12月14日に起こった/この日に結びつく、人文学(思想・文学・芸術・人権など)に関わる出来事を10件、年順にまとめました。
1542年
生後6日のメアリーが スコットランド女王メアリー(Mary, Queen of Scots)として即位
スコットランド王ジェームズ5世の急死により、生後まもなく即位。スコットランド宗教改革・イングランドとの王位継承争い・カトリック/プロテスタント対立など、近世ヨーロッパ宗教政治史の核心に位置する人物の統治がこの日に始まる。
1546年
ルネサンス期の天文学者 ティコ・ブラーエ誕生(デンマーク・スコーネ)
きわめて精密な観測によってコペルニクス以後の宇宙像を準備し、科学革命の基礎を築く。占星術・錬金術も行った「境界期の知識人」として、科学史・知の社会史の好例。
1631年
ケンブリッジ・プラトニストと交流した形而上学者 アン・コンウェイ誕生(ロンドン)
一元論的な「生ける実体」の形而上学を展開し、ライプニッツにも影響を与えたとされる女性哲学者。近世における女性思想家の再評価の鍵となる人物。
1640年(洗礼日)
アフラ・ベーン洗礼(イングランド)—初の「職業女性作家」
ベーンは後に『オルーノコ』などを書き、英語圏で最初に筆一本で生活した女性作家として知られる。ジェンダー・文学史・植民地主義批判(奴隷制描写)を考えるうえで重要。
1887年
アルゼンチンの画家・詩人 スール・ソラル(Xul Solar)誕生
想像上の言語やボードゲームを考案し、占星術・宗教・音楽理論を取り込んだ作品を残したラテンアメリカ前衛芸術家。ボルヘスらとの交流でも知られ、近代アルゼンチン文化史の象徴的存在。
1916年
アメリカの小説家 シャーリイ・ジャクスン誕生(サンフランシスコ)
短編「くじ」(The Lottery)や『山荘綺談』などで、日常の中の不安と暴力を描いた作家。ホラー/ゴシック文学だけでなく、ジェンダーや共同体批判の観点からも再評価が進んでいる。
1918年
プッチーニの三部作オペラ 《イル・トリッティコ》(『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』)がメトロポリタン歌劇場で世界初演
コミカルな『ジャンニ・スキッキ』とアリア「私のお父さん」は特に人気を博し、20世紀イタリア・オペラと都市ブルジョワ文化のイメージを形づくる。
1925年
アルバン・ベルクのオペラ 《ヴォツェック(Wozzeck)》ベルリン国立歌劇場で初演
ビューヒナーの未完戯曲にもとづく表現主義オペラ。無調音楽と厳格な構成を組み合わせ、戦争・貧困・権力による抑圧に翻弄される兵士の崩壊を描き、「モダニズム音楽劇」の代表作となる。

1960年
UNESCO「教育における差別に反対する条約」採択(パリ)
人種・性別・宗教・言語などによる教育上の差別を禁止し、少数者の言語教育・宗教教育の自由を保障する国際条約。教育の権利と文化的多様性に関する国際人権法の基礎文書の一つ。
1971年
バングラデシュ独立戦争で パキスタン軍と協力組織アル=バドルらが多数の知識人を虐殺—後に「殉教知識人の日」として記念
ダッカなどで大学教授・医師・ジャーナリストなどが計画的に殺害され、植民地主義・民族浄化と「知識人層の抹殺」という暴力の関係を象徴する事件。バングラデシュでは毎年12月14日に追悼が行われる。
おおまかに言うと、12月14日は
コンウェイやベーン、ジャクソン、デュレンマット/スール・ソラルのような 作家・思想家・芸術家の誕生日・命日 《イル・トリッティコ》《ヴォツェック》初演のような 20世紀音楽史の節目 UNESCO条約やバングラデシュ殉教知識人の日のような 教育・人権・知識人共同体をめぐる出来事
が重なっている日、と見ることができます。
この中で「もう少し詳しく知りたい出来事」があれば、1つ選んでくだされば、個別に掘り下げて解説します。