かつて12月16日に起こった出来事

12月16日に起こった、人文学(文学・思想・芸術・人権・歴史意識など)に関わる主な出来事を10件まとめてみました。

1770年ごろ

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの誕生(一般に12月16日とみなされる)

洗礼記録は17日ですが、当時すぐ洗礼する慣習があり、本人も含めて16日生まれとみなされます。西洋音楽史を決定的に変えた作曲家の誕生として象徴的な日。

1773年

ボストン茶会事件(Boston Tea Party)が決行される

「代表なくして課税なし」を掲げたアメリカ植民地側の抗議行動。後のアメリカ独立・近代民主主義思想・市民的不服従の象徴的エピソードとして、政治思想史・歴史意識のうえで大きな意味をもつ出来事です。

1775年

イギリスの小説家ジェイン・オースティンがハンプシャー州スティーヴントンで誕生

『高慢と偏見』『エマ』などで知られ、日常生活・結婚・階級を写実的かつアイロニカルに描いて近代小説の姿を決定づけた存在。英文学だけでなくジェンダー研究・社会史にも大きな影響。

1863年

スペイン生まれの哲学者・詩人ジョージ・サンタヤーナがマドリードで誕生

「過去を記憶できない者は、それを繰り返す運命にある」などの格言で知られる哲学者。美学・宗教哲学・文化批評において、20世紀思想に長く影響を与えています。

1917年

SF作家アーサー・C・クラークがイングランドのマインヘッドに誕生

映画『2001年宇宙の旅』の原作者として有名。科学と想像力を結びつけ、宇宙探査・テクノロジーと人間の未来についての文化的想像力を大きく拡張しました。

1928年

アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックがシカゴで誕生

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などで、現実・アイデンティティ・権力の操作といった哲学的テーマをSFとして描写。後の映画やポップカルチャーに多大な影響を与えた作家です。

1966年

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」が国連総会で採択される

思想・良心・宗教の自由、表現・集会の自由などを国際的に保障する基本文書。いわゆる「国際人権規約」の一角をなし、人権思想・法哲学・政治思想にとって画期的な出来事です。

1966年

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(ICESCR)」も同じく12月16日に採択される

教育・労働・社会保障・文化生活への参加などの権利を国際法として位置づけた条約。文化権・教育権の議論など、人文学の社会的意義を考えるうえで欠かせない基盤文書です。

1971年

ダッカでパキスタン東部軍が降伏文書に調印し、バングラデシュ解放戦争が終結(バングラデシュの「勝利の日」)

パキスタン軍の降伏により東パキスタンがバングラデシュとして独立。大量虐殺の記憶とともに、民族自決・植民地主義後の国民国家形成、人権侵害の記憶化などを考える重要な歴史的転換点です。

2020年

国連総会が決議75/170を採択し、「国際アフリカ系人々の日」(8月31日)を制定

アフリカ系ディアスポラの歴史と文化的貢献を顕彰し、差別に対する闘いと人権尊重を促進する国際デーの創設。記憶・人種・植民地主義をめぐる現代人文学・人権研究に直結する出来事です。