台湾長老教会と台湾総統選挙

民主進歩党(民進党)の蔡 英文氏が当選しました。議会も国民党は過半数を割ったようですね。

国民党の親中国路線と政策、また、最近の経済状況が政変の原因として説明されています。政治の話はよく分かりませんが、たぶん、そういうことなのだと思います。それが、「台湾人」というスローガンと結びついて、民進党の躍進に結びついていったのでしょう。

親しい台湾長老教会の中には民進党を支持する人が多かったのではないかと思います。台湾長老教会は台湾語で礼拝を守っている教会です。第二次大戦以前からあった教会です。18,19世紀に大陸(福建省)からやってきた人々に根ざした教会と言えばよいでしょうか。若い人たちは標準語となっている北京語を話しますから、苦労があるのですが、台湾語の礼拝を維持しておられます。

台湾は多言語の国ですから単純な話ではありませんが、大きく言って2つの言語が存在する二重言語の国です。これは、日本や韓国、ベトナムなどと同様に、漢字文化(権力)の周辺に位置する諸民族の特徴でもあります。距離感といいましょうか、関係のあり方はそれぞれ異なっています。それに伴い、言語のあり方も違うわけです。

台湾の場合は、原住民(そういう呼び方が良いとされています。福建省からの人々以前から、元々台湾におられ方々です)の時代、それは、オランダなどの諸外国の力が及んでいた時代でもあります(ちなみに、台湾は果物が美味しいのですが、その果物はもともと台湾にあったものではなく、16世紀にオランダ人が南方から持ち込んだもののようですね)、そして、福建省から来た人々による時代へと移り(お茶文化はこの時代に台湾に根付いたのでしょう)、第二次大戦前の日本による支配の時代(何を残してきたでしょうか・・・政治制度や教育などの近代的な諸制度でしょうか?)、大戦後に大陸を追われた国民政府による時代があって(国民政府の支配については評判が悪いですね)、民主的な制度が定着してきた今日を迎えています。複雑な歴史をたどってきました。現在の台湾の言語状況もそれを反映しているのだと思います。

いずれにしても、台湾の人々が培ってきた大陸や諸外国との距離感の持ち方というものがありましょう。国民性に深く根ざしている部分だと思いますが、そういう視点から今回の政変と、今後の動向を考えてみる必要があるのではないかと思います。

私の関心は、東アジアにある教会と、相互の交わり、そして、福音伝道における協力です。教会のあり方が、政変によって変わるということはあり得ませんが、台湾の政治状況をメガネに、台湾という国とその国の教会の様子を見るということは、相互理解のためには、少しく意味のあることだと思っています。