かつて12月9日に起こった出来事

12月9日に起こった「人文学」(文学・思想・宗教・人権・文化)の出来事を、年代順に10件まとめました。

1608年

ジョン・ミルトン誕生(ロンドン)

英国の詩人・思想家。叙事詩『失楽園』などを通して、人間の自由意志・責任・革命期の政治思想を描き、シェイクスピアと並ぶ英文学の基盤を作った。

1905年

フランス「政教分離法(1905年12月9日法)」制定

国家と教会の分離を定めた画期的法律。国家の宗教的中立(ライシテ)と良心の自由を原則とし、現代フランスにおける世俗主義と宗教・公共空間の関係を規定した。

1916年

夏目漱石逝去(東京)

近代日本文学を代表する小説家。『吾輩は猫である』『こころ』などで、近代化の中で揺れる「個人」と日本社会を描き、以後の日本文学・知識人像に決定的な影響を与えた。

1931年

スペイン第二共和政憲法公布

1931年12月9日に公布された共和政憲法。女性参政権・言論の自由・信教の自由などを保障する一方、強い政教分離と反聖職者的条項を含み、宗教と国家・民主主義の関係をめぐる激しい社会的対立を生んだ。

1932年

ベグム・ロケヤ(ベンガルの女性解放思想家)死去

ベンガルの作家・フェミニスト。小説や随筆でムスリム女性の教育と解放を訴えた。誕生日でもある12月9日は、現在バングラデシュで「ロケヤの日」として記念され、女性の権利と教育の象徴となっている。

1948年

「ジェノサイド罪の防止および処罰に関する条約」採択

国連総会がパリで12月9日に採択した国際条約。ホロコーストなどを経て、「ジェノサイド」を国際犯罪として定義し、締約国に防止・処罰の義務を課した人権法・国際刑法の基礎文書。

1964年

イーディス・シットウェル死去(ロンドン)

英国モダニズム詩の重要人物。実験的な韻律や朗読パフォーマンスで知られ、戦時下には人間的な苦悩と希望をうたう詩へと作風を転じた。彼女のサークルは20世紀英詩の実験場となった。

1965年

『スヌーピーのメリークリスマス(A Charlie Brown Christmas)』テレビ初放送

チャールズ・シュルツ原作『ピーナッツ』初のTVスペシャルとしてCBSで12月9日に放送。ジャズ音楽や静かな語り口、ルカ福音書朗読の場面などが話題となり、アメリカ大衆文化・クリスマス表象に長く影響を与えた。

2015年

国連が「ジェノサイド犯罪の犠牲者の追悼とこの犯罪の防止のための国際デー」(12月9日)を制定

1948年のジェノサイド条約採択日を記念し、犠牲者の尊厳を記憶しつつ、将来のジェノサイド防止への国際的取り組みを促す日として総会決議で設定。記憶・歴史認識と人権教育の観点から重要。

2017年

オーストラリアで同性婚合法化が発効

「Marriage Amendment (Definition and Religious Freedoms) Act 2017」が発効し、婚姻が「男女」から「2人」へと再定義され、12月9日から同性婚が法的に認められるようになった。家族・ジェンダー・人権をめぐる社会意識の変化を象徴する出来事。

ざっくり言えば、この日は

古典文学(ミルトン、漱石、シットウェル)、 フェミニズム(ロケヤ)、 政教分離と世俗国家(フランス・スペイン)、 国際人権法(ジェノサイド条約と記念日)、 大衆文化(スヌーピー)、 現代の人権・家族観の転換(オーストラリアの婚姻平等)

が、不思議と集中している日でもありますね。