1月28日は、科学・技術が人類の生活を拡張した日であると同時に、その危うさが深く刻まれた日でもあります。ここでは、分野の異なる3件を選び、背景と科学史的意義を含めて詳しく解説します。
① 1842年1月28日
全身麻酔(エーテル麻酔)の原理が発見される
— 近代医学の決定的転換点 —
1842年1月28日、アメリカの医師 クロフォード・ロング は、エーテル吸入によって痛みが消失することを医学的に確認しました。
これが、後に「全身麻酔」と呼ばれる概念の出発点です。
それ以前の外科手術は、
激痛を伴い 患者の拘束が必要で 時間制限が極端に厳しい
という、ほとんど“耐久試験”のような行為でした。
麻酔の発見によって、**人体を「意識と切り離して治療する」**という、まったく新しい医療観が成立します。
📌 科学史的意義
外科学・歯科学の飛躍的発展 痛みの生理学研究の進展 医学における「人道性」という概念の制度化
👉 科学が「治す」だけでなく、「苦痛を取り除く」ことを目的化した瞬間でした。

② 1887年1月28日
エッフェル塔の建設開始(構造工学の革命)
1887年1月28日、パリで エッフェル塔 の建設が正式に始まりました。
設計を主導したのは技術者 ギュスターヴ・エッフェル です。
当時、高さ300mという構造物は前例がなく、
強度計算 風圧への対応 金属疲労
など、近代構造工学の理論が総動員されました。
完成後も長らく世界最高の建造物でした。
📌 科学・技術的意義
鉄構造・トラス設計の完成形 数値計算に基づく建築工学の確立 科学技術が「都市の象徴」になった最初期の例
👉 エッフェル塔は芸術作品である前に、巨大な実験装置でもありました。

③ 1986年1月28日
スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故
— 宇宙開発における安全科学の転換点 —
1986年1月28日、NASA のスペースシャトル「チャレンジャー号」が打ち上げ73秒後に空中分解し、7名の宇宙飛行士が犠牲となりました。
原因は、
低温環境で劣化したOリング 工学的警告が組織内で軽視されたこと
という、技術と組織判断の複合的失敗でした。
📌 科学技術史的意義
リスク評価・安全工学の再定義 「技術的に可能」≠「実行すべき」という教訓 工学における倫理と組織文化の問題提起
👉 この事故以降、宇宙開発は「速さ」より安全性と説明責任を重視する方向へ大きく舵を切ります。
