当時の正確な価格は文献によって変動しますし、マルティアリスの詩自体がユーモア優先なので厳密な経済分析を超えた意図がありますが、この解釈で詩の風刺がより鮮明になるはずです。さらに詳しく知りたいことがあれば教えてください!

古代ローマの友情(Amicitia)


古代ローマにおける友情(ラテン語で「amicitia」)は、現代のそれとは異なる複雑な社会的・政治的側面を持っていました。単なる個人的な親密さを超え、ローマ社会の構造と機能に深く根ざした制度でした。

友情の種類と階層

1. 対等な友情(Amicitia inter pares)

  • 貴族階級内の友情: 同じ社会階層(主に元老院階級)の間での友情
  • 共通の教育・価値観: 教養(humanitas)や徳(virtus)に基づく結びつき
  • 相互義務: 政治的支援、法廷での弁護、助言の提供などの義務を伴う

2. パトロン・クライアント関係(Clientela)

  • 不平等な友情: 社会的地位の異なる者同士の関係
  • パトロン(Patronus): 保護者、政治的・経済的支援を提供
  • クライアント(Cliens): 被保護者、忠誠や政治的支援、日々の挨拶(salutatio)などで恩返し
  • 本質的に非対称: 贈り物や招待の質も異なる(マルティアリスの詩が風刺した状況)

友情の実践

日常的な側面

  • 朝の挨拶(Salutatio): クライアントがパトロンの家を訪問して敬意を表する儀式
  • 食事の共有(Convivium): 社交の重要な場、ただし席順や提供される食事の質に階層差が反映
  • 贈り物の交換: 祝祭日や特別な機会における贈答の慣習
  • 手紙のやりとり: 離れた友人との関係維持の重要手段(キケロの書簡が良い例)

政治的側面

  • 政治同盟(Factio): 友情に基づく政治グループの形成
  • 選挙支援: 友人の選挙運動を支援する義務
  • 法廷弁護: 友人のために無償で法廷弁護を行う伝統

友情の理想と哲学

キケロの「友情について(De Amicitia)」

  • 真の友情は徳に基づく
  • 友情は利益ではなく、純粋な愛情から生まれるべき
  • 「友情とは、神的かつ人間的なすべての事柄についての、好意と愛情を伴う完全な一致である」

セネカの友情観

  • ストア哲学的観点から友情を論じ、友情における徳の重要性を強調
  • 「賢者は友情を必要とするが、それは利益のためではなく」という考え

友情の変質

帝政期の変化

  • 皇帝への忠誠が最優先され、伝統的な貴族間の友情ネットワークが弱体化
  • パトロン・クライアント関係が変形し、最終的に皇帝が「最高のパトロン」に
  • 「友人たち(amici)」が皇帝の公式アドバイザーを指す用語に

現代との比較

古代ローマの友情と現代の友情の最も顕著な違い:

  • 制度化: ローマの友情は明確な社会制度で、現代の友情はより個人的
  • 相互義務: ローマでは法的・政治的義務を伴い、現代ではより情緒的
  • 階層性: ローマでは社会的地位による差異が明確で公然と認められていた
  • 公私の区別: ローマでは公的・私的領域の区別が現代ほど明確でなかった

ローマの友情概念は、社会的結束と政治的機能の両方を担い、個人の感情を超えた社会制度として機能していました。マルティアリスが風刺したような不平等性も含め、この複雑な関係性はローマ社会の基盤を形成していたのです。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月9日に起こった出来事

以下に、過去の3月9日に起こった主に文化・芸術・エンターテイメント分野の出来事を10件挙げます。年代・地域はさまざまですが、「作品の公開・発表日」や「音楽アルバムの発売日」などを中心に選んでいます。

1. 1959年 – アメリカ・ニューヨークで開催された玩具見本市(ニューヨーク・トイ・フェア)にて、マテル社の着せ替え人形「バービー (Barbie)」が正式にデビュー。

• 後に世界的人気となり、ファッションや玩具産業に大きな影響を与えた。

2. 1984年 – ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演の映画『スプラッシュ (Splash)』がアメリカで公開。

• トム・ハンクスの出世作の一つとなり、ラブコメ・ファンタジー映画として大ヒットした。

3. 1987年 – アイルランドのロックバンド、U2が5作目のスタジオ・アルバム『ヨシュア・トゥリー (The Joshua Tree)』をリリース。

• 全世界的に高い評価を受け、U2の代表作の一つとして知られる。

4. 1997年 – ニューヨーク出身のラッパー、ザ・ノトーリアス・B.I.G. (The Notorious B.I.G.) がロサンゼルスで銃撃され死去。

• 90年代ヒップホップを象徴するアーティストの一人であり、その死は音楽界に大きな衝撃を与えた。

5. 2004年 – 日本のロックバンド・レミオロメンのシングル「3月9日」が発売。

• 卒業ソングや結婚式の曲としても定番となり、多くの人に親しまれる代表曲となった。

6. 2007年 – ザック・スナイダー監督による映画『300〈スリーハンドレッド〉』がアメリカで一般公開。

• フランク・ミラーのグラフィックノベルを原作とし、スタイリッシュな映像表現で話題を呼んだ。

7. 2012年 – ディズニーが製作したSFアクション映画『ジョン・カーター (John Carter)』が全米公開。

• エドガー・ライス・バローズ原作の“火星シリーズ”を映像化した作品だが、製作費に対する興行面の苦戦でも注目された。

8. 2012年 – ホラー映画『サイレント・ハウス (Silent House)』がアメリカで公開。

• ワンカット風の撮影手法が特徴で、主演はエリザベス・オルセンが務めた。

9. 2018年 – ディズニーによる実写映画『若草物語』などで知られるエイヴァ・デュヴァーネイが監督を務めた『(五次元世界の)A Wrinkle in Time/時間の旅』(日本タイトル『ア・リトル・ブリット・オブ・デンジャー』など諸説) が全米公開。

• マデレイン・レングルの児童文学『五次元世界の冒険』を原作としたSFファンタジー大作。

10. 2018年 – デヴィッド・オイェロウォやシャーリーズ・セロンらが出演のクライムコメディ映画『Gringo/グリンゴ』が全米公開。

• メキシコで巻き起こる騒動を描いたブラックコメディ色の強い作品として話題に。

上記のように、3月9日には映画の公開やアルバムのリリース、さらには音楽史に衝撃を与えるような事件など、さまざまな文化的・芸術的・エンタメ的出来事が起こっています。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅣ 

Centum me tetigere manus Aquilone gelatae: Non habui febrem, Dexter, et ecce, habeo.

Claude3.5Sonnetによる翻訳


このラテン語の詩句は、マルティアリス(Martial)のエピグラム(風刺詩)からのものですね。文法的解釈と日本語訳を提供します。

「Centum me tetigere manus Aquilone gelatae: / Non habui febrem, Dexter, et ecce, habeo.」

文法的解釈

1行目:

  • Centum: 「百の」(数詞、形容詞として manus を修飾)
  • me: 「私を」(人称代名詞、対格)
  • tetigere: 「触れた」(tango の完了形、3人称複数、tetigerunt の詩的短縮形)
  • manus: 「手」(女性名詞、複数主格)
  • Aquilone: 「北風によって」(男性名詞 Aquilo の奪格、原因を表す)
  • gelatae: 「凍えた」(形容詞 gelatus の女性複数主格、manus を修飾)

2行目:

  • Non: 「〜ない」(否定副詞)
  • habui: 「持っていた」(habeo の完了形、1人称単数)
  • febrem: 「熱を」(女性名詞 febris の対格)
  • Dexter: 「デクステル」(男性名詞、呼格、詩の中で話しかけている相手)
  • et: 「そして」(接続詞)
  • ecce: 「見よ」(間投詞)
  • habeo: 「持っている」(現在形、1人称単数)

日本語訳

「北風で凍えた百の手が私に触れた。
デクステルよ、私は熱がなかったのに、見よ、今は熱がある。」

意味の解説

この詩は風刺的なユーモアを含んでいます。詩人は、寒さで凍えた多くの手(おそらく挨拶や社交の場で)に触れたことで、それまで健康だったのに熱を出してしまったと嘆いています。冷たい手に触れたのに熱が出るという皮肉な状況が描かれており、当時の社交界の慣習(挨拶での接触)に対する風刺とも読めます。

詳しい解説 冬の「サルタティオ(salutatio)」


マルティアリスのエピグラム「Centum me tetigere manus…」の詳細解説

作品の背景

このエピグラムは、ローマの詩人マルティアリス(Marcus Valerius Martialis、約40年〜104年)の作品です。マルティアリスは古代ローマを代表する風刺詩人で、日常生活の様々な側面を鋭く、時にユーモラスに描写した短い詩(エピグラム)を多数残しています。

社会的文脈

ローマの挨拶文化

古代ローマでは、特に上流階級の間で「サルタティオ(salutatio)」と呼ばれる朝の挨拶の習慣がありました。パトロン(保護者)の家に多くのクリエンテス(被保護者)が訪れ、挨拶を交わすという社会的儀式です。この詩は、こうした社交場での接触の多さを誇張して描いています。

冬の社交と病気

「Aquilone gelatae(北風で凍えた)」という表現から、この詩は冬の社交シーンを描いていることがわかります。冬のローマは比較的寒く、暖房設備も現代ほど発達していなかったため、手が冷たくなるのは珍しくありませんでした。また、当時は風邪や熱病が季節の変わり目や冬季に流行することも知られていました。

文学的分析

表現技法

  1. 対比: 「Non habui febrem…et ecce, habeo(熱がなかった…今は熱がある)」という対比が詩の核心部分を形成しています。
  2. 誇張法: 「Centum manus(百の手)」という表現は明らかな誇張であり、社交の場での過剰な接触を強調しています。
  3. 因果関係の逆説: 通常、冷たいものに触れて熱が出るという因果関係は直感に反するもので、これが詩のユーモアを生み出しています。

声の調子

詩人は友人「デクステル」に語りかける形で不満や驚きを表現しており、親しみやすく会話的な調子を作り出しています。「ecce(見よ)」という感嘆詞の使用は、詩人の驚きや不満を強調しています。

多層的な解釈

字義的解釈

単純に、寒い日に多くの冷たい手と挨拶を交わした結果、病気になってしまったという不運を嘆いています。

社会批評としての解釈

より深い層では、この詩はローマの社交界の義務的な挨拶の慣習に対する批判として読むことができます。形式的な社交が実際には健康を害するという皮肉を通して、社会的儀礼の空虚さを指摘しています。

文化的風刺としての解釈

当時の医学理論では、体の温度バランスが健康の鍵とされており、この詩は当時の医学的見解(冷たいものに触れることで体調を崩す)を茶化している可能性もあります。

現代との関連性

現代の視点からは、この詩は「社交疲れ」や「義務的な人間関係のストレス」というテーマを扱っているとも解釈できます。また、感染症の伝播に関する現代的な理解からすれば、多くの人と接触することで実際に病気がうつるという現実を、マルティアリスは直感的に捉えていたとも考えられます。

このように、たった2行の短い詩の中に、古代ローマの社会習慣、医学観、そして人間関係の機微が凝縮されています。マルティアリスの鋭い観察眼と皮肉な表現力が、2000年以上の時を経ても読者の共感を得る力を持っているのです。


ここまでです。、お付き合いくださり有り難うございました。

かつて 3月8日に起こった出来事

以下に、文化・芸術・エンターテイメント分野で「3月8日」に起こった主な出来事を年代順に10件ご紹介します。

1. 1714年3月8日

• ドイツの作曲家・鍵盤楽器奏者で、バロックから古典派への橋渡し的役割を果たした

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(C.P.E.バッハ)が誕生。

• バッハ一族の中でも特に著名で、フレデリック大王に仕えたり、後のベートーヴェンらにも影響を与えた。

2. 1869年3月8日

• フランスのロマン派を代表する作曲家 エクトル・ベルリオーズ が逝去。

• 『幻想交響曲』をはじめとする斬新なオーケストレーションや、ドラマティックな作風で知られる。

3. 1922年3月8日

• アメリカのダンサー・女優 シド・チャリシー(Cyd Charisse) が誕生。

• MGMのミュージカル映画『雨に唄えば』や『バンド・ワゴン』などで活躍し、その優雅なダンスで人気を博した。

4. 1953年3月8日

• 日本のギタリスト 高中正義(たかなか まさよし) が誕生。

• 「ブルー・ラグーン」などのヒット曲で知られ、日本におけるフュージョン/インストゥルメンタル音楽の第一人者の一人となる。

5. 1976年3月8日

• アメリカの俳優 フレディ・プリンゼJr. が誕生。

• 映画『ラストサマー』シリーズや『シーズ・オール・ザット』などで人気を得て、90年代後半から2000年代にかけて活躍。

6. 1979年3月8日

• オランダのフィリップス社が コンパクトディスク(CD) を初めて一般向けに公開デモンストレーション。

• その後ソニーと共同開発が進められ、音楽メディアとして世界的に普及していく大きな転機となった。

7. 1999年3月8日

• アメリカの野球選手 ジョー・ディマジオ が死去。

• 野球界のスーパースターであると同時に、女優マリリン・モンローとの結婚などを通じて大衆文化の象徴的存在でもあった。

8. 2013年3月8日

• ディズニー映画『オズ はじまりの戦い(Oz the Great and Powerful)』がアメリカで公開。

• サム・ライミが監督を務め、『オズの魔法使』を下敷きに、オズが魔法使いになるまでの物語を描いた作品。

9. 2019年3月8日

• マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品『キャプテン・マーベル』がアメリカなどで公開。

• MCU初の女性単独主役ヒーロー映画として注目を集め、世界的に大ヒットした。

10. 2019年3月8日

• リッキー・ジャーヴェイス主演・制作のNetflixオリジナルドラマシリーズ

『アフター・ライフ(After Life)』 が配信開始。

• ブラックユーモアと心温まる要素を織り交ぜ、公開当初から大きな話題を呼んだ。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅢ

Caesaris haec virtus et gloria Caesaris haec est: Qua nihil maius parens Iuppiter egit, Quod datur et vivi Caesaris ora videt.

日本語訳「これがカエサルの美徳であり、これがカエサルの栄光である。
それより偉大なことを父なるユピテルも行わなかった。
それは与えられ、生きているカエサルの顔を見ることができる。」

Claude3.5Sonnetによる文法的解釈


この文はラテン語の詩句ですね。文法的解釈と日本語訳を提供します。

「Caesaris haec virtus et gloria Caesaris haec est: / Qua nihil maius parens Iuppiter egit, / Quod datur et vivi Caesaris ora videt.」

文法的解釈

1行目:

  • Caesaris: Caesar の属格「カエサルの」
  • haec: この、これは(女性単数主格)
  • virtus: 美徳、勇気(女性単数主格)
  • et: そして(接続詞)
  • gloria: 栄光(女性単数主格)
  • Caesaris: Caesar の属格「カエサルの」
  • haec: この、これは(女性単数主格)
  • est: である(sum の3人称単数現在形)

2行目:

  • Qua: それより(関係代名詞女性単数奪格、virtus et gloria を指す)
  • nihil: 何も〜ない(否定代名詞)
  • maius: より大きい(比較級、中性単数対格)
  • parens: 親、父(男性単数主格)
  • Iuppiter: ユピテル、ジュピター(男性単数主格)
  • egit: 行った(ago の完了形3人称単数)

3行目:

  • Quod: 〜ということ(接続詞)
  • datur: 与えられる(do の受動態現在形3人称単数)
  • et: そして(接続詞)
  • vivi: 生きている(vivus の男性単数属格)
  • Caesaris: カエサルの(属格)
  • ora: 顔、表情(複数対格)
  • videt: 見る(video の現在形3人称単数)

日本語訳

「これがカエサルの美徳であり、これがカエサルの栄光である。
それより偉大なことを父なるユピテルも行わなかった。
それは与えられ、生きているカエサルの顔を見ることができる。」

この詩はカエサルの偉大さを称える内容で、彼の美徳と栄光が神々の父ユピテルさえも超えるものであり、生きているカエサルの姿を見られることの喜びを表現しています。

Grok3による解説と翻訳


マルティアリスは皇帝への直接的な批判を避ける傾向にありました。なぜなら、彼が活躍した1世紀のローマでは、皇帝への公然たる非難は危険を伴う行為だったからです。しかし、彼のエピグラムには、権力者やその周辺に対する間接的な皮肉や風刺が見られます。皇帝その人を直接名指しした詩は少ないものの、皇帝に媚びる人物や権力の腐敗を匂わせる作品を通じて、暗に批判的な視点を織り交ぜています。

この詩は、皇帝ドミティアヌス(在位81-96年)の時代に書かれたもので、彼への過剰な賛美が裏に皮肉を帯びていると読み取れるものです。

表面上はドミティアヌスへの賛辞ですが、「ユーピテル(最高神)を超えた」という過剰な持ち上げ方が、むしろ皮肉として機能していると解釈できます。当時のローマでは、皇帝へのおべっかが常態化しており、マルティアリスはこの詩でその滑稽さを浮き彫りにしている可能性があります。彼の巧妙さは、直接的な攻撃を避けつつ、読者に権力者の虚栄や周囲の偽善を気づかせる点にあります。

もしもっと明確に皇帝を風刺した詩を期待していたなら、マルティアリスよりも後の詩人、例えばユウェナリス(Juvenalis)の『風刺詩』(Satirae)の方が直接的で辛辣です。ユウェナリスの第4編では、ドミティアヌスの宮廷を揶揄する場面が顕著です。そちらを紹介するか、あるいはマルティアリスの別の詩を探すか、どちらがいいか教えてください!

皇帝の権力


古代ローマの皇帝(プリンケプス、インペラトル)が持っていた権力は、複数の公職と権限を組み合わせた独特の統治形態でした。

主要な権力の源泉

  1. インペリウム(Imperium): 最高の軍事指揮権。皇帝は「インペラトル」として、全軍の最高司令官でした。これにより軍団を指揮し、戦争を宣言し、条約を結ぶ権限を持ちました。
  2. トリブニキア・ポテスタス(Tribunicia Potestas): 護民官権。元々は平民の代表である護民官の権限でしたが、皇帝はこれを持つことで:
  • 元老院や他の公職者の決定に対する拒否権
  • 身体の不可侵性(神聖不可侵)
  • 市民を救済する権限
    を得ました。
  1. アウクトリタス(Auctoritas): 道徳的・政治的影響力。法的な権限ではありませんが、皇帝の意見や提案は絶大な重みを持ちました。
  2. ポンティフェクス・マクシムス(Pontifex Maximus): 最高神官としての宗教的権威。国家宗教の最高指導者として儀式を監督し、宗教的決定を下す権限を持ちました。

統治機構における皇帝の立場

  1. 元老院との関係: 形式上は「第一市民(プリンケプス)」として元老院と協力する建前でしたが、実質的には元老院を支配しました。
  2. 法制定権: 皇帝の「勅令(constitutiones principis)」は法的効力を持ち、時代が下るにつれてローマ法の主要な源泉となりました。
  3. 行政権: 属州総督や重要官職の任命権を握り、行政機構を支配しました。特に皇帝直轄属州の統治は皇帝の代理人が行いました。
  4. 司法権: 最終的な裁判権を持ち、あらゆる訴訟の最終審としての役割を果たしました。

皇帝権力の発展

  • アウグストゥス時代(紀元前27年〜紀元14年): 共和政の制度を維持しながら実質的な権力を集中させる「プリンキパトゥス(元首政)」体制の確立
  • ディオクレティアヌス・コンスタンティヌス時代(284年〜337年): 「ドミナトゥス(主人政)」体制へ移行。皇帝は公然と専制君主として振る舞い、神聖視されるようになりました。

権力の制限

形式的には以下の制限がありましたが、実質的な効力は時代と共に薄れました:

  • 元老院の権威
  • 法的伝統と先例
  • 軍隊の忠誠の確保
  • 民衆の支持(特に首都ローマ市の市民)

古代ローマの皇帝権力は、共和政の制度を形式的に維持しながらも、実質的には絶大な権力を一人の手に集中させた巧妙な政治システムだったといえます。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月7日に起こった出来事

以下に、過去の3月7日に文化・芸術・エンターテイメント分野で起こった主な出来事を10件挙げます。年代順になっていますので、参考になれば幸いです。

1. 1875年(誕生)

フランスの作曲家モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)が、1875年3月7日に生まれました。代表作に『ボレロ』や『亡き王女のためのパヴァーヌ』などがあり、印象主義の流れをくむ20世紀フランス音楽を代表する作曲家の一人です。

2. 1955年(テレビ放送)

ブロードウェイ・ミュージカル『ピーター・パン』が、3月7日にアメリカのNBCで初めてテレビ生放送されました。主演はメアリー・マーティン(Mary Martin)で、舞台の人気作をテレビで生放送するという当時としては画期的なイベントでした。

3. 1975年(音楽リリース)

デヴィッド・ボウイ(David Bowie)のアルバム『ヤング・アメリカンズ(Young Americans)』が3月7日にリリースされました。本作はアメリカのソウル・ミュージックから影響を受けた“プラスティック・ソウル”路線の代表作として知られています。

4. 1980年(映画公開)

カントリー歌手ロレッタ・リンの半生を描いた伝記映画『歌え!ロレッタ愛のために(原題: Coal Miner’s Daughter)』が3月7日に全米公開。主演のシシー・スペイセク(Sissy Spacek)はこの作品でアカデミー主演女優賞を受賞しました。

5. 1985年(音楽リリース)

USA for Africaによるチャリティーソング「ウィ・アー・ザ・ワールド(We Are the World)」が3月7日にリリースされました。マイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーらが中心となり、飢餓に苦しむアフリカ救済を目的として制作された歴史的なチャリティ企画です。

6. 1987年(音楽チャート)

ビースティ・ボーイズ(Beastie Boys)のアルバム『ライセンス・トゥ・イル(Licensed to Ill)』が、3月7日付のBillboard 200チャートでヒップホップ・アルバムとして史上初めて1位を獲得。ヒップホップがメインストリームに進出する大きなきっかけの一つとされています。

7. 1999年(著名人の死去)

『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』などで知られる映画監督スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)が、1999年3月7日に死去しました。独特の映像美や徹底した演出で映画史に大きな足跡を残した巨匠です。

8. 2010年(アカデミー賞)

第82回アカデミー賞授賞式が3月7日に開催され、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』が作品賞を受賞しました。女性監督がアカデミー監督賞を受賞したのは史上初で、大きな話題となりました。

9. 2014年(映画公開)

ウェス・アンダーソン監督の映画『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)』が、3月7日にアメリカで限定公開されました。独特の映像美とユーモアあふれる作風が高く評価され、同年の主要映画賞でも注目を集めました。

10. 2021年(テレビインタビュー)

3月7日、アメリカCBSにて放送されたオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)によるイギリス王室のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)のインタビューが世界的な話題を呼び、メディアを中心に大きな議論が巻き起こりました。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅡ

Cum te non nossem, dominum regemque vocabam; Nunc bene te novi: iam mihi Priscus eris.

Claude3.5Sonnetによる翻訳


このラテン語の詩(エピグラム)について、文法的解釈と日本語訳、解説を提供します。

文法解釈:
1行目:

  • Cum (接続詞: ~のとき)
  • te (人称代名詞 accusative: あなたを)
  • non nossem (nosco動詞の接続法未完了過去: 知らなかった)
  • dominum regemque (dominus と rex の accusative: 主人と王を)
  • vocabam (voco動詞の直説法未完了過去: 呼んでいた)

2行目:

  • Nunc (副詞: 今は)
  • bene (副詞: よく)
  • te novi (nosco動詞の完了形: あなたを知っている)
  • iam (副詞: もう)
  • mihi (人称代名詞 dative: 私にとって)
  • Priscus (名詞: プリスクス[人名])
  • eris (sum動詞の未来形: なるだろう)

日本語訳:
「私があなたを知らなかった時は、主人や王と呼んでいた。
今やあなたをよく知った。もう私にとってはプリスクスになるだろう。」

解説


このエピグラムでは、マルティアリスが当初は相手を過剰に持ち上げていたものの、その本性(欲張りで実体のない人物)を見抜いた後、ただの凡庸な名前に戻して冷たく突き放す様子が描かれています。彼の風刺は、当時のローマ社会における権力者や偽善者への鋭い観察に基づいており、シンプルながらも効果的に欲深い政治家の虚栄をあぶり出しています。

これは政治家や権力者への風刺・批判として解釈するのが最も自然だと考えられます。

以下のような要素がその解釈を支持します:

  1. “dominum regemque”(主人と王)という言葉の選択
  • ローマ共和政では「王」(rex)という言葉は特に否定的な意味合いを持っていました
  • 共和政の理念に反する専制的支配者を示唆する表現として使われることが多い
  1. 時制の使い分け
  • “vocabam”(呼んでいた)→ “eris”(なるだろう)という変化は、
  • 「以前は畏れ多い存在として扱っていたが、今後はそうではない」という話者の態度の変化を示している
  1. “bene te novi”(よく知った)という表現
  • 表面的な尊敬から、その人物の本質を見抜いたことを示唆
  • 権力者の実態や本性を知ることで、もはや敬意を払う価値がないと判断したという皮肉

このエピグラムは、権力者に対する表面的な敬意と、その実態を知った後の幻滅を対比させることで、政治的批判を効果的に表現しています。当時のローマ社会では、このような間接的な表現方法で権力者を批判することは珍しくありませんでした。

帝政期の政治家


マルティアリス(約40年-104年)は帝政期、特にフラウィウス朝時代の詩人です。その時代の政治状況について説明します:

帝政期の政治構造:

  • 皇帝が実質的な最高権力者
  • 元老院は形式的な権威は保持するも、実権は制限
  • 皇帝の官僚組織が重要性を増大

重要な政治的役職:

  • 執政官:名誉職化
  • 属州総督:皇帝の任命制
  • 皇帝の側近(アミキ・カエサリス)
  • 解放奴隷の官僚:実務を担当

フラウィウス朝期(69-96年)の特徴:

  • ウェスパシアヌス:実務型の統治
  • ティトゥス:短期政権
  • ドミティアヌス:専制的傾向

この時代の政治家の特徴:

  • 皇帝への忠誠が最重要
  • 出自より能力重視の傾向
  • 地方出身者の台頭
  • 解放奴隷の影響力増大

マルティアリスの風刺の対象:

  • 成り上がり者の傲慢さ
  • 皇帝への過度な追従
  • 見せかけの権威
  • 虚栄と贅沢

特にドミティアヌス帝時代には:

  • 密告制度の横行
  • 言論統制の強化
  • 反対派の粛清
    といった状況があり、これらが間接的に詩に反映されています。

マルティアリスは、このような時代において:

  • 表面的には体制を賞賛
  • しかし巧妙な言葉遊びで批判
  • 個人の行動や性格を題材に社会批判
    という手法を取りました。

この詩の解釈において、直接的な政治批判というより、権力者への追従と実態の乖離を皮肉った作品として見るのが適切かもしれません。当時の文学者たちは、直接的な批判を避けつつ、このような形で社会批評を行うことが多かったのです。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月6日に起こった出来事

以下に、過去の3月6日に起こった文化・芸術・エンターテイメント分野で特筆すべき出来事を10件挙げます。

1. 1475年:ミケランジェロの誕生

イタリア・ルネサンスを代表する芸術家ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo Buonarroti)が、1475年3月6日に生まれました。彫刻・絵画・建築など多彩な分野で傑作を残し、特にシスティーナ礼拝堂の天井画や『ダビデ像』などが有名です。

2. 1853年:ヴェルディのオペラ『椿姫』初演

イタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)の代表作のひとつであるオペラ『椿姫(La Traviata)』が、1853年3月6日にヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演されました。現在でも世界各地のオペラハウスで上演され続ける人気作品です。

3. 1906年:ルー・コステロの誕生

アメリカのコメディアン、俳優であるルー・コステロ(Lou Costello)が1906年3月6日に生まれました。バッド・アボットとのコンビ「アボット&コステロ(Abbott and Costello)」で人気を博し、1930~40年代のアメリカ喜劇界を代表する存在となりました。

4. 1923年:ウェス・モンゴメリーの誕生

アメリカのジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)は1923年3月6日生まれ。独特の親指奏法とコードワークを駆使し、モダンジャズ・ギターのスタイルに大きな影響を与えました。

5. 1932年:ジョン・フィリップ・スーザの死去

アメリカの作曲家・指揮者ジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa)が、1932年3月6日に亡くなりました。数多くの行進曲を手掛け、“行進曲の王様”とも呼ばれています。代表作には『星条旗よ永遠なれ(The Stars and Stripes Forever)』などがあります。

6. 1944年:キリ・テ・カナワの誕生

ニュージーランド出身のオペラ歌手、キリ・テ・カナワ(Dame Kiri Te Kanawa)は1944年3月6日生まれ。リリック・ソプラノとして世界の歌劇場で活躍し、その豊かで伸びやかな声で広く称賛を受けました。

7. 1946年:デヴィッド・ギルモアの誕生

イギリスのロックバンド「ピンク・フロイド(Pink Floyd)」のギタリスト兼ボーカリスト、デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)は1946年3月6日生まれ。卓越したギター演奏と作曲で、ロック史に大きな足跡を残しています。

8. 1947年:ロブ・ライナーの誕生

アメリカの映画監督・俳優のロブ・ライナー(Rob Reiner)は1947年3月6日生まれ。監督作には『スタンド・バイ・ミー』(1986年) や『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987年) などがあり、ヒット作を多く世に送り出しています。

9. 1982年:アイン・ランドの死去

ロシア生まれのアメリカ人作家・哲学者アイン・ランド(Ayn Rand)が1982年3月6日に亡くなりました。代表作に『水源 (The Fountainhead)』や『肩をすくめるアトラス (Atlas Shrugged)』などがあり、彼女の思想「客観主義」はアメリカ思想界に議論を巻き起こしました。

10. 1986年:ジョージア・オキーフの死去

アメリカの画家ジョージア・オキーフ(Georgia O’Keeffe)が、1986年3月6日に98歳で亡くなりました。大きく描かれた花の絵やニューメキシコの風景画で知られ、20世紀アメリカ美術を代表する女性芸術家の一人とされています。

以上が、3月6日に起こった文化・芸術・エンターテイメントにまつわる主な出来事の例です。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩLⅠ

天秤AIの新モデルPLaMo 1.0による紹介


以下は、古代ローマの詩人であるマルティアリスの作品の一部をラテン語で紹介したものです。これは、古代ローマの食事に関する風刺を表しています。

Epigramma XXVII:

“Quid novi? Sane tam boni quam novi panis?”

「何か変わったことは? パンがこんなに美味しくて新しいことくらいかな?」

この詩は、当時のローマ人が新しいパンの味を珍しがっていることを風刺しています。マルティアリスは、ローマ人の飽食や贅沢に対する批判を、ユーモアを交えて表現することで知られています。

なお、マルティアリスの作品は、風刺や皮肉が多く含まれており、その解釈は文脈や歴史的背景によって異なる場合があります。この詩も、そのような要素を含んでいると考えられます。

文法的説明


「Quid novi? Sane tam boni quam novi panis?」というエピグラムは、古代ローマの詩人であるマルティアリス(Marcus Valerius Martialis、40~102年頃)の作品に由来しています。この詩は、彼の9巻にわたる詩集の中の一つです。この詩の文法を踏まえた翻訳としては、以下のようになります。

「何か新しいことはあるか? パンがこんなに美味しくて新しいことぐらいだね。」

この詩は、当時のローマ人が新しいパンの味を珍しがっていることを風刺しています。「Quid novi?」は、「何か新しいことはあるか?」という意味で、「Sane tam boni quam novi panis?」は、「パンがこんなに美味しくて新しいことぐらいだね。」と訳すことができます。ここでの「sane」は「こんなに」という程度を表す副詞で、「tam boni」は「こんなに美味しい」、「quam novi」は「こんなに新しい」という意味になります。

なお、マルティアリスの作品は、当時の社会や政治を風刺したものが多く、この詩もその一つとして知られています。ローマ人の飽食や贅沢に対する批判が、ユーモアを交えて表現されています。

古代ローマの飽食文化 Claude3.5Sonnetによる


古代ローマの飽食文化は、特に帝政期において顕著な社会現象でした。富裕層の間で見られた贅沢な饗宴や食習慣についてご説明します。

豪華な宴会(コンウィウィウム)では、珍しい食材や贅沢な料理が振る舞われました。例えば:

  • エキゾチックな食材として、フラミンゴの舌、クジャクの脳、インドからの香辛料などが珍重されました。これらは食材の希少性と輸送コストから、非常に高価なものでした。
  • 「ウォミトリウム」と呼ばれる嘔吐室の存在が伝えられています。宴会の途中で食べ過ぎた時に吐き出し、また食事に戻るためのスペースとされていました。
  • 有名な美食家ルキウス・リキニウス・ルクルスは、一回の宴会に現代の価値で数千万円相当を費やしたとされています。

この飽食文化は、道徳的な批判の対象となりました。哲学者セネカをはじめとする知識人たちは、このような過度の贅沢を非難しています。また、このような贅沢な食生活は、帝国の経済に大きな影響を与え、社会的な格差を広げる一因ともなりました。

一方で、一般市民の食生活は質素なものでした。主食はパンや穀物で、肉や魚は贅沢品でした。このコントラストは、ローマ社会の階級差を象徴的に表しています。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

以下に、過去の3月5日に起こった、文化・芸術・エンターテイメント分野に関連する主な出来事を10件挙げます。年代順にまとめました。

1. 1616年

• コペルニクスの著書が禁書目録に登録される

ローマ教皇庁(当時の宗教裁判所)によって、ニコラウス・コペルニクスの『天球の回転について(De revolutionibus orbium coelestium)』が「修正されるまで」の条件付きで禁書目録に加えられました。天文学・思想史において大きな影響を及ぼした出来事です。

2. 1908年(誕生)

• レックス・ハリソン(Rex Harrison)の誕生

イギリスの名優レックス・ハリソンが、1908年3月5日にイングランド・リヴァプール近郊で生まれました。映画『マイ・フェア・レディ』(1964)などで知られ、アカデミー主演男優賞も受賞しています。

3. 1922年(誕生)

• ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)の誕生

イタリアの映画監督・詩人・作家として知られるパゾリーニは、1922年3月5日にボローニャで生まれました。社会批評的な作品や詩作で名高く、映画『アッカトーネ』『狂乱の季節』などで知られます。

4. 1936年

• 第8回アカデミー賞授賞式

1935年公開作品を対象とした第8回アカデミー賞は、1936年3月5日にロサンゼルスのビルトモア・ホテルで開催されました。最優秀作品賞は『戦艦バウンティ号の叛乱(Mutiny on the Bounty)』が受賞しています。

5. 1953年(死去)

• セルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Prokofiev)の死去

ロシアの作曲家プロコフィエフが、1953年3月5日にモスクワで亡くなりました。同日はソ連最高指導者スターリンの死去とも重なり、その訃報が大きく報じられなかったと言われています。代表作に交響曲第5番やバレエ『ロメオとジュリエット』など。

6. 1960年

• 「ゲリラ・エロイカ(Guerrillero Heroico)」の撮影

キューバの写真家アルベルト・コルダ(Alberto Korda)が、革命家チェ・ゲバラの最も有名な肖像写真「ゲリラ・エロイカ」を撮影したのが、1960年3月5日です。のちに世界的なシンボルとなる歴史的写真となりました。

7. 1963年

• ビートルズ「From Me to You」を録音

イギリスのロックバンド、ビートルズは1963年3月5日にEMIスタジオ(アビーロード・スタジオ)でシングル「From Me to You」を録音しました。同曲は後にビートルズ初期の代表的ヒットとして知られ、イギリスで1位を獲得しています。

8. 1963年(死去)

• パッツィ・クライン(Patsy Cline)の飛行機事故死

アメリカのカントリー歌手パッツィ・クラインが、1963年3月5日、テネシー州近郊での飛行機事故により他の音楽仲間とともに亡くなりました。代表曲に「Crazy」「I Fall to Pieces」があり、後にカントリー界の伝説的存在として評価されました。

9. 1982年(死去)

• ジョン・ベルーシ(John Belushi)の死去

アメリカのコメディアン・俳優で、『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』や映画『ブルース・ブラザース』などで知られるジョン・ベルーシが、1982年3月5日にロサンゼルスのホテルで急逝しました。享年33歳という早すぎる死でしたが、その破天荒なキャラクターはいまだに語り継がれています。

10. 2006年

• 第78回アカデミー賞授賞式

2005年公開作品を対象とした第78回アカデミー賞は、2006年3月5日にロサンゼルスのコダック・シアター(当時)で開催されました。作品賞はポール・ハギス監督の『クラッシュ』が受賞し、アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』との競合が大きな話題となりました。

以上が、3月5日に起こった主な文化・芸術・エンターテイメント関連の出来事10件です。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩL

マルティアリスはローマの商人を風刺するエピグラムをいくつか書いています。その中で代表的なものの一つが、『エピグラム集』(Epigrammata)4.67 です。

Martialis, Epigrammata 4.67

“Saepe mihi dicis, Luci carissime Iuli, ‘Scribe aliquid magnum: desidiosus es.’ ‘Scribe aliquid magnum.’ Quod vis, dicam tibi: ‘Vende Romae omnia, Luci, si sapis, et fuge.”

  • 元老院階級は直接的な商業活動を忌避
  • 騎士階級は積極的に商業に従事
  • 解放奴隷が商業で成功するケースも多数
  • 商人の社会的評価は複雑:
  • 大規模商人(特に穀物商)は高い社会的地位
  • 小売商人は比較的低い評価

Claude3.5Sonnetによる文法的解釈


このマルティアリスのエピグラムを分析・解釈してみましょう。

文法的解釈:

1-2行目:

  • “Saepe mihi dicis” = “しばしば私に言う”
  • “Luci carissime Iuli” = 呼格「最愛のルキウス・ユリウスよ」
  • “Scribe aliquid magnum” = 命令法「何か偉大なものを書け」
  • “desidiosus es” = “お前は怠惰だ”

3-4行目:

  • “Quod vis, dicam tibi” = “あなたの望むことを、私は言おう”
  • “Vende Romae omnia” = 命令法「ローマのすべてを売れ」
  • “si sapis” = 条件節「もし賢明なら」
  • “et fuge” = 命令法「そして逃げよ」

日本語訳:
「最愛のルキウス・ユリウスよ、あなたはしばしば私に言う、
『何か偉大なものを書け。お前は怠惰だ』と。
『何か偉大なものを書け』とね。では、あなたの望む答えを言おう:
『もし賢明ならば、ローマのすべてを売り払って、逃げ出せ』」

解説:

  1. 文学的構造:
  • 対話形式で展開される
  • 友人の要求への皮肉な応答
  • 命令形の繰り返しによる効果
  1. 主題:
  • 文学的野心と現実の対比
  • ローマ社会への批判
  • 芸術家の自由と社会的制約
  1. 批評の本質:
  • 表面的には文学的アドバイスへの応答
  • 実際には、ローマ社会全体への痛烈な批判
  • 「偉大な作品」を書くことの不可能性を示唆
  1. 社会的文脈:
  • パトロン制度下での詩人の立場
  • 文学活動の経済的・社会的制約
  • ローマ社会の腐敗や抑圧的な側面への暗示

このエピグラムは、単なる文学的助言への応答を超えて、ローマ社会全体への深い懐疑と批判を含んでいます。「偉大な作品」を書くことを求められる詩人が、その要求に対して「ローマから逃げ出せ」と応じることで、当時の社会状況への痛烈な批判を展開しています。

古代ローマの商業と商人たち


古代ローマの商業と商人について、以下の観点から説明します:

社会的地位:

商業活動の種類:

  • 大規模商業(negotiatores):
  • 海上貿易
  • 穀物取引
  • 奢侈品取引
  • 金融業務
  • 小規模商業(mercatores):
  • 店舗経営
  • 行商
  • 地方市場での取引

主要な取引品:

  • 必需品:
  • 穀物
  • オリーブ油
  • ワイン
  • 奢侈品:
  • 香辛料
  • 絹織物
  • 宝石
  • 象牙
  • 琥珀

商業ネットワーク:

  • 地中海交易網:
  • エジプト(アレクサンドリア)
  • シリア
  • ギリシア
  • 北アフリカ
  • 陸上交易路:
  • シルクロード
  • アンバーロード(バルト海地域)
  • 帝国内交易:
  • 州間の商品流通
  • 軍事補給路の活用

商業施設:

  • フォルム(広場):
  • 商取引の中心地
  • 商品展示・販売
  • マケッルム(市場):
  • 食料品専門市場
  • 日用品の取引
  • ホッレア(倉庫):
  • 大規模保管施設
  • 物流の中心

商業組織:

  • コレギア(同業組合):
  • 職業別の組織
  • 相互扶助
  • 社会的・宗教的機能
  • 商人ギルド:
  • 特定商品の取引管理
  • 価格調整
  • 品質管理

金融システム:

  • アルゲンタリイ(銀行家):
  • 預金業務
  • 両替
  • 融資
  • 利子付き貸付:
  • 法定利率の規制
  • 高利貸しの問題

法的枠組み:

  • 商取引法の発達
  • 契約法の整備
  • 海事法の確立
  • 商事裁判制度

商業の発展要因:

  • 統一的な通貨システム
  • 整備された道路網
  • 海上交通の安全確保
  • 法的保護の存在
  • 平和な政治状況(パックス・ロマーナ)

このように、古代ローマの商業は、帝国の繁栄を支える重要な基盤として機能し、複雑な社会的・経済的システムを形成していました。特に、広大な帝国内での物資の流通と、周辺地域との交易は、ローマ文明の物質的豊かさを支える重要な要素でした。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月4日に起こった出来事

以下に「3月4日に起こった主な文化・芸術・エンターテイメント関連の出来事」を10件挙げます。出版・初演・映画公開・音楽デビュー・誕生・死去など、幅広い観点で選びました。

  1. 1678年:アントニオ・ヴィヴァルディ誕生
    バロック音楽を代表する作曲家アントニオ・ヴィヴァルディが、1678年3月4日にヴェネツィアで誕生。代表作「四季」をはじめ、多数の協奏曲や宗教曲・オペラを残した。
  2. 1877年:チャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』初演
    1877年3月4日(旧暦2月20日)、モスクワのボリショイ劇場にてピョートル・チャイコフスキー作曲のバレエ『白鳥の湖』が初めて上演された。現在では最も有名なクラシック・バレエの一つ。
  3. 1932年:ミリアム・マケバ誕生
    1932年3月4日、南アフリカの歌手ミリアム・マケバ(Miriam Makeba)が誕生。アフリカ音楽を世界に広めた功績から“ママ・アフリカ”とも呼ばれ、公民権運動にも大きな影響を与えた。
  4. 1944年:ボビー・ウーマック誕生
    1944年3月4日、アメリカ・オハイオ州クリーブランド出身のソウルシンガー、ソングライターであるボビー・ウーマック(Bobby Womack)が誕生。サム・クックに見出され、その後ローリング・ストーンズにも楽曲を提供するなど活躍した。
  5. 1966年:ジョン・レノンの「ビートルズはキリストよりも有名」発言が掲載
    1966年3月4日付のロンドン・イブニング・スタンダード紙に、ビートルズのジョン・レノンによる「ビートルズはキリストよりも人気がある」という趣旨のインタビューが掲載され、大きな波紋を呼んだ。
  6. 1974年:『ピープル』誌が創刊
    1974年3月4日、アメリカで週刊誌『People』の創刊号が発行された。創刊号の表紙は女優のミア・ファロー。セレブリティやエンターテインメント情報を扱う同誌は、のちに世界的に有名な雑誌ブランドへと成長する。
  7. 1994年:ジョン・キャンディ死去
    1994年3月4日、カナダ出身のコメディアン兼俳優であるジョン・キャンディ(John Candy)がメキシコで急死。『大混乱』『ホーム・アローン』『スペースボール』など数々の映画に出演し、愛されるコメディ俳優だった。
  8. 2016年:ディズニー映画『ズートピア』全米公開
    2016年3月4日、ディズニーの長編アニメーション映画『ズートピア』がアメリカで公開。擬人化された動物たちの世界を舞台にした作品で、社会的テーマとユーモアを融合させ高い評価を得た。
  9. 2018年:第90回アカデミー賞授賞式
    2018年3月4日に行われた第90回アカデミー賞授賞式では、ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞を受賞。授賞式の司会はジミー・キンメルが務めた。
  10. 2019年:韓国のボーイズグループ「TXT」デビュー
    2019年3月4日、韓国の芸能事務所Big Hit(当時)からTOMORROW X TOGETHER(通称TXT)がデビュー。ミニアルバム『The Dream Chapter: STAR』をリリースし、K-POP界の新星として大きく注目を集めた。

以上が、3月4日に起こった主な文化・芸術・エンターテインメント分野の出来事10件です。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩⅩⅩⅨ

マルティアリス(Martialis)は『エピグラム集』(Epigrammata)の中で、ローマにやってくる異邦人を風刺する詩をいくつか残しています。ガリア人(ガリヤ人)に関するものとして、以下のようなエピグラムがあります。

Martialis, Epigrammata 1.100

“Non possum ferre, Quinte, neglegentiam: Galli linguam et habitum, moresque Catonis Ut semel attrivit, iam facit ille suam.”

Claude3.5Sonnetによる翻訳と解説


このマルティアリスのエピグラムを文法的に分析し、翻訳してみましょう。

文法的解釈:

1行目:

  • “Non possum ferre” = “私は耐えられない”
    • possum = 不定法を取る助動詞(できる)
    • ferre = 不規則動詞 fero の現在不定法(耐える)
  • “Quinte” = 呼格で「クイントゥスよ」
  • “neglegentiam” = 対格「怠慢さを」

2-3行目:

  • “Galli linguam et habitum, moresque Catonis” = 対格の列挙
    • “Galli” = 属格「ガリア人の」
    • “linguam” = 対格「言葉を」
    • “habitum” = 対格「態度を」
    • “mores” = 対格複数「習慣を」
    • “Catonis” = 属格「カトーの」
  • “Ut semel attrivit” = 時間を表す従属節
    • “ut” = ~すると
    • “semel” = 一度
    • “attrivit” = attribo(身につける、摩耗させる)の完了形
  • “iam facit ille suam” = 主節
    • “iam” = すでに
    • “facit” = 作る、なす
    • “suam” = 所有形容詞「自分のものに」

日本語訳: 「クイントゥスよ、私は耐えられない、この怠慢さには。 彼は一度ガリア人の言葉と態度、そしてカトーの道徳を身につけると、 たちまちそれを自分のものにしてしまう。」

このエピグラムは、ローマ社会に同化しようとする(おそらく成り上がり者の)ガリア人を皮肉っています。特に、厳格な道徳家として知られるカトー(おそらくカトー・マーヨル)の厳格さを真似ることで、より「ローマ的」に見せようとする行為を風刺しています。

このエピグラムの解説を以下の観点から行います:

  1. 文学的コンテクスト:
  • マルティアリスの風刺エピグラムの典型的な特徴を示しています
  • 呼びかけ(”Quinte”)で始まる対話形式は、彼の好んだ手法の一つです
  • 読者との直接的な対話を通じて、社会批評を展開しています
  1. 社会的文脈:
  • 帝政期ローマにおける社会的上昇志向を描いています
  • ガリア人(Galli)は当時、徐々にローマ社会に同化していく過程にありました
  • カトー(おそらくカトー・マーヨル)は、古きよきローマの道徳と美徳の象徴として言及されています
  1. 風刺の対象:
  • 表面的な文化的同化を批判しています
  • 特に以下の要素が対象となっています:
    • 言語(lingua):ラテン語の使用
    • 外見・態度(habitus):ローマ的な振る舞い
    • 道徳的態度(mores):カトー的な厳格さの模倣
  1. 詩的技巧:
  • “attrivit”(摩耗させる)という動詞の選択は意図的です
    • 物理的な「擦り切れ」と文化的な「同化」を重ね合わせています
  • “iam facit…suam”の表現は、急速な変化を強調しています
  1. 批評の本質:
  • 表面的な文化的模倣を「neglegentia」(怠慢、不誠実さ)として非難しています
  • 真の文化的理解なしの形式的な同化を批判する意図が読み取れます

この詩は、ローマ帝国における文化的同化の問題、特に新たにローマ市民となった者たちの社会的上昇志向と、それに対するローマ旧来の貴族層の反応を鮮やかに描き出しています。マルティアリスは、この現象を単に批判するだけでなく、そこに潜む矛盾やアイロニーを巧みに描写しています。

古代ローマにおけるガリア人(異邦人)


古代ローマにおけるガリア人(異邦人)の状況について説明します:

歴史的背景:

  • 紀元前2世紀から1世紀にかけて、ローマはガリア(現在のフランス、ベルギー地域)を征服
  • カエサルのガリア遠征(紀元前58-51年)により、ガリア全土がローマの支配下に
  • 特にキサルピナ・ガリア(北イタリア)は早期にローマ化が進行

ローマへの移住と同化:

  • 都市ローマへの移住は主に以下の形態:
  • 商人として
  • 奴隷として
  • 解放奴隷として
  • 知識人(教師、医師など)として
  • 特に解放奴隷とその子孫は、ビジネスや行政で成功を収めることも

社会的地位と偏見:

  • ガリア人に対する伝統的なステレオタイプ:
  • 野蛮、未開
  • 戦闘的
  • 不洗練
  • しかし実際には:
  • 商才に長けた者も多く
  • 教養を身につけ、社会的上昇を果たす例も
  • 帝政期には元老院議員にまでなった者も

文化的同化の過程:

  • ラテン語の習得
  • ローマ式の服装の採用
  • ローマ的な生活様式の受容
  • ローマの宗教・祭祀への参加
  • ローマ式教育の受容

法的地位の変遷:

  • 紀元前89年:キサルピナ・ガリアの住民にラテン権付与
  • 紀元前49年:同地域の住民にローマ市民権付与
  • クラウディウス帝時代:ガリアの有力者に元老院議員資格付与
  • 212年:カラカラ帝の勅令により帝国内の自由民全てに市民権付与

文学での描写:

  • マルティアリスやユウェナリスなどの風刺作家による批判的描写
  • 成り上がり者としての揶揄
  • 文化的同化の表面性への批判
  • 一方で、ガリア出身の著名な文人も:
  • アウソニウス
  • シドニウス・アポリナリス

このように、ガリア人のローマ社会への同化は、文化的・社会的な摩擦を伴いながらも、徐々に進行していった複雑な過程でした。彼らの存在は、ローマ帝国の多文化性と、その統合能力を示す好例となっています。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

かつて3月3日に起こった出来事

以下では、3月3日に起こった、文化・芸術・エンターテインメント分野で特筆される出来事を10件ご紹介します。年代順にまとめましたので、ご参照ください。

1. 1875年:ビゼーのオペラ『カルメン』が初演

• パリのオペラ=コミック座で初演。初演時は賛否両論を巻き起こしましたが、後にフランス・オペラ史を代表する名作として高い評価を得るようになりました。

2. 1911年:ハリウッドの銀幕スター、ジーン・ハーロウ(Jean Harlow)誕生

• 1930年代に活躍したアメリカの女優。“ブロンド・ボムシェル”とも呼ばれ、モンロー以前に一世を風靡した伝説的存在です。

3. 1923年:アメリカの総合情報誌『TIME(タイム)』が創刊

• 世界初のニュース週刊誌として創刊され、政治・経済のみならず、文化芸術分野の特集や「パーソン・オブ・ザ・イヤー」などで国際的な影響力をもつメディアとなりました。

4. 1931年:アメリカ国歌『星条旗(The Star-Spangled Banner)』が正式に国歌として採用

• フランシス・スコット・キー作詞の詩をもとにした楽曲。3月3日、議会での決議によりアメリカ合衆国の国歌となりました。

• 文化的にもスポーツイベントなどで歌われる機会が多く、全米国民に広く浸透しています。

5. 1939年:ジョン・フォード監督の西部劇映画『駅馬車(Stagecoach)』が公開

• ジョン・ウェイン主演。西部劇を映画芸術の域に高めた作品の一つとされ、監督・俳優ともにその後のキャリアを大きく開花させた名作です。

6. 1985年:ドラマ『私立探偵ブルース・ハード(Moonlighting)』のパイロット版が放送

• ブルース・ウィリス(Bruce Willis)とシビル・シェパード(Cybill Shepherd)が主演の人気ドラマ。コメディと探偵ドラマを融合させたスタイルが話題を呼び、ウィリスの出世作ともなりました。

7. 1986年:メタリカ(Metallica)のアルバム『Master of Puppets』リリース

• バンドにとって3作目のスタジオ・アルバム。スラッシュメタル史上でも屈指の名盤とされ、過激なサウンドと高度な演奏技術、社会風刺的な歌詞で大きな衝撃を与えました。

8. 1989年:マドンナ(Madonna)のシングル「Like a Prayer」発売

• 発売当初からミュージック・ビデオの宗教的な演出や性的な表現が物議を醸し、MTVの常連曲となるなど世界的な注目を集めました。マドンナのキャリアを語る上でも欠かせない一曲です。

9. 2017年:任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」が世界同時発売

• 家庭用据置機と携帯機のハイブリッドという新たなコンセプトが注目を集め、発売と同時に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などが大ヒットし、世界的に品薄となりました。

10. 2017年:映画『LOGAN/ローガン』がアメリカで公開

• マーベル・コミック「X-MEN」シリーズのスピンオフ作品で、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの物語を締めくくる作品として高い評価を受けました。

• 従来のヒーロー映画とは一線を画すシリアスな作風が支持され、批評家からも多くの称賛を受けました。

以上が、3月3日における代表的な文化・芸術・エンターテインメント関連の出来事10選です。オペラの歴史的初演から現代のポップカルチャーに至るまで、幅広いジャンルでさまざまな出来事が重なっているのがわかります。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩⅩⅩⅧ

マルティアリスのエピグラムについて、公衆トイレ(latrina)での会話を風刺した詩をラテン語で紹介したいと思います:

“In Vacerra” (11.77)から一部を引用すると:

“In omnibus Vacerra quod conclavibus consumit horas et die toto sedet…”

この詩は、Vacerraという人物が公衆トイレで長々と時間を潰して世間話をする様子を皮肉っています。ただし、私の古代ラテン語の引用は完全な正確性を保証できないため、専門の文献で確認されることをお勧めします。

マルティアリスは、こうした日常的な場面を題材に、ローマ社会の習慣や人々の行動を鋭く風刺しました。当時の公衆トイレは、実際に社交の場としても機能していたことが分かっています。

Claude3.5Sonnetによる翻訳


このエピグラムの文法的解釈と日本語訳を行います:

文法構造:

  • In omnibus conclavibus: 前置詞(in) + 形容詞(omnibus) + 名詞(conclavibus) [場所の奪格]
  • Vacerra: 主語 [主格]
  • quod: 接続詞
  • consumit: 動詞(consumere) [現在形、三人称単数]
  • horas: 直接目的語(hora) [対格複数]
  • et: 接続詞
  • die toto: 形容詞(totus) + 名詞(dies) [時の奪格]
  • sedet: 動詞(sedere) [現在形、三人称単数]

直訳:
「ワケッラは、あらゆる個室で時間を費やし、丸一日中座っている…」

意訳:
「ワケッラときたら、公衆トイレのあらゆる個室で時間を浪費し、一日中腰を据えている…」

この詩では、公衆トイレで必要以上に長居する人物を風刺的に描写しています。die totoは「丸一日」を意味する奪格で、時間の範囲を表現しています。consumit horasは「時間を費やす/消費する」という意味で、無駄な時間の使い方を強調しています。

古代ローマの公衆トイレ


古代ローマの公衆トイレ(ラテン語: latrina publica / forica)について説明します:

構造と設備:

  • 20-60人程度が同時に使用できる大規模な施設
  • 大理石の便座が壁に沿って並び、使用者同士の仕切りはない
  • 床下を流れる下水道システム(クロアカ・マキシマ)に接続
  • 便座の前には水路があり、使用後の清掃用スポンジ(テルソリウム)を洗う
  • 多くは公衆浴場に隣接して建設され、浴場の排水を利用

社会的機能:

  • 一般市民の日常的な社交場所として機能
  • 政治的な議論や商談が行われることも
  • 入場料を取る施設と無料の施設が存在
  • 下層民から上流階級まで幅広い層が利用

衛生管理:

  • 常時水が流れる設計で臭気を軽減
  • テルソリウム(木の棒の先に海綿を付けた清掃具)を共有
  • 尿は布の染色や皮なめしに再利用

考古学的発見:

  • ポンペイやオスティアなどで良好な状態で保存
  • 壁には落書きや装飾が残されている
  • 暖房設備を備えた贅沢な施設も発見

このように、古代ローマの公衆トイレは単なる衛生施設ではなく、都市生活における重要な社会的空間として機能していました。

下水道システム(特にクロアカ・マキシマ(Cloaca Maxima)


古代ローマの下水道システムについて、特にクロアカ・マキシマ(Cloaca Maxima)を中心に説明します:

歴史的発展:

  • 紀元前6世紀頃、エトルリア王タルクィニウス・プリスクスの時代に建設開始
  • 当初は自然の水路や湿地帯の排水用水路として整備
  • 共和政期から帝政期にかけて大規模な拡張と改修
  • 現在も一部が機能している世界最古級の下水道システム

技術的特徴:

  • アーチ構造を用いた高度な土木技術
  • 最大幅4.2メートル、高さ3.2メートルの主要水路
  • 火山岩(凝灰岩)や石灰岩を用いた堅牢な構造
  • 緩やかな勾配による自然流下システム
  • 支線網による効率的な排水網の形成

機能:

  • 生活排水の処理
  • 雨水の排水による都市部の洪水防止
  • 公衆浴場からの廃水処理
  • テヴェレ川への排水放流
  • 都市衛生の維持

維持管理:

  • 専門の管理官(curator cloacarum)による監督
  • 定期的な清掃と補修
  • 下水道税による運営資金の確保
  • 奴隷労働による維持作業

影響:

  • 都市計画における重要なインフラとして後世に影響
  • ローマ帝国各地に同様のシステムが普及
  • 現代の下水道システムの原型となる技術的達成

このシステムは、古代ローマの高度な土木技術と都市計画を示す重要な遺産として評価されています。


ここまでです。お付き合いあくださり有り難うございました。

かつて3月2日に起こった出来事

以下に、過去の3月2日に「文化・芸術・エンターテインメント」分野で起こった代表的な出来事を10件挙げます。年号順にまとめていますので、ご参照ください。

1. 1904年:絵本作家・児童文学作家のドクター・スース(Dr. Seuss)誕生

• 本名はセオドア・スース・ガイゼル (Theodor Seuss Geisel)。『キャット・イン・ザ・ハット』や『グリンチ』など、英語圏を中心に愛される多くの絵本を生み出しました。

2. 1917年:俳優・ミュージシャンのデジ・アーナズ(Desi Arnaz)誕生

• シットコム『アイ・ラブ・ルーシー (I Love Lucy)』で妻ルシル・ボールと共演し、アメリカのテレビ史に残る人気を博しました。

3. 1933年:映画『キング・コング (King Kong)』がニューヨークで初公開

• ウィリス・オブライエンの特撮技術を駆使したモンスター映画の金字塔。公開当時としては画期的な映像表現が話題となり、その後の怪獣映画・特撮作品にも多大な影響を与えました。

4. 1942年:ロック・ミュージシャンのルー・リード(Lou Reed)誕生

• ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの中心メンバーとして活動し、後にソロとしても『ワイルド・サイドを歩け (Walk on the Wild Side)』などの代表曲を残しました。

5. 1959年:マイルス・デイヴィス、歴史的名盤『カインド・オブ・ブルー (Kind of Blue)』の録音開始

• ジャズ史上最も有名なアルバムの一つであり、モード・ジャズを代表する作品。録音は1959年3月2日と4月22日の2回行われました。

6. 1964年:ザ・ビートルズ、映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! (A Hard Day’s Night)』の撮影開始

• ビートルズ初の主演映画であり、彼らの人気をさらに世界的に押し上げる作品となりました。撮影は当時の音楽シーンや若者文化を映し出す貴重な記録でもあります。

7. 1965年:映画『サウンド・オブ・ミュージック (The Sound of Music)』が全米公開

• ミュージカル映画の金字塔であり、ジュリー・アンドリュース主演、ロバート・ワイズ監督作品。アカデミー賞作品賞を含む5部門で受賞しました。

8. 1978年:チャーリー・チャップリンの棺盗難事件

• コメディ映画の巨匠チャーリー・チャップリンの遺体が埋葬されていたスイスの墓地から棺が盗まれるという事件が発生。犯人は遺族から身代金を要求するも逮捕され、棺は約1か月後に発見されました。

9. 1984年:ロック・コメディ映画『スパイナル・タップ (This Is Spinal Tap)』公開

• ロブ・ライナー監督によるモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)映画。架空のロックバンド“スパイナル・タップ”を追った内容で、後の音楽・映画界にパロディの手法を広めたと言われています。

10. 2014年:第86回アカデミー賞授賞式が開催

• エレン・デジェネレスが司会を務め、作品賞はスティーヴ・マックイーン監督の『それでも夜は明ける (12 Years a Slave)』が受賞。話題となった“セルフィー”写真はSNSで拡散され、当時のリツイート記録を塗り替えました。

以上が3月2日に起こった主な文化・芸術・エンターテインメント分野の出来事10選です。歴史的名作の公開や重要人物の誕生など、幅広いジャンルで印象深いトピックがある日といえます。

マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩⅩⅩⅦ

マルティアリスの食事に関する有名なエピグラムの1つを原文で紹介します:

“Cum mensas habeat fere trecentas, pro mensis habet Annius ministros: transcurrunt gabatae volantque lances. Has vobis epulas habete, lauti: nos offendimur ambulante cena.”

これは豪華な宴会を批判した詩で、おおよその意味は: 「アンニウスは300もの料理を出すが、 給仕人が多すぎて料理が冷めてしまう。 皿は飛ぶように運ばれていく。 お金持ちよ、そんな食事をどうぞ。 私は動き回る食事には辟易する。」

なお、古代ラテン語の原文の引用については、私の記憶が不完全である可能性があり、細部に誤りがある可能性があります。正確な原文については、学術的な原典をご確認いただくことをお勧めします。

マルティアリスは『エピグランマタ』の中で、当時のローマの食文化や宴会について多くの風刺的な詩を残しています。例えば:

「粗末な食事の招待」について書いた詩では、主人が客に出す料理は安っぽいものばかりなのに、自分は高価な料理を食べるという当時の悪しき風習を批判しています。

また「食通ぶる者」を皮肉った詩では、高価な食材ばかりを求める見栄っ張りな食通を嘲笑しています。

当時のローマでは、珍しい食材や贅沢な料理を出すことがステータスシンボルとなっていました。例えばムレナ(魚)やイノシシ、孔雀などが人気でした。マルティアリスはこうした見せびらかしの食文化を痛烈に風刺しています。

なお、マルティアリスの特定の詩の引用や解釈については、私の知識が不完全な可能性があり、誤った情報を提供してしまう可能性があることをお伝えしておく必要があります。古代文学の詳細な内容については、専門家や信頼できる文献で確認されることをお勧めします。