11月30日の「人文学的」な出来事を、代表的なものを10件選んでみました。
538/539年ごろ
グレゴリウス(トゥールのグレゴリウス)誕生(フランク王国の司教・歴史家)
『歴史十巻(フランク史)』の著者で、「フランス史の父」とも呼ばれる。メロヴィング朝フランク王国を知る最重要史料を残し、中世史研究の基礎を形づくった。
1554年
サー・フィリップ・シドニー誕生(イングランド詩人・廷臣)
ソネット連作『アストロフェルとステラ』や批評書『詩の弁護』によって、エリザベス朝文学と英語詩学の規範を築いた。「理想的廷臣」としてルネサンス的人文主義の象徴でもある。
1667年
ジョナサン・スウィフト誕生(アイルランドの風刺作家)
『ガリヴァー旅行記』『狂気じみた提案』などで、鋭い社会・宗教批判を展開した英語圏最大級の散文風刺作家。近代政治風刺とパンフレット文学の古典的スタイルを確立した。
1817年
テオドール・モムゼン誕生(ドイツの古典文献学者・歴史家)
『ローマ史』などで碑文資料を駆使し、古代ローマ研究を一変させた。1902年ノーベル文学賞(歴史著作)受賞者であり、「歴史叙述も文学である」ことを体現した存在。

1835年
サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(マーク・トウェイン)誕生
『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』を著し、「アメリカ文学の父」と称される。口語的英語とユーモアで、大衆文化と高尚文学の境界を越えた。
1874年
ルーシー・モード・モンゴメリ誕生(カナダの小説家)
『赤毛のアン』をはじめとする作品群で、少女文学とカナダ文学を世界的に知らしめた。孤児・女性・地方共同体の経験を繊細に描き、ジェンダーとアイデンティティ研究にも大きな素材を提供している。
1874年
ウィンストン・チャーチル誕生(英国政治家・歴史家・ノーベル文学賞作家)
第二次世界大戦の指導者であると同時に、戦史・回想録・演説で「歴史を書く政治家」としても活躍。第二次大戦史などの著作と雄弁なスピーチにより1953年ノーベル文学賞を受賞した。
1900年
オスカー・ワイルド死去(パリ)
『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』などで知られるアイルランド出身の劇作家・詩人。彼の死は、ヴィクトリア朝の道徳観と同性愛差別の歴史、そしてデカダンス文化の終焉を象徴する出来事として記憶されている。
2000年
ユネスコ世界遺産委員会、琉球王国のグスク及び関連遺産群(首里城ほか)を世界遺産に登録
2000年11月30日、首里城跡など琉球王国ゆかりの城郭・遺跡群が世界文化遺産に登録され、琉球の独自の歴史・文化が国際的に承認された。日本列島内の多元的な歴史像を考えるうえでも重要。
2006年
「飛鳥・藤原の宮都と関連遺跡群」が世界遺産暫定リスト追加候補として正式提案される(日本)
2006年11月30日、日本政府が奈良県の古代都城遺跡群をユネスコ世界遺産暫定リストの追加候補として提出。古代日本の政治・宗教・都市文化を示す考古学的遺産として、その保護と研究が国際的課題となった。