『貧しいリチャードの暦』(Poor Richard’s Almanack)は、1732年12月に、ベンジャミン・フランクリンによって初めて発行されました。

フランクリンは「リチャード・ソーンダーズ」というペンネームを使用し、天気予報、天文情報、家事のヒント、格言、詩などを掲載した年間暦を編集しました。
特に注目すべき点は、フランクリンが独自の格言を数多く考案し、それらを暦の中に巧みに織り込んだことです。例えば:
- 「早寝早起きは人を健康で裕福で賢明にする」
- 「時は金なり」
- 「明日できることを今日するな」
などの格言は、今でも広く知られています。
この暦は毎年約1万部が売れる人気出版物となり、25年間にわたって発行され続けました。内容は実用的で分かりやすく、当時の一般市民の間で広く読まれ、アメリカの庶民文化に大きな影響を与えました。
フランクリンはこの暦を通じて、勤勉、倹約、自己改善といった価値観を広め、これらの価値観は後にアメリカの国民性の重要な要素となっていきました。
『貧しいリチャードの暦』の成功は、フランクリンに経済的な成功をもたらしただけでなく、彼の作家、出版者としての名声を確立する重要な足がかりとなりました。