2001年6月7日、アメリカ合衆国最高裁判所は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって略奪された美術品の所有権をめぐる訴訟で、原所有者であるマリア・アルトマンとその家族に有利な判決を下しました。

この訴訟は、オーストリア出身のユダヤ人女性マリア・アルトマンが、オーストリア政府に対して、グスタフ・クリムトの絵画「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」を含む5点の絵画の返還を求めたものです。これらの絵画は、ナチス・ドイツによってアルトマンの叔父から奪われたものでした。
オーストリア政府は、これらの絵画はアルトマンの叔母がオーストリアの美術館に遺贈したものであり、正当な手続きを経て取得されたと主張しました。しかし、アメリカ合衆国最高裁判所は、ナチス・ドイツによる略奪行為は違法であり、アルトマンとその家族には絵画の所有権があると判断しました。
この判決は、ナチス・ドイツによって略奪された美術品の返還問題において、重要な転換点となりました。それまで、多くの国々では、略奪美術品の返還に消極的な姿勢を見せていましたが、この判決をきっかけに、各国が返還に向けて動き出すことになりました。
現在でも、ナチス・ドイツによって略奪された美術品の多くが、世界中の美術館や個人コレクターによって所有されています。しかし、この判決は、原所有者やその家族が美術品の返還を求める権利を保障するものであり、今後の返還問題の解決に向けて、重要な一歩となるものです。