マルティアリスのエピグラムと古代ローマ ⅩⅧ

Cogit me Titus actitare causas et dicit mihi saepe ‘magna res est.’ Res magna est, Tite, quam facit colonus.

このマルティアリスのエピグラマを文法的に解釈し、翻訳します。

Claude3.5Sonnetによる翻訳


文法解析:

1行目:

  • Cogit (cogere動詞の3人称単数現在形) = 強いる
  • me (人称代名詞対格) = 私を
  • Titus (主格) = ティトゥスが
  • actitare (不定詞) = 弁護することを
  • causas (複数対格) = 訴訟を

2行目:

  • et (接続詞) = そして
  • dicit (dicere動詞の3人称単数現在形) = 言う
  • mihi (人称代名詞与格) = 私に
  • saepe (副詞) = しばしば
  • magna (形容詞女性単数主格) = 大きな
  • res (女性単数主格) = こと、仕事
  • est (esse動詞の3人称単数現在形) = である

3行目:

  • Res (女性単数主格) = こと、仕事
  • magna (形容詞女性単数主格) = 大きな
  • est (esse動詞の3人称単数現在形) = である
  • Tite (呼格) = ティトゥスよ
  • quam (関係代名詞女性単数対格) = それを
  • facit (facere動詞の3人称単数現在形) = する
  • colonus (主格) = 農夫が

日本語訳: 「ティトゥスは私に訴訟の弁護を強いる そして私にしばしば『それは重要な仕事だ』と言う。 ティトゥスよ、農夫がする仕事こそが重要なのだ。」

このエピグラマは、都会的な法廷活動と農業労働を対比させ、真に価値ある仕事とは何かを問いかけています。”res magna”(重要な仕事)という表現を繰り返しながら、実際に価値があるのは食料を生産する農夫の仕事だと主張する風刺詩となっています。法廷弁護士の仕事を重要視する当時の社会通念に対する批判でもあります。

古代ローマの価値観


古代ローマにおける価値観について、主要な観点から説明します:

  1. 公的・社会的価値
  • Virtus(徳、男らしさ)
  • 軍事的勇気
  • 公共への献身
  • 道徳的品性
  • Dignitas(威厳)
  • 社会的地位
  • 名誉ある行動
  • 公職での功績
  • Pietas(敬虔さ)
  • 神々への崇敬
  • 家族への献身
  • 祖国への忠誠
  1. 経済的価値
  • 土地所有
  • 特に農地の所有は最も高貴
  • 不動産投資
  • 正当な商業活動
  • ただし上流階級は直接的な商売を避ける
  • 奴隷所有
  1. 教養的価値
  • Humanitas(教養)
  • ギリシャ・ラテン文学の知識
  • 修辞学の習得
  • 哲学的素養
  • Eloquentia(雄弁)
  • 法廷での弁論能力
  • 公的演説の技術
  1. 家族的価値
  • Familia(家族)の維持・発展
  • 家系の継続
  • 祖先崇拝
  • 家族の名誉
  1. 政治的価値
  • 公職での功績
  • 政治的影響力
  • パトロン・クライアント関係の維持
  • 元老院での地位
  1. 道徳的価値
  • Gravitas(重厳さ)
  • Constantia(不動心)
  • Moderatio(節度)
  • Fides(信義)
  1. 職業的評価
    高い評価:
  • 政治家
  • 軍人
  • 法律家
  • 地主

低い評価:

  • 商人(特に小売商)
  • 職人
  • 芸人
  • 高利貸し
  1. 文化的価値
  • 文学的素養
  • ギリシャ文化の理解
  • 芸術の庇護
  • 建築による貢献

これらの価値観は時代や社会層によって変化があり、また理想と現実の乖離も存在したことに注意が必要です。特に共和政末期から帝政期にかけて、伝統的な価値観と新しい価値観の衝突や融合が見られました。

また、これらの価値観は主に支配層や上流階級の視点から記録されたものであり、一般市民の価値観とは異なる可能性があることにも留意が必要です。


ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。