1904年6月16日、アイルランドの作家ジェームズ・ジョイスは、将来の妻となるノラ・バーナクルと初めて出会いました。この出会いは、ジョイスの人生と作品に大きな影響を与えました。
ジェームズ・ジョイスは、1882年にダブリンで生まれました。彼は若い頃からアイルランドの政治的・文化的状況に強い関心を持ち、アイルランドの独立と言語の復興を支持していました。一方、ノラ・バーナクルは、ガルウェイ出身の女性で、当時ダブリンのフィン・ホテルで働いていました。
1904年6月10日、ジョイスはノラに声をかけましたが、ノラは応じませんでした。しかし、6月16日に再会した際、二人は意気投合し、デートの約束をしました。この日は、後にジョイスの代表作『ユリシーズ』の舞台となる日付で、「ブルームズデイ」と呼ばれています。
ジョイスとノラは1904年10月に一緒にアイルランドを離れ、大陸での生活を始めました。二人は1931年に正式に結婚するまで、自由な関係を続けました。ノラは、ジョイスの作品の重要なインスピレーション源となり、特に『ユリシーズ』のモリー・ブルームのモデルになったと言われています。
ジョイスは、ノラとの関係を通じて、女性の性や心理に対する洞察を深めました。また、ノラの言葉や表現は、ジョイスの作品の言語表現に影響を与えました。二人の手紙のやり取りは、ジョイスの内面や創作過程を知る上で貴重な資料となっています。
ジョイスとノラの出会いは、20世紀文学史における重要な出来事の一つです。この出会いがなければ、『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』といったジョイスの傑作は、別の形になっていたかもしれません。1904年6月16日は、ジョイスの人生とモダニズム文学の歴史において、象徴的な日付となっています。