プロティノス(Plotinus、204/5年 – 270年)は、古代ローマの哲学者で、新プラトン主義の創始者として知られています。以下にプロティノスについての詳細を示します:
- 生涯:エジプトのリコポリスで生まれ、アレクサンドリアで学び、後にローマで教鞭を執りました。
- 哲学的立場:プラトンの思想を基礎としつつ、より神秘主義的な解釈を加えました。彼の哲学は、一者(The One)、知性(Nous)、魂(Soul)という三つの原理を中心に構築されています。
- 主要な著作:『エンネアデス』(Enneads)- 弟子のポルフュリオスによって編纂された54の論考を6つの9篇からなる書として整理したもの。
- 形而上学:プロティノスは、すべての存在の源泉である「一者」から、段階的に現実世界が流出すると考えました。この考えは「流出論」として知られています。
- 倫理観と神秘主義:魂の浄化と「一者」との合一を究極の目標としました。瞑想や内省を通じて、この合一体験(エクスタシス)に到達できると考えました。
- 後世への影響:プロティノスの思想は、中世のキリスト教神学、イスラム哲学、ルネサンス期の人文主義に大きな影響を与えました。
プロティノスの哲学は、形而上学的な深みと神秘主義的な洞察を併せ持つ点で特徴的であり、西洋思想史上重要な位置を占めています。

プロティノスは主にギリシャ語で著述を行った新プラトン主義の哲学者ですが、彼の思想はラテン語に翻訳され、後世に大きな影響を与えました。そのため、プロティノスの思想を表すラテン語のフレーズを一つ紹介します。
“Omnia contemplatio”
この言葉は、プロティノスの哲学の核心を表す言葉として後世のラテン語文献で使われることがあります。日本語に訳すと、「すべては観照である」という意味になります。
文法的解釈:
- Omnia: 形容詞omnis(すべての)の中性複数主格または対格。ここでは主語として機能し、「すべてのもの」を意味します。
- contemplatio: 女性名詞単数主格で「観照」「瞑想的思考」「精神的な見つめ」を意味します。
この短い文は、名詞文(コプラ動詞”est”が省略されている)の形を取っています。完全な文としては “Omnia (est) contemplatio” となります。
この言葉は、プロティノスの思想における重要な概念を簡潔に表現しています。プロティノスは、究極の実在(一者)から流出する世界のすべてが、精神的な観照の過程であると考えました。この観照を通じて、魂は一者へと回帰していくのです。