1916年12月29日、『若い芸術家の肖像』は、アメリカのB.W.ヒューブシュ社から出版されました。

この小説は、ダブリンに住む少年スティーヴン・ディーダラスの幼年期から青年期までを描いた半自伝的作品です。主人公の精神的・芸術的成長を通じて、当時のアイルランドの宗教、政治、文化、そして芸術について深く掘り下げています。
特徴的な点として:
- 意識の流れの手法を取り入れ、主人公の心理や感覚を詳細に描写
- 言語表現が主人公の成長とともに変化し、幼年期の単純な文体から複雑な表現へと発展
- カトリック教育、アイルランドのナショナリズム、芸術家としての使命など、多層的なテーマを扱う
- 作家としてのジョイス自身の芸術観が色濃く反映されている
初めに『スティーヴン・ヒーロー』として執筆されましたが、ジョイスはこれを破棄し、新たに書き直しました。1914-15年に文芸誌『エゴイスト』で連載された後、単行本として出版されています。
この作品は、後の『ユリシーズ』につながる実験的手法を確立した重要な作品として、現代文学に大きな影響を与えました。モダニズム文学の代表作の一つとして高く評価されています。