このウェルギリウスの『アエネーイス』の冒頭行ですね。ラテン語の文法構造と日本語訳を分析していきましょう。

“Musa, mihi causas memora, quo numine laeso”
文法的解釈:
- Musa: 呼格 (呼びかけ)「ムーサよ」
- mihi: 与格「私に」
- causas: 対格・複数「理由を」
- memora: 命令法現在・第2活用「語れ」
- quo numine: 奪格「どのような神意が」
- laeso: 完了分詞・奪格「傷つけられて」
日本語訳:
「ムーサ(詩の女神)よ、私に理由を語れ、どのような神意が傷つけられて(このようなことが起こったのか)」
この一行は叙事詩の伝統的な冒頭句で、詩人が詩神ムーサに霊感を求める呼びかけとなっています。文全体は「なぜユーノー女神がそれほどの怒りを持ってアエネーアースを苦しめたのか」という問いかけの始まりです。