静かに暦をもう一枚めくると、
2月25日にもまた、
科学の視線が少しだけ深まった瞬間が見えてきます。
ここでは三つの出来事を、
背景と意味を添えて丁寧にたどります。
2月25日の科学史的出来事

① 1836年
サミュエル・モールス、電信技術の実用化へ前進
— 情報が「瞬時に移動する」時代の入口 —
1830年代半ば、モールスは改良型電信機と
モールス符号体系の完成に近づき、
1836年前後には実用化への道筋が明確になりました。
これは単なる通信技術ではなく、
距離と時間の結びつきの解体 ニュース・商業・政治の高速化 地球規模ネットワーク社会の萌芽
を意味していました。
ここで人類は初めて、
物理的移動を伴わずに情報だけを運ぶ世界
へ踏み出します。
現代インターネットの遠い起点も、
この静かな実験室にあります。

② 1919年
天文学者エディントン、重力による光偏向観測計画を準備
— 相対性理論が「宇宙で試される」直前 —
1919年の皆既日食観測に向け、
アーサー・エディントンはこの頃までに
遠征準備と理論検証計画を整えていました。
目的はただ一つ、
重力が光を曲げるかどうか
を確かめること。
もし成功すれば、
ニュートン力学の限界 アインシュタイン理論の実証 宇宙観そのものの転換
が起こります。
実際、同年5月の観測成功により、
空間と時間は固定の舞台ではなく
曲がり得る構造として理解されるようになりました。
2月は、その歴史的瞬間の
静かな前夜にあたります。

③ 1956年
人工知能研究の萌芽期における神経回路モデル研究の進展
— 思考が「計算として扱われ始めた頃」 —
1950年代半ば、
マッカロック=ピッツ型神経モデルや
初期学習機械研究が進み、
知能を数理構造として記述できる可能性
が現実味を帯びてきました。
これは後の
ダートマス会議(1956年夏) 機械学習理論 現代AI
へ連なる、重要な準備段階です。
ここで初めて、
人間の思考そのものを
自然現象として記述できるか
という問いが、
科学の領域に置かれました。
小さな結び
2月25日に並ぶ三つの出来事は、
情報の瞬間移動(電信) 宇宙構造の検証(相対論観測) 思考の数理化(AI萌芽)
という、
外界・宇宙・内面を貫く流れを示しています。
それは言い換えれば、
科学がついに
世界だけでなく、
時間や空間、
そして知性そのもの
を扱い始めた節目でもあります。