quidve dolens, regina deum tot volvere casus / insignem pietate virum”

『アエネーイス』の続く行を分析していきましょう。

“quidve dolens, regina deum tot volvere casus / insignem pietate virum”

文法的解釈:

  • quidve: quid (何を) + -ve (または)「あるいは何を」
  • dolens: 現在分詞・主格「苦しんで」
  • regina: 主格「女王」
  • deum: deorum の縮約形・属格複数「神々の」
  • tot: 形容詞「かくも多くの」
  • volvere: 不定法「巡らせる」「経験させる」
  • casus: 対格複数「災難を」
  • insignem: 対格単数「際立った」
  • pietate: 奪格「敬虔さにおいて」
  • virum: 対格単数「男を」(アエネーアースを指す)

日本語訳:
「あるいは何に苦しんで、神々の女王は、敬虔さにおいて傑出した男(アエネーアース)に、かくも多くの災難を経験させたのか」

この部分は前の行から続く疑問文の一部で、ユーノー(ユピテルの妻で神々の女王)がなぜそれほどまでにアエネーアースを苦しめたのかという問いかけを展開しています。insignem pietate(敬虔さにおいて傑出した)という表現は、アエネーアースの重要な性格付けとなっています。