AI寓話-マルティアリスのエプグラムから第一部『銀貨の響き、言葉の重み』

登場人物:

  • マルスス:貧しい詩人。機知と誇りを武器に、詩で世を渡る。
  • リカニウス:裕福な成金。ローマ郊外に大邸宅を持つ。
  • 奴隷キトゥス:リカニウスの忠実な召使い。

Ⅰ. 招かれざる夕餉

ある晩、マルススはリカニウスの豪邸に招かれた。だがそれは、友情からではなかった。詩人を「話の種」として連れて来ることで、彼の宴に「教養」の香りを添えたかったのだ。

リカニウスは言った。

「君の詩は読まんが、皆が君を知ってる。

だから来てもらったのだよ、装飾としてね。」

マルススは静かに答えた。

Pauper amicus erat: nunc est tibi dives amicus.

A facie cognoscis, Calliodore, Deum.

「かつては貧しい友もいたな。今の友は、顔で神を見分けるように、金で選んでいる。」

リカニウスは笑いながら銀貨を2枚置いた。

「語るな、詩人よ。君の言葉の価値は、これくらいか?」

Ⅱ. 群がる影

夜が更けると、客人たちはマルススの周囲に群がった。

彼らは詩ではなく、リカニウスのワインと香水に酔っていた。

「君の詩集はどこで買える?」

「いや、無料で聴かせてくれよ。名声の代わりに!」

マルススは立ち上がり、杯を置いた。

Non bene olet, qui bene semper olet.

「常に香る者は、もはや香らぬ。」

彼は香水臭い空気を払いのけて、戸口へと向かった。

Ⅲ. 詩人の勝利

翌朝、マルススはフォルムにて朗読した。市民たちは耳を傾け、笑い、泣いた。

誰かが訊いた。「昨夜の宴はいかがだった?」

マルススは一言だけ答えた。

Cena ministerio non eget tua, Caeciliane:

Sed puer et chlamys est et latere et capulo.

「昨夜の主(あるじ)は、奴隷一人で事足りた。

なにしろ、彼はマントにも、剣にも、会話相手にもなったから。」

群衆が笑いに沸く中、詩人は静かに去った。

リカニウスはその日、銀貨を数えながら思った。

「彼の詩が、私の富よりも人を集めるとは。」

終わりに

マルティアリスのエピグラムは、時に短剣のように、時に笑いのうちに、社会の不条理を突き刺します。この物語は、現代にも響く「価値とは何か」を問いかける小さな寓話です。