tot adire labores / impulerit

『アエネーイス』の続きを分析しましょう。

“tot adire labores / impulerit”

文法的解釈:

  • tot: 形容詞「かくも多くの」
  • adire: 不定法「向かう」「立ち向かう」
  • labores: 対格複数「労苦」「試練」
  • impulerit: impello の完了接続法・3人称単数「駆り立てた」
    • 間接疑問文中で使用されているため接続法

この部分は先行する節に続いており、全体の文法構造は以下のようになっています:
quo numine laeso … impulerit (どのような神意が傷つけられて…駆り立てたのか)

日本語訳:
「かくも多くの労苦に立ち向かうよう(彼を)駆り立てたのか」

先行部分と合わせた意訳:
「どのような神意が傷つけられ、あるいは何に苦しんで、神々の女王は、敬虔なる者(アエネーアース)をしてかくも多くの災難と労苦に立ち向かわせたのか」

この一節は叙事詩の主題提示部分であり、主人公アエネーアースが直面する数々の試練の背景にある神意(特にユーノーの怒り)への問いかけとなっています。