かつて7月9日に起こった出来事

1762

ロシア近代化を推進した啓蒙君主 エカチェリーナ2世 がサンクトペテルブルクで宮廷クーデタを起こし、皇帝ピョートル3世を退位させて即位。女性統治と啓蒙専制の象徴となり、文学サークルの保護や教育改革を促進した。

1793

英領上カナダ議会が 「奴隷制制限法(Act Against Slavery)」 を可決。英帝国圏で初めて奴隷輸入を禁止し、生まれた子を25歳で解放すると定め、のちの全面廃奴運動の道を開いた。

1816

南米トゥクマン会議が アルゼンチン独立宣言 を採択。スペイン植民地体制からの離脱を掲げ、ラテンアメリカ独立思想とクレオール・ナショナリズムを加速させた。

1868

米国憲法 第14修正条項 が批准され、「出生地主義による市民権」と法の下の平等を明文化。奴隷解放後の黒人の法的地位を根本から転換し、現代まで続く人権・公民権論の基盤となった。

1900

ヴィクトリア女王が 「オーストラリア連邦憲法法」 に王室裁可を与え、1901年1月の連邦成立を可能に。自治領の憲法制定を通じ、大英帝国から議会制民主主義を継承した新国家文化の礎に。

1937

ニュージャージー州リトルフェリーの倉庫で 20世紀フォックス映画保管庫火災(Fox vault fire)発生。硝酸セルロイド・フィルムが発火し、無声映画のオリジナルネガ多数が失われた事件が、映画保存学とアーカイブ安全基準の転換点に。

1955

ロンドンで ラッセル=アインシュタイン宣言 が発表され、核兵器廃絶を訴えた科学者・知識人の国際的平和運動が始動。後のパグウォッシュ会議(1957)へと発展し、「人類と核の危機」をめぐる倫理・国際関係論を深化させた。

1986

ニュージーランド議会が 同性愛法改革法(Homosexual Law Reform Act) を可決。男性同士の同意ある性行為を非犯罪化し、オセアニアにおけるLGBT人権法制の転機となった。

2002

南アフリカ・ダーバンで アフリカ連合(AU) が正式発足し、OAUに代わる大陸統合機構が誕生。汎アフリカ主義・地域統合研究の新章を開いた。

2011

住民投票を経て 南スーダン共和国 がスーダンから独立。植民地主義後の国民国家形成と民族自決をめぐる議論を21世紀に再燃させた。

これらの出来事は、政治思想・人権・宗教・ジェンダー・文化遺産・平和運動など、人文学の多様な領域で「7月9日」が残した節目を示しています。