紙媒体の作成と学びのためのデバイスとしてのPC
かつて35年ほど前、パソコンが普及し始めたとは言えまだまだ高価な時代でしたが、デジタル・ツールの利用についての意識の高い牧師たちはMacPCを好んで使っていました。
理由は2つあったと思います。一つは、右から左に文章が綴られるヘブル語表示に対応していたことと、二つ目は聖書やキリスト教関係のアプリケーションが存在していたからです。ヘブル語の混じった文書の作成や辞書や注解書などの学びのためのツールとしても存在感を持ち始めていました。つまり情報収集に使うことができたのでした。
今でもMacを愛用している牧師が少なくないと思います。ただし、日本語文書作成や表計算など事務的な作業に関してはWindows系で広汎に使われているソフトウェアがあり、教会での共同作業に際してWindowsが必須欠かせないものになりました。日本語文書や週報などの作成、また表計算やリスト作成に使うようになりました。また、作成した文書や書類などをデジタルデータとして保存できました。
私自身はワープロソフトは一太郎、ジャストシステム社製ですね。同じ会社から出た表計算ソフト、データベースソフト、DTPソフトなどを使いました。DTPは花子というソフトでポスターやチラシを美しく作成することもできました。
いずれにせよ、その時代までは主要な情報伝達手段は紙でした。紙媒体で情報を発信するために、その充実をはかるというのがワープロを含めてPCの役目でした。
そして徐々に、ワープロソフトに高度なDPT機能がついてきたり、adobeに代表される高価で手の込んだ紙媒体作品を生み出すことができるソフトウェアが普及していきました。写真やイラストを自由に取り込んで自由度の高い冊子や新聞・機関紙を綺麗に作成することも出来ました。
インターネットの普及によって伝達媒体に変化が。デジタル化とPCでのプレゼンが。
同時にインターネットが急速に普及して紙媒体とは違うコミュニケーションや伝達手段が登場し、PCなどで観ることができるホームページやブログやSNSと言った手段が身近なものになりました。そうなると、MacでもWindowsでもほぼ同じように作業が出来るようになりました。人それぞれに使い勝手の良い物を使うということで、MacがWindowsかという論争は終わったように思います。
当初はPCが主流でしたが、持ち運びや扱いに便利なノートPCが普及して会議や集会に持参してはそこでの記録のために、またやプレゼンにと広く活用されるようになりました。
学びのツールとしてのPC、さらにはタブレットの登場と進化
牧師にとっての使い勝手という面では、聖書研究のためのソフトウェアに、それぞれどのようなものが提供されているか、日本語の文書作成に優れたソフトがあるかどうかということで、Mac派Windows派に分かれてはいました。私はWindows派でした。
PCは学びのための情報収集ツールとして欠かせないものとなりましたが、Windowsで走る聖書研究用にBibleworksというソフトがあり、多くの牧師に愛用されました。Ver.10までバージョッマップがなされましたが、残念なことに数年前にその事業は終了してしまいました。終了の理由や事情はよくわかりませんが、ソフトウェアの継続的な開発と提供にかかるコストを賄えなくなったからだと想像しています。
かつて私が神学校で学んでいた時、F教授という旧約の先生が、神学生に向かって、沢山の注解書や神学書がなければ牧師として礼拝の説教が作れないと思っているかも知れないが、聖書と旧新約聖書略解があれば出来るはずだと仰っておられたのを思い出します。略解というのは新約聖書と旧約聖書、それぞれの簡潔な注解を1冊に納めた文字通りの略解です。決して十分なものとは言えませんが、今思うとF教授の仰っておられたことの真意が分かるような気がします。そのことについては別の機会に書きたいと思います。
話を戻しますが、Bibleworksは高度で優れたソフトウェアですが、高価なこともあり、iPadに代表されるようなタブレットが普及し始めるとPC離れが進み、同時に、ことにiPadにおいてですが、安価で便利な聖書関連のアプリが豊富に提供されるようになりました。そんなこんなで情報収集に関してタブレットで相当部分のことをまかなうことができるようになりました。
加えて、SNSやネットの動画配信など、紙媒体とは違うコミュニケーションと情報伝達手段が一般化し、その点で簡易で優れた特性を有するタブレットが、デバイスの進歩と価格の安さも相まって急速に普及が進んできましたし、その有用性が高まってきています。
私は今もWindowsPCでBibleworksを使うことがありますし、ワープロソフト一太郎を愛用していますけれどもその他のほとんどの作業はタブレットで済ませることができます。それでiPadの使用頻度が非常に高くなりました。
iPadの予想以上の進歩と可能性について
続く