かつて12月4日に起こった出来事

749年

東方教会の大神学者 ヨハネス・ダマスケヌス(ダマスコのヨハネ)死去

東ローマ帝国支配下の聖人で、「最後の教父」とも呼ばれる神学者・哲学者。聖像崇敬擁護やマリア神学を体系化した著作は、東方教会だけでなく中世ラテン神学へも橋渡しとなり、ギリシア語神学と後代の西欧思想をつなぐ大きな節目となった。

1563年

トリエント公会議閉会(第25回会期の最終日)

プロテスタント宗教改革に対抗するカトリックの自己改革と教義確立のための大公会議が、この日正式に閉会。聖書と伝承、秘跡、ミサ、聖人崇敬などに関する決定は、近世カトリック神学・典礼・教会制度を規定し、以後数世紀にわたる宗教文化・美術・教育に決定的な影響を与えた。

1795年

スコットランドの思想家 トマス・カーライル誕生

カーライルはエッセイスト・歴史家として『フランス革命史』『衣装哲学』などを著し、英雄観・歴史観・労働観を通してヴィクトリア時代の知識人や芸術家に大きな影響を与えた。「英雄崇拝」論や産業社会批判は、19世紀イギリスの精神史を理解するうえで欠かせない。

1866年

画家 ワシリー・カンディンスキー誕生(ロシア暦4日=新暦16日)

ロシア出身の画家・理論家で、抽象絵画の先駆者とされる。ロシア暦では12月4日に生まれたとされ、この日付はしばしば誕生日として記念される。彼の理論書『芸術における精神的なものについて』や抽象作品群は、20世紀の前衛芸術やバウハウス運動に深い影響を与えた。

1875年

オーストリアの詩人 ライナー・マリア・リルケ誕生(プラハ)

20世紀ドイツ語詩を代表する詩人。『ドゥイノの悲歌』『オルフォイスへのソネット』などで、孤独・死・芸術家の使命といった主題を独自の象徴的言語で表現し、ヨーロッパ近代詩・神秘主義的思索に大きな足跡を残した。

1881年

チャイコフスキー《ヴァイオリン協奏曲ニ長調》初演(ウィーン)

アドルフ・ブロツキー独奏、リヒター指揮ウィーン・フィルによる世界初演。初演時には辛辣な批評も受けたが、その後レパートリーの中心的協奏曲として定着し、ロシア・ロマン派音楽の感性と技巧の頂点を示す作品として、音楽文化史に大きな位置を占めている。

1883年

オーストラリアの作家 キャサリン・スザンナ・プリチャード誕生(フィジー・レブカ)

小説『クーナルドゥー』などで知られる作家で、先住民アボリジニの生活やオーストラリアの労働者階級を描いた社会派文学の先駆け的存在。また共産党共同創設者としても活動し、20世紀オーストラリア文学と政治文化の交差点に立つ人物である。

1906年

アフリカ系アメリカ人初のインターカレッジ友愛会「アルファ・ファイ・アルファ」設立(コーネル大学)

黒人学生のための最初のギリシア文字友愛会として創設され、学術的向上・リーダーシップ・市民権運動を掲げた。のちに多くの公民権運動指導者を輩出し、アフリカ系アメリカ人高等教育・文化・コミュニティ形成の歴史において象徴的な役割を果たす。

1964年

バークレー自由言論運動:スプラウル・ホールでの大規模逮捕

カリフォルニア大学バークレー校での学生占拠に対し、この日警察が突入し約800人が逮捕された出来事は、自由言論運動の頂点としてアメリカの学生運動・市民的自由の象徴となった。大学キャンパスにおける政治的表現の自由をめぐる議論は、その後の高等教育と公共圏の在り方に長期的な影響を与えている。

1976年

イギリスの作曲家 ベンジャミン・ブリテン死去

オペラ《ピーター・グライムズ》や《戦争レクイエム》などで知られ、20世紀イギリス音楽を世界的水準に押し上げた作曲家がこの日逝去。彼の作品は戦争と良心、個の孤独と共同体の問題を深く扱い、近現代ヨーロッパ音楽と平和思想の重要な表現として受け継がれている。