Omnia misisti mihi Saturnalibus, Umber, munera, contulerant quae tibi quinque dies, bis senos triplices et dentiscalpia septem: his comes accessit spongea, mappa, calix, semiceniumque fabae cum parte lacerti et Libycae fici pondere quarta novi. Vix puto triginta nummorum tota fuisse munera, quae grandes octo tulere Syri. Quanto commodius nullo mihi ferre labore argenti potuit pondera quinque puer!
(Epigrammata, VII.53)
Claude3.5Sonnetによる翻訳
このマルティアリスの有名なエピグラマの解釈を行います:
文法的解釈(主要部分):
1-2行目:
Omnia munera (対格) = すべての贈り物を
misisti (完了形) = あなたは送った
Saturnalibus (奪格) = サトゥルナリア祭で
quae (関係代名詞) = それらを
contulerant (大過去) = 集めていた
quinque dies = 5日間
3-6行目:
bis senos triplices (対格) = 12の折り畳み板
dentiscalpia septem (対格) = 7本の楊枝
his comes accessit (完了形) = これらに加わった
spongea, mappa, calix (主格) = スポンジ、ナプキン、杯
semicenium fabae = 半分の豆
cum parte lacerti = 魚の切り身とともに
Libycae fici = リビアのイチジクの
pondere quarta = 4分の1の重さ
7-8行目:
Vix puto (現在形) = かろうじて私は考える
triginta nummorum = 30枚の銅貨
tota munera fuisse = すべての贈り物だったと
quae grandes octo tulere Syri = 8人の大柄なシリア人が運んだ
9-10行目:
Quanto commodius = どれほど都合よく
nullo labore = 労力なしに
potuit ferre = 運べただろうに
pondera quinque argenti = 5枚の銀貨を
puer = 少年が
日本語訳:
「ウンベルよ、あなたは私にサトゥルナリア祭のすべての贈り物を送った。
それらは5日かけて集められたもの。
12の折り畳み板と7本の楊枝、
それにスポンジ、ナプキン、杯が加わり、
半分の豆に魚の切り身、
そしてリビアの新鮮なイチジクが4分の1ポンド。
すべての贈り物は30枚の銅貨にも満たなかっただろう、
それを8人の大柄なシリア人が運んできた。
どれほど楽に、労力もかけずに、
少年一人が5枚の銀貨を持ってこられただろうに!」
解説:
この詩は、サトゥルナリア祭(古代ローマの祝祭)での贈り物の習慣を風刺したものです。主なポイントは:
- 価値の低い多数の贈り物を列挙することで、その些末さを強調
- 8人もの大柄な運び手が必要だったという誇張表現で、贈り物の数の多さと価値の低さを対比
- 最後の2行で、単純に金銭を贈る方が効率的だったという実践的な提案をすることで、皮肉の効果を高めている
- 贈り物の形式的な面を重視し、実質を軽視する当時の社会習慣への批判
マルティアリスは、このような風刺を通じて、形式的な社交の無意味さを指摘し、同時代の社会習慣を批判的に描いています。
サトゥルナリア祭での市場
サトゥルナリア祭での市場開催について、その特徴と背景を説明いたします。
サトゥルナリア祭は12月17日から始まり、後には23日まで続く冬の祭りでした。この時期の市場には以下のような特徴がありました:
サトゥルナリア祭の市場の特徴:
- ギフト用品の専門市場(シギッラリア)が開催され、蝋製の人形や小さな贈り物用の品々が多く取引されました。この市場は祭りの最終日に特に賑わいを見せました。
- 通常の社会秩序が一時的に逆転する祭りの性質を反映し、市場でも普段とは異なる取引形態が見られました。
背景となる社会的・宗教的意味:
- 農耕神サトゥルヌスを祀る祭りとして始まり、豊穣と富の分配を象徴する意味がありました。
- 奴隷と主人の立場が一時的に逆転するという祭りの特徴が、市場での取引にも影響を与え、より開放的な雰囲気での取引が行われました。
この時期の市場は、単なる商取引の場を超えて、祝祭的な性格を持つ社交の場としても機能しました。人々は贈り物を交換し、富の再分配という祭りの本来の意味を体現していたと考えられます。
サトゥルナリア祭の市場は、ローマ社会の経済活動と宗教的祝祭が融合した特徴的な例として、重要な意味を持っていました。
ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。