毎週火曜日にお世話になっているリハビリに特化したデイサービス(Tサポート)にNさんという目のご不自由な方がおいでになっておられる。ひとりで黙々とマシーンに取り組んでおられる。
Tサポートでは利用者同士で言葉を交わすことはほとんどない。互いに高齢であり、それぞれ違った障害を持ち、リハビリに取り組んでいる。時間的にも体力的にも難しい。ことに私はNさんとは席が遠いので話すチャンスはなかった。
せいぜい私の視界に入ってこられた時にほんの一瞬お姿を拝見する程度で、多少目が不自由でいらっしゃるなあ程度の認識に留まっていた。
ところが、2ヶ月ほど前から時々帰りの送迎で一緒になるようになった。私は運転席の隣に座り、Nさんは車椅子のまま後部に。職員の方が車椅子ごと後部にお乗せする。私はNさんが乗り終わってから乗り込むので顔を見合わせることはない。
座席が少し遠いのでお話しすることはなく、ただ、別れる時に「お疲れさまでした」と声をかけるという具合だ。
ところが先日、Nさんのお名前を知ったのでお名前を呼んで声をおかけした。そうしたら、Nさんを車から降ろしてお宅までお連れしてきたスタッフが「大変喜んでおられた」と言ってくださった。
何でもTサポートの中では他の利用者さんと話す機会がなく、皆が無言なので、近くにどのような人がいるのか分からず、それがいたく不気味に感じておられたとのこと。
Nさんは全盲なのだ。そうだったのだ。気がつかないでいた。私の方が盲目だったということだ。今後はTサポートの中でも、積極的に私も自分の名を名乗って声をおかけするようにしよう。