12月2日に起こった、人文学(歴史・文学・宗教・法・芸術)に関わる出来事を10件まとめました。
1409年
ライプツィヒ大学の創設(ドイツ)
プラハ大学から分離したドイツ人学生・教員によって創設された大学で、後にゴットシェート、ライプニッツ、ゲーテ、ワーグナーらが学び・教えた、ヨーロッパ有数の文学・思想・学問の中心地となる。創立日は1409年12月2日。
1697年
ロンドン・セントポール大聖堂の新聖堂(クワイア)の奉献式
ロンドン大火後、クリストファー・レンが設計した新しいセントポールが、1697年12月2日に礼拝に用いられる大聖堂として奉献される。バロック建築の代表作であり、近代ロンドンの宗教・記念儀礼空間として重要な意味をもつ。
1763年
トゥーロー会堂(Touro Synagogue)の献堂(アメリカ・ニューポート)
現存するアメリカ最古のシナゴーグ建築で、セファルディ系ユダヤ人共同体の礼拝所。1763年12月2日に献堂され、後にワシントンの「いかなる迫害もない」宗教自由の書簡とも結びつき、アメリカ宗教自由史の象徴となる。

1766年
スウェーデン「出版の自由法」制定
1766年12月2日にスウェーデン議会が可決した世界初の近代的「出版の自由法」で、検閲の廃止と公文書へのアクセス(情報公開)を定めた画期的立法。言論の自由とジャーナリズム、歴史研究の資料アクセスを保障する法制度の原点の一つ。
1814年
マルキ・ド・サド死去
フランス貴族で作家ド・サドが、パリ近郊の精神病院シャラントンで12月2日に死去。極端な性描写と暴力を通して道徳・権力・欲望を描いた作品群は、後世の文学理論・倫理学・精神分析(バタイユ、フーコーなど)に大きな論争と刺激を与えた。
1854年
テニスン「The Charge of the Light Brigade」執筆
クリミア戦争のバラクラヴァの騎兵突撃を題材としたこの英語叙事詩は、1854年12月2日に初稿が書かれたとされる。わずかな時間で書き上げられたが、「Someone had blunder’d(誰かが大失策をした)」のフレーズに象徴されるように、勇気と愚かな指揮の両方を刻印した近代戦争詩の古典。
1867年
チャールズ・ディケンズ、アメリカで初の公開朗読
ディケンズは1867–68年の第二次アメリカ朗読ツアーを開始し、その最初の朗読を12月2日にボストンのトレモント・テンプルで行った。『クリスマス・キャロル』『ピックウィック・クラブ』から朗読し、作家自らが声と身体で作品を演じる「著者朗読」という近代的な文学パフォーマンス文化を象徴する出来事となった。
1949年
国連「人身取引および他人の売春搾取の抑止に関する条約」採択
国連総会が1949年12月2日に採択した条約で、人身売買と売春の搾取を国際的に禁止しようとするもの。人権・女性の権利・身体の尊厳をめぐる国際法の形成の重要な一歩であり、法学・倫理学・フェミニズム研究と深く関わる。
1985年
フィリップ・ラーキン死去
『The Whitsun Weddings』『High Windows』などで知られるイギリスの詩人ラーキンが、1985年12月2日に死去。戦後イギリスのありふれた日常、孤独、時間の重みを冷静かつ抒情的に描いた作品は、その後の英語詩に大きな影響を与え、象徴的な「ポスト戦後詩人」として再評価され続けている。
1995年
ロバートソン・デイヴィーズ死去
カナダの小説家・劇作家・批評家デイヴィーズが、オンタリオ州オレンジビルで12月2日に死去。『サルトン三部作』『デプトフォード三部作』『コーニッシュ三部作』などを通して、カナダ社会の精神世界・宗教・神話・演劇文化を描き、カナダ文学の自意識と「教養小説」の可能性を大きく押し広げた。