Passer, deliciae meae puellae

カトゥッルスの「すずめ」詩(カルメン2番)の分析を日本語に訳させていただきます。

カトゥッルス カルメン2 – 「すずめ」の分析

原文

Passer, deliciae meae puellae, quicum ludere, quem in sinu tenere, cui primum digitum dare appetenti et acris solet incitare morsus, cum desiderio meo nitenti carum nescio quid lubet iocari et solaciolum sui doloris, credo, ut tum gravis acquiescat ardor...

カトゥッルスの「すずめ」詩(カルメン2番)の日本語訳を以下に示します:

すずめよ、私の愛しい少女の喜び、 彼女と遊び、彼女の胸に抱かれ、 欲しがる彼に人差し指を与え、 鋭い噛みつきをかきたてるのを常とする。

私の輝く恋人が 何か愛しいものと戯れたがり、 そして自らの悲しみの小さな慰めとなるとき、 私は信じる、そのとき重い情熱が和らぐのだと。

この詩は、カトゥッルスの恋人とそのペットのすずめとの親密な関係を描写しています。詩人は、すずめと少女の遊びを通して、愛情、親密さ、そして恋愛の喜びと苦しみを巧みに表現しています。

詩の中で使われている「すずめ」(passer)は、実際のペットとしての意味と、愛や欲望の比喩的表現としての両方の解釈が可能です。この多層的な意味合いが、詩に深みと解釈の余地を与えています。

文法分析

1行目: “Passer, deliciae meae puellae”

  • Passer(主格単数):「すずめ」- 主語
  • deliciae(主格複数):「愛玩物/ペット」- 述語的主格
  • meae(属格単数女性):「私の」- puellaeを修飾
  • puellae(属格単数):「少女の」- 所有を表す属格

2行目: “quicum ludere, quem in sinu tenere”

  • quicum(cum接語辞を伴う奪格):「それと共に」
  • ludere(現在不定詞):「遊ぶ」- 補足的不定詞
  • quem(対格単数):「それを」- 直接目的語
  • in sinu(前置詞句):「膝の上に/胸に」
  • tenere(現在不定詞):「抱く」- ludereと並列

3-4行目: “cui primum digitum dare appetenti / et acris solet incitare morsus”

  • cui(与格単数):「それに」- 間接目的語
  • primum digitum(対格単数):「人差し指」- 直接目的語
  • dare(現在不定詞):「与える」
  • appetenti(現在分詞、与格):「欲しがっている(鳥)に」
  • acris morsus(対格複数):「鋭い噛みつき」
  • solet(3人称単数):「常である」
  • incitare(現在不定詞):「かきたてる」

詩的分析

この詩は、カトゥッルスの11音節詩における巧みさを示し、親密な家庭的場面を創造する彼の能力を実証しています。すずめ(passer)は、実際のペットと愛や欲望の比喩的表現の両方として機能しています。主な詩的技法には以下が含まれます:

  1. 愛情を表現する指小辞(solaciolum)の使用
  2. 頭韻(primum…puellae)
  3. 感情的内容を強調する緻密な語の配置

文化的背景

鳥、特にすずめは、ローマの恋愛詩において特別な意味を持っていました。これらは以下のものと結びつけられていました:

  • ロマンティックな愛
  • 遊び心のある性的表現
  • 家庭的な愛情

この詩の舞台設定である古代ローマの私的領域は、当時の個人的関係やペット飼育の習慣についての洞察を提供しています。

解釈の可能性

学者たちは「passer」(すずめ)の解釈について議論を重ねています:

  1. 文字通りのペットとしてのすずめ
  2. 愛の象徴としての比喩的解釈
  3. 性的な含意を持つ掛け言葉としての解釈

これらの解釈それぞれが、テキストの証拠と当時の文学的慣習によって支持されています。