AI創:『広場の恋の騒動』

広場の恋の騒動

「Hesterna vidi spatiantem luce puellam, illa quae Danai porticus omnis erat」

ガイウス・ウェルス・アモルは、昨日見た光景を思い出しながら溜息をついた。昨日、陽の光のなかで歩いている娘を見かけた。あの娘だ、広場中の注目を集めるあの娘を。彼女の名前はフラウィア。フォルム・ロマヌムを歩けば、まるで女神ディアナが降臨したかのように、すべての視線が彼女に注がれる。

「また今日も来るかもしれない」

ガイウスは身だしなみを整え、最高の托司をまとい、髪に香油をつけて広場へ向かった。彼は裕福な商人の息子で、詩作を趣味とする青年だったが、恋愛においては全くの素人だった。

フォルムに着くと、既に何人かの男たちが柱の陰や商店の前でそわそわしている。皆、同じ目的だと一目でわかった。

「おい、今日も彼女を待っているのか?」

振り返ると、友人のマルクスが苦笑いを浮かべていた。

「ばれてしまったか」ガイウスは赤面した。

「広場中の男どもが同じことを考えているよ。見ろ、あのルキウスなんて昨日から柱にもたれたまま動いていない」

確かに、向こうでは別の青年が大理石の柱に寄りかかり、きょろきょろと辺りを見回している。その隣では、年配の元老院議員までが不自然にゆっくりと歩いている。

「しかし君は詩人だろう?詩で彼女の心を射止めればいい」マルクスが提案した。

「それは考えた。でも何と言えばいいのやら…」

「簡単だ。『君の美しさは太陽よりも輝いている』とか、『君は Venus の化身だ』とか」

「それは陳腐過ぎる」

「では『君の瞳は夜空の星のようだ』は?」

「それも使い古されている」

二人が議論していると、突然広場がざわめき始めた。フラウィアが現れたのだ。白いストラを纏い、優雅に石畳を歩く彼女の姿は、まさに詩そのものだった。

瞬時に、隠れていた男たちが一斉に動き出した。まるで軍隊の突撃のように。

最初に辿り着いたのはルキウスだった。「美しいお嬢様!あなたの輝きは…」

だが彼は緊張のあまり言葉に詰まってしまった。

次に元老院議員のクラッスス老人が威厳を持って近づいた。「若いお嬢さん、私は元老院議員の…」

「おじいさま、お薬の時間ですよ」

突然現れた老人の妻らしき女性が、彼の腕を掴んで引きずっていった。

その隙に、別の青年が花束を差し出した。「これは私の心の象徴です!」

だが興奮のあまり花束を落としてしまい、花びらが石畳に散った。

ガイウスは遠くから眺めながら、次々と玉砕していく男たちを見て考え込んだ。直接的なアプローチは明らかに効果がない。

そこで彼は機転を利かせた。フラウィアが通る道の途中にある書店に駆け込み、店主に頼んで詩集を朗読させてもらった。

「詩人ガイウスの新作です!」店主が大声で宣伝した。

ガイウスは声を張り上げて朗読を始めた。

「昨日見た美しき人よ、汝は広場の太陽なり…」

フラウィアは足を止めた。詩に興味があるらしい。

「続きを聞かせてください」彼女が微笑んだ。

他の男たちは呆然としていた。まさか詩で彼女の注意を引けるとは思わなかったのだ。

ガイウスは得意になって続けた。「汝の歩む姿は春風のごとく、汝の笑顔は花々を咲かせ…」

「素敵な詩ですね。ところで、私も詩を書くのです」フラウィアが言った。

「本当ですか!」

「ええ。実は詩人を探していたのです。私の詩集を出版してくれる人を」

ガイウスの顔が青ざめた。恋ではなく、商売の話だったのか。

「私の父は出版業者なのです。毎日広場を歩いているのは、才能ある詩人を見つけるためでした」

周りで聞いていた男たちもがっくりと肩を落とした。恋の相手ではなく、ビジネスパートナーを探していたのだ。

「でも」フラウィアは微笑んだ。「あなたの詩は本当に素敵です。今度お時間があるときに、詩について語り合いませんか?」

ガイウスの顔が再び輝いた。結果的には成功だったのかもしれない。

その夜、ガイウスは新しい詩を書いた。

「Hesterna vidi spatiantem luce puellam…昨日見た娘は、恋人ではなく詩の友となりぬ。されど、友情もまた美しき愛の一つなり」

翌日、広場の男たちはみな別の場所で恋を探していた。ただし、今度は詩集を小脇に抱えて。フラウィアの影響で、広場の男たちは皆、詩人を気取るようになったのだった。

フォルム・ロマヌムは相変わらず賑やかだったが、今度は恋の詩を朗読する声があちこちから聞こえてくる。石畳に響く新しい調べとなって。