12月1日に起こった、人文学(文学・思想・宗教・文化史など)に関わる主な出来事を10件挙げます。
1887年
コナン・ドイル『緋色の研究』が雑誌に掲載され、シャーロック・ホームズが初登場
探偵小説史を切り開いたホームズ物語の第1作が世に出た日。以後の推理小説・大衆文学・ポピュラーカルチャーに決定的な影響を与えた。
1895年
イギリスの小説家ヘンリー・ウィリアムソン誕生
第一次世界大戦体験と自然描写を融合した『オッターのタルカ』などで知られ、20世紀イギリス文学における自然・戦争表象研究の重要な対象となっている。
1935年
カナダの作家ジョージ・バウアリング誕生
小説・詩・歴史・伝記など多ジャンルで活躍し、カナダ初の「国会詩人(Poet Laureate)」を務めた。カナダ文学と詩学の発展を象徴する人物。
1948年
新約聖書学者 N.T.ライト誕生
パウロ研究や「神の国」理解をめぐる著作で世界的に影響力を持つ英国の神学者・主教。近現代の聖書解釈学・歴史的イエス研究に大きな議論を生み出している。

1949年
絵本作家・イラストレーター、ジャン・ブレット誕生
動物や民話モチーフの豊かな挿絵で知られ、世界中の子ども読者に愛される絵本作家。児童文学・絵本研究における図像表現の好例となっている。
1952年
ニューヨーク・デイリーニュース紙がクリスティーン・ヨルゲンセンの性別適合手術を大々的に報道
性別移行をめぐる最初期の世界的ニュースとして、ジェンダー・セクシュアリティ研究やメディア研究において象徴的な出来事。トランスジェンダー表象史の転換点となった。
1955年
ローザ・パークス、モンゴメリーのバスで席を譲ることを拒否し逮捕
アメリカ公民権運動の象徴的事件であり、非暴力抵抗・人種差別・市民的不服従をめぐる倫理・思想・社会史の核心的事例。文学・映画・説教・記念日など多くの文化表現を生み出した。
1987年
作家・批評家ジェイムズ・ボールドウィン死去
『もう一つの国』『次の炎』などで、人種・セクシュアリティ・信仰を横断する鋭いエッセイと小説を残した思想家の死。アフリカ系アメリカ文学・クィア研究・ポストコロニアル批評に今も強い影響を与えている。
1989年
世界エイズデーと連動した「Day Without Art(芸術なき日)」が初めて実施される
視覚芸術界がエイズ危機に応答する国際的アクションとして始まり、多くの美術館が作品を覆う・消灯するなどの行為を通して、アートと社会正義・追悼・記憶の関係を可視化した。
2016年
ヨガと、日本の「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録
12月1日付で、インドの「ヨガ」と日本各地の山車祭礼が「人類の無形文化遺産代表リスト」に正式登録。身体技法・宗教儀礼・都市祭礼など、生活文化を人文学的遺産として捉える国際的枠組みが強化された。