捨てずに本棚に眠っていたこの本を読みました。最初に手にした時とは違って、興味深く、楽しく読みました。
翻訳が良いですね。名訳ならざれば公にできないのが本書です。元はラテン語、ヘッセがドイツ語に、そして、ドイツ語から日本語には林部圭一氏が。で、ラテン語の説話・寓喩があたかも日本語で書かれたもののごとくに、生き生きと、リズミカルに翻訳されている。言い過ぎだろうか?
シトー会という修道会の信仰と霊性を説いている説話なのだけれども、寓喩のすごさを感じさせます。たわいないお話のようで、中世ヨーロッパの人々の生活や社会の姿が生き生きと描かれており、それが、読む者を物語の世界へと誘い、人間の魂を培う思い巡らしへと誘導します。