12月19日に起こった、人文学(歴史・文学・思想・言語・文化など)に関わる代表的な出来事を10件まとめます。
1154年
イングランド王ヘンリー2世の戴冠
プランタジネット朝の開幕。後の「コモン・ロー(英米法)」や陪審制度など、英米世界の法文化の基盤となる改革の出発点として、法思想・政治文化史上きわめて重要。
1732年
ベンジャミン・フランクリンが『プア・リチャードの暦』を初出版
格言・ことわざ・生活実用情報を組み合わせたアルマナックで、清貧・勤勉・自己修養といった啓蒙主義的倫理を大衆に普及し、アメリカ文化の価値観形成に大きな影響を与えた。
1776年
トマス・ペイン『アメリカン・クライシス』第1論文を刊行
「These are the times that try men’s souls…」で始まるこの政治パンフレットは、独立戦争の最も厳しい時期に兵士と市民を鼓舞し、革命的レトリック・政治思想・公共言論史の古典となった。
1843年
チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』初版刊行
ロンドンの出版社から12月19日に初版が出され、クリスマス前に即完売。クリスマスのイメージ(家族・慈善・祝宴)を決定づけ、ヴィクトリア朝文学だけでなく近代の祝祭文化全体に強い影響を残した。

1848年
エミリー・ブロンテが死去
『嵐が丘』で知られるブロンテ姉妹の一人エミリーが12月19日に30歳で没。彼女の早逝は作品数を少なくした一方で、単一長編が英文学・フェミニズム批評・ロマン主義研究における「カルト的古典」として読み継がれる契機となった。

1910年
ジャン・ジュネ誕生
フランスの劇作家・小説家・詩人ジュネが12月19日に生まれる。アウトサイダーや同性愛、権力と暴力をテーマにした作品は、20世紀演劇・クィア文学・ポスト構造主義的読解にとって重要なテキストとなった。
1910年
ホセ・レサマ・リマ誕生
キューバの詩人・小説家レサマ・リマがハバナ近郊で誕生。難解かつ濃密な象徴主義的文体でラテンアメリカ文学・ポエティカに大きな影響を与え、『パラディーソ』などはバロック的スペイン語文学の極致とされる。
1924年
ミシェル・トゥルニエ誕生
パリ生まれの小説家トゥルニエが誕生。神話や寓話の翻案を通じて近代社会や主体の問題を描き出し、神話批評・哲学的人文学と現代小説を架橋する作家として評価されている。
1928年
イヴ・バンティング誕生
北アイルランド出身で米国で活躍した児童文学作家バンティングが12月19日に生まれる。難民、戦争、差別など重いテーマを子ども向け絵本で扱い、教育現場における「物語を通じた社会教育」の代表的著者となった。
1984年
中英共同声明(香港問題に関する英中共同声明)調印
12月19日、北京の人民大会堂でサッチャー英首相と趙紫陽首相が署名。香港返還と「一国二制度」の枠組みを定めたこの条約は、植民地支配の終焉、主権移譲、法制度・人権・自治をめぐる議論など、現代の政治思想・国際法・ポストコロニアル研究における重要なケーススタディとなっている。
補足として、2019年12月19日には、ダ・ヴィンチ《白テンを抱く貴婦人》などを所蔵するクラクフのチャルトリスキ美術館が大規模改修を終えて再開館しており、ヨーロッパ美術史研究と文化遺産保存の観点から注目されました。