この『アエネーイス』3-①冒頭のカルタゴ紹介の最初の部分を、より詳しく分析してみましょう。

“Urbs antiqua fuit, Tyrii tenuere coloni, / Karthago”
文法的解釈:
- Urbs: 主格単数「都市」
- antiqua: 形容詞・主格単数女性「古い」
- fuit: sum の完了形「あった」
- Tyrii: 形容詞・主格複数男性「テュロスの」
- tenuere = tenuerunt: teneo の完了形「保持した」「占めた」
- coloni: 主格複数「植民者たち」
- Karthago: 同格「カルタゴ」
詩的特徴:
- fuit で始まる物語的な過去の提示は、叙事詩の伝統的手法
- Tyrii colonī という表現は、カルタゴの起源(フェニキアのテュロス)を示す
- 同格による都市名の遅延提示(Karthago)は、サスペンスを生む修辞的効果
日本語訳:
「古い都市があった、テュロスの植民者たちが占めていた都、カルタゴが」
この導入部は、物語の重要な舞台となるカルタゴを、その歴史的背景(テュロスからの植民)とともに印象的に提示しています。fuit(あった)という完了形の使用は、この都市の運命的な滅びを暗示する効果も持っています。