3月5日にも、科学史の転換点となる出来事があります。
今回は「発見」「制度」「宇宙観測」の三つの視点で見てみましょう。
① 1868年3月5日
ジョージ・ウェスティングハウス、空気ブレーキの特許取得
— 産業安全が科学技術で制度化された日 —
鉄道事故が頻発していた19世紀、
ウェスティングハウスは圧縮空気を利用した自動ブレーキを開発しました。
この装置の革新性は、
列車全体を同時制動できること 圧力低下=自動停止という安全設計 長距離高速運転の実現
にあります。
これは単なる機械発明ではありません。
フェイルセーフ設計思想の先駆けでした。
科学技術が「速度を上げる」だけでなく、
「安全を担保する」方向へ進み始めた象徴的瞬間です。

② 1979年3月5日
γ線バーストの強力観測(SGR 0526–66)
— 宇宙が“突発的に爆発する”ことが理解され始めた日 —
1979年3月5日、
極めて強力なガンマ線バーストが観測されました。
これは後に「ソフトガンマリピーター」と呼ばれる天体現象の最初の例とされます。
重要なのは、
中性子星の磁場エネルギー放出 マグネターという概念の発展 宇宙高エネルギー物理の深化
です。
宇宙は静かな星空ではなく、
突発的にエネルギーを放出する動的な空間であることが明確になりました。

③ 1982年3月5日
ソ連探査機ベネラ14号 打ち上げ
— 金星表面の直接観測へ —
ベネラ14号は金星探査を目的として打ち上げられ、
のちに金星表面へ着陸しデータを送信しました。
金星表面の条件は、
約460℃の高温 高圧 濃硫酸を含む大気
という極限環境です。
それでも探査機は数十分間観測を行い、
写真と地質データを地球へ送りました。
これは「到達」ではなく、
極限環境での科学観測の成功でした。

3月5日の三件を並べると、
産業安全 宇宙高エネルギー現象 極限環境探査
いずれも「制御困難な世界を理解する試み」です。
科学は未知を拡大するだけでなく、
危険を制御し、
極限に耐える技術を育てます。